チームワークが高まると、企業の組織力が向上し、業務の効率化という効果を得られます。チームワークを高めるためには、従業員それぞれの特性を理解したうえでサポート体制を整えることが必要です。今回は、チームワークを高めるためのポイントを解説します。
■チームワーク向上で期待できる効果とは
まずは、チームワークの定義と、チームワークを高めることで得られる効果を確認しましょう。
●チームワークとは
「チームワーク」とは、複数人が集まり、共通の目的や目標に向かって団結して行う作業や活動のことです。「チーム」と似た言葉として「グループ」があり、「グループワーク」という表現は企業でも使われることがあります。「チームワーク」と「グループワーク」は同じ意味の言葉として用いられることがありますが、実は意味が大きく異なります。「チーム」は共通の目的を持っている集団を表し、「グループ」は単純に複数の人間が集まっている状態を指す言葉です。つまり企業が成長や社会貢献を促進するという目的を成し遂げるために進めるべきは、「チームワーク」なのです。
〇チームワークの効果
チームワークによって得られる具体的な効果として、以下の5つが挙げられます。
- 情報共有
チームではメンバー同士で情報を共有できます。従業員一人ひとりが持っている知識や経験、ノウハウといった情報を蓄積し、共有することは企業の成長に必要なことです。1人では知識や経験に限界があっても、チームでたくさんの情報を集めて活用することで、新規開拓や現状の改善につながります。 - 業務効率化
チームを形成することで、業務の効率化につなげられます。従業員はそれぞれ得意分野と不得意分野があるため、それぞれが得意な分野を活かしながら、することで効率的に仕事が進められます。また、チームワークによって情報やスケジュールを共有することにより、お互いに協力しながら効率的に業務を進められるようになります。 - 組織力向上
チームワークは、組織力向上につながります。適切にコミュニケーションをとり、情報を共有して協力しながら作業を進め、目的達成に向けてモチベーションを保つため、組織力向上の重要なポイントです。
以上のように、チームワークには多数の効果が期待できます。同じ目的を持ったメンバーが業務を円滑に進め、成長し続けるために必要不可欠な要素といえるでしょう。
■チームワークを高めるために必要なこと
企業にとって必要不可欠であるチームワークを高めるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。チームワークを高めるために必要なことや、意識すべきポイントを確認しましょう。
●チームワークを高めるために必要なこと
チームワークを高めるためには、以下の3つが必要です。
- 目標設定
上述したとおり、チームワークとは、複数人が集まり、共通の目的や目標に向かって協力しながら作業することです。つまり、最も重要なのは全員が共通で持つ目標を設定することです。会社や部署の目標を定め、次にチームの目標を決めましょう。会社や部署の目標は抽象的になりがちなので、チームや個人の目標は細かく具体的に設定する必要があります。具体的な目標を定めることで従業員はやるべきことや行動をイメージでき動きやすくなります。 - 役割を明確にする
目標を決めるとともに、個々の役割を明確にすることも重要です。自分の役割が明確になることで、自身がチームの目標のどのようなところに貢献できているかを理解できます。そうすることで、無駄な作業に時間を費やさずに成果を出せます。従業員それぞれの能力を把握したうえで得意・不得意を反映させた業務分担をすることで、個々の役割を明確にすることが可能です。 - コミュニケーションの活性化
情報を常に共有して、円滑なコミュニケーションを行うことで、チームワークを高められます。コミュニケーションを活性化させて業務の基本である報告・連絡・相談を行うことで、作業が効率的に進みます。また、たとえ問題が発生しても迅速に対応でき、結果的にトラブルを早く解消して効率化につながります。
●チームワークを最大化するためのポイント
企業内でチームワークを最大化するためには、以下のポイントを意識してみましょう。
- 多様性の尊重
チームには異なる考え方を持つメンバーが複数人存在するものです。だからこそチームで活動することで、多くのアイデアが集まり、成長や新規開拓につながります。それらを最大限に活用するならば、多様性の尊重が必要です。ダイバーシティ・マネジメントの提唱や働き方改革により、多様性を尊重する取り組みを行う企業も増えています。 - 適度な相互依存関係の構築
チーム内に適度な相互依存関係を作ることも、チームワークを最大化するポイントです。適度な相互依存関係とは、互いに協力を必要とするような共同体を指します。チームメンバーと協力しなければ目標を達成できないという意識を持つことで、コミュニケーションの活性化を促しチームワークの効果を高められます。また、自身もチームに必要であるという役割の認識にもつながり、より成果を出しやすくなります。 - 十分なサポート体制を用意
企業がチームに対して十分なサポート体制を用意することも、チームワークを最大化するポイントです。たとえば、資金や時間といった業務を遂行するために必要な生産要素を整えることで、チームワークがより発揮されやすい環境をつくれます。また、必要に応じて専門的なスキルを持つ人材を投入して、チームのメンバーだけでは実行できないサポートをすることもチームワークを高めるために企業が行うべきことです。
チームワークを高めるためには、目標や役割をはっきりさせるとともにコミュニケーションを活発化させる必要があります。そして、チームワークを最大化させるためには、多様性の尊重や適度な相互依存関係の構築などチームに所属するメンバーを意識しながら業務を進めていきましょう。
■チームワークを高めるのに役立つ手法やゲーム
チームワークは、協調性や多様性を受け入れる考えを養う手法やゲームによっても高める事ができます。研修でゲームをうまく活用し、チームワークを高める努力をしていきましょう。
●チームワークを向上させるのに役立つ手法やゲーム
チームワークを向上させる効果が期待できる手法やゲームには、以下のようなものがあります。
- ブレインストーミング
ブレインストーミングとは、チームで1つのテーマに対して意見を出し合うことで、アイデアを量産する方法のことです。質より量を重視してアイデアを出すことにより脳が刺激され、創造的なアイデアを生み出せます。さまざまなアイデアを出し合うことで、チームのコミュニケーションの活性化にもつながります。研修で取り入れられることが多いブレインストーミングですが、業務で行き詰まったときに行うのも効果的です。具体的には、アイデアを思いつく限りたくさん出し、見えるところに書き出してグループ分けをし、有効なものを探します。とにかくたくさんアイデアを出し、出たアイデアは否定しないことがブレインストーミングにおいて重要なポイントです。 - 共通点探し
研修でアイスブレイクとして使われることも多い共通点探しゲームは、チームワークを高めたいときにも有効です。心理学では、お互いの共通点を見つけることで警戒心がとけ、親密度が高まるとされています。メンバーが無意識に感じている警戒心をとくことで、信頼度を高めチームワークも高められるのです。具体的な方法としては、まずはチーム内で2人組を作り、お互いの共通点を探しましょう。その後少しずつ人数を増やしていき、同様に共有点を見つけていきます。時間制限を設けて、数を競わせてもよいでしょう。どこでもでき、誰とでもできるのが特徴で、手軽にチームワークを高められるゲームです。 - ペーパータワーforビジネス
A4用紙を使って紙のタワーを建てて、チームで協力しながら、経営シミュレーションができるゲームです。ゲームは合計4回行い、最終的な勝敗が決まります。
A4用紙を各チームに20枚ずつ配布し、1回目のゲームを始めます。配布した用紙を使い、タワーを建てます。建てたタワーの高さは、1cmにつき10万円の売り上げに相当します。
その売り上げで新たな紙を仕入れます。紙は1枚につき10万円です。残額がマイナスにならなければ、何枚でも紙を仕入れることができます。
そして、チームメンバーに給与を支払います。給与額はチーム内で決めることができますが、チームメンバーは全員同じ金額となります。
さらに、残額から税金(税率40%)を支払います。
残りの3回のゲームも同様に繰り返し、最終的にチームメンバーの得た給与の合計が最も多いチームが勝ちとなります。
今回ご紹介した以外にも、チームワークを高めるためのゲームや手法はさまざまあります。チームの仕事内容やメンバーの状況に合わせて適切なものを取り入れてみてください。
チームワークを高めて、効率的に業務を進めましょう
多様性や適度な相互依存関係といったチームワークに必要な要素を理解し、環境整備や研修、ゲームなどでチームメンバー間の距離を縮めて、チームワークを高めることが可能でます。チームワークを高めて組織力向上や情報共有といった効果を得て、より効率的に業務を進めていきましょう。