太平洋工業株式会社様では、2023年10月と2024年10月の2回にわたり組織サーベイを実施されました。従業員約2300名に対し、ブラウザでログインして回答を行う「共有端末」での回答をメインとしながらも、回答率はGeppo平均を大きく上回る98%を達成。この高い回答率をどのように実現し、結果をどのように打ち手に繋げているのでしょうか。人事部人財育成グループの藤戸様にお話を伺いました。
<目次>
1. Geppo導入のきっかけ
2. 組織サーベイ実施の印象
3. 組織サーベイ実施後の共有について
4. PR・求める人材像
1.Geppo導入のきっかけ
―――Geppo導入のきっかけを教えてください
藤戸様:2023年10月と2024年10月の2回、組織サーベイを実施しています。1回目の導入のきっかけは、社内でエンゲージメント向上への意識が高まっていたことでした。
具体的な課題を把握し、弊社のパーパス「思いをこめて、あしたをつくる」の実現に向けた取り組みを、肌感覚ではなく客観的な指標に基づいて進めていきたいと考えたからです。
2回目については、取り組んだことの成果を確認するなど継続的に状況を把握していくことが重要だと判断し、実施しました。
―――Geppoに決めた要因はなんでしょうか
藤戸様:複数のツールを検討しましたが、リクルートの知見に基づいたシンプルな質問内容であること、eNPSを含めた他社比較ができることが魅力でした。
自社の状況を客観的に把握できるという点が大きかったですね。費用感も導入しやすいと感じました。
―――質問数が20問と一般的な組織診断に比べて少ない点に、不安はありませんでしたか?
藤戸様:最初は少し不安もありましたが、質問が厳選されていること、従業員が回答しやすいことを考慮されていたため、納得しました。
―――導入に際して、壁はなかったでしょうか
藤戸様: 特に大きな課題はありませんでした。
経営と人事の間で、現状を把握する必要があるという認識が一致していたため、スムーズにGeppoの導入が決まりました。
ただし、「実施して終わり」にならないように、配信後の展開については特に意識しました。
―――約2300名に対してどのように周知いただきましたか
藤戸様:製造業で個別にPCを使わない従業員が多いことから、まずはエンゲージメントを高めるために、現在地を知ることを目的に調査を実施することを社内報や社員用HPへ調査理由、Geppo回答用のQRコードと回答期限の告知を行いました。
従業員誰もが見るため、周知徹底に繋がったと思います。
2.組織サーベイ実施の印象
―――98%という非常に高い回答率を達成されましたが、具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか
藤戸様: 周知の段階で、このサーベイが重要であることを強調し、必ず回答するように呼びかけました。
各部署宛てに説明因子に関連する内容について自己採点を実施することで、エンゲージメントについて意識を高め、質問内容について誤解が生じそうな部分については、事前に共通認識を持てるように丁寧に説明しました。
例えば、上司や同僚についての質問で、誰のことを指しているのかを明確にするなど、回答者が質問の意図を誤解しないように努めました。
よくあるのが、ただ実施を告知するだけで、質問の意図が十分に伝わらず、回答にばらつきが出てしまうケースです。
それを避けるために、詳細な説明を心がけました。社内でも事前にここまで詳細に説明したことが、従業員に「会社の本気度」として伝わったのだと思います。
―――未回答者へのリマインドはいかがでしょうか
藤戸様: 配信後すぐに回答してくれる従業員が多かったのですが、週に1回程度、部長や所属長に組織ごとの回答率を共有しました。
匿名のため個人の特定はできませんが、各組織と連携をして回答を促していただき、その結果、回答率向上に繋がったのだと思います。
―――共有端末での回答がメインで回答率が98%というのは非常に高いのはここまで実施いただいた成果が感じられます
藤戸様: 正直、私も驚いています(笑)。答えても意味がないと諦めている方は回答しないはずです。
その点、従業員が会社に対して期待してくれているのだと感じています。
真摯に回答してくれる社員が多いということは、より良くしたいという思いがあるからこそだと思います。
―――1回目の結果についての印象はいかがだったでしょうか
藤戸様: eNPSは平均と比較して悪くはありませんでしたが、気になる部分もありました。
説明因子については、部署によって濃淡が見られました。
結果として、手を打つ必要のある課題と強みを把握することができ、具体的な対策を検討するきっかけになりました。
―――1回目の実施から1年後、2回目のサーベイを実施いただきましたが、その結果についてはどうご覧になりましたか
藤戸様: 全体的にスコアが向上しており、大変嬉しく思いました。
eNPSが説明因子に影響を与えるということが、より明確に理解できました。人事部からもエンゲージメントの重要性を様々な場面で発信し、各組織でも改善に向けた取り組みを意識してもらったり、会社全体でeラーニングの仕組みを導入したりと、様々な施策を実施してきました。
これらの取り組みが良い結果につながったと感じています。
3.組織サーベイ実施後の共有について
―――1回目のフィードバックはどのように行いましたか
藤戸様: まず、各部長に所属部署のデータのみを共有しました。
結果を踏まえ、組織単位で良い点と課題を把握し、具体的な打ち手を検討していただきたいと考えたからです。
そのため、他部署の結果は共有していません。ただし、現場だけに任せるのではなく、課題によっては人事部が主体となって現場と連携して改善を進めました。
一方で、制度や文化の構築は経営層の認識共有も重要となるため、経営層にも同じレベルで情報を共有し、現場と経営の両輪で改善を進めるようにしました。
従業員に対しては、設問ごとのスコアは伏せて、説明因子のランキング形式で結果を共有しました。良かった点と課題点を明確にし、会社としての取り組みを示すことで、従業員に安心感を持ってもらうことを意識しました。
―――2回目のフィードバックはいかがでしょうか
藤戸様:基本的な共有方法は1回目と同じですが、肯定的回答率を抽出し、「5」と「4」の回答割合を増やすための取り組みを推進していくことを伝えました。
―――次回3回目の実施に向けた活動もイメージされているのでしょうか
藤戸様: そうですね。eNPSや説明因子のスコアをさらに向上させるために、課題点の洗い出しや打ち手の検討をみんなが本音で話し合える機会があるのは素晴らしいと考えています。
情報発信を通してエンゲージメントを高める努力を続けること、日々のコミュニケーションや課題の与え方、評価などの積み重ねがエンゲージメント向上に繋がるということを伝え続けることが大切だと考えており、組織サーベイはそのための良いきっかけになると考えています。
4.PR・求める人材像
―――貴社の求める人材を教えてください
藤戸様:当社は、創業から100年近く自動車業界に携わっている、東京証券取引所プライム市場上場企業です。
チャレンジ精神を非常に大切にする社風で、パーパスである「思いをこめて、あしたをつくる」に共感し、共に実現を目指せる方を求めています。
ここで言う「思い」とは、熱意や意欲、前向きさであり、エンゲージメントの高い組織を築く上で重要な要素だと考えています。
自動車部品メーカーというイメージが強いかもしれませんが、実は新規事業にも積極的に取り組んでおり、年に1回「オメガプロジェクト」という新規事業提案制度があります。
製造業というと、綿密なデータに基づいた提案が求められるイメージがあるかもしれませんが、このプロジェクトでは、アイデア段階の提案でも歓迎されます。
役員が本気で議論し、プロジェクト化されれば、予算もチームも提供され、新規事業として実現する可能性があります。
実際に、私自身もこの制度で提案したアイデアがプロジェクト化されました。
このように、当社は社員一人ひとりの成長と個性を尊重する文化があります。変化を恐れず、積極的にチャレンジできる方にとって、最適な環境だと考えています。
―――本日は大変貴重なお話ありがとうございました。