2022年3月よりGeppoを導入し毎月の個人サーベイを実施。
一部エリアでスモールスタートし確かな効果を実感し全エリアに拡大。
コロナ影響で休職者が増え混乱する現場で、課題分析し必要な打ち手を実行してきた
味の素株式会社営業戦略部の川上様にお話を伺いました。
1.Geppoの導入背景
2.Geppoの運用体制
3.Geppo導入効果
4.運用のポイント
5.今後の展望
1.Geppoの導入背景
―――Geppo導入前の課題や導入経緯について教えていただけますか?
川上様:導入を検討していた21年度はコロナの影響もあり、若手のメンタル不調による休職者が過去に比べて増えつつあったことに課題がありました。これは全社共通の課題ではありましたが、我々国内の営業部門は若手のメンバーが多いこともあり、より強い危機感を持っていました。
そこでまずは何が起こっているのかの現状分析から始め、現場とのコミュニケーションを通してわかってきたことが、「①メンタル不調による休職の理由は個々で違う 」ということでした。その他にも、休職が増える入社3年目くらいは「②入社前後で営業の仕事に対するイメージのギャップが存在する」ということ、また、「③営業部門の要員タイト感が顕在化し始めている」ということを把握しました。これら大きく3つの原因に対してそれぞれの打ち手を考える中で、一つ目の課題の個人へのフォローに対する打ち手として、Geppoパルスサーベイがコンディショニングチェックとして有用なのではないかと期待して導入に至りました。
―――導入時に壁はありましたか?
川上様:全社的に共通の課題感を持っていましたし、かなり緊急性が高かったこともあり、取り組みに反対する人はいなかったです。一方で、運用体制の構築の難しさはあったかなと思います。非常に機密性の高い情報を扱うため、回答情報は限られた者のみで共有する想定でしたが、そうすると対応が属人的になり、対応スキルの差分が出てしまうのではないかという懸念がありました。
―――対応スキルの差分という懸念を払しょくするために工夫されていたことはありますか?
川上様:導入当初は事務局も手探りだったので、月に1回管理者とGeppoのアラート状況及び対応方法を共有するということをしていました。
また、実際に声掛け対応してもらう管理者は他の業務がある中でGeppoの対応がアドオンされた形になりますので、所属メンバーの人数が多いエリアについては、対応する人員を2人体制に変更するなど現実的に対応可能な運用にする工夫をしていきました。
2.Geppoの運用体制
―――現状Geppoをどのように運用いただいていますか?
川上様:事務局の2名が全体管理者となり、実際にアラート対応する支社対応者5名が限定管理者の全体7名で、現在230人程度のメンバーを見ている形です。
話すことでスッキリしたというメンバーや、事前に説明はしていたものの、本当に声をかけてくれると思わなかったとか、見守ってくれていることがありがたいといった声も挙がってきており、安心感の醸成につながっているのかなと非常に効果を感じています。
今後の課題は、救える方も多い一方で、まだ一部はGeppoのアラートに挙がってこないけれど、実は不調を抱えていたというメンバーも一定数おり、そういったメンバーに対して、何かあったときにヘルプを出せるツールなのだということを理解して活用してもらえるよう促すことが必要だと考えています。
―――最初は東京支社のみで導入し、その後全国に拡大されていますが、スモールスタート時はどのような観点を確認されていたのでしょうか?
川上様:この取り組みが正しいかは分からないけれど、早急に手を打たなければ状況が悪化すると思っていたので、Geppoパルスサーベイが機能すると信じた上で、しっかりと運用が回せるかというところを見ていました。
回答者自身の負担や本音が出るかどうか、およびアラート対応で面談する管理者の負担が気になっていたので重点的に確認しました。
実際にやってみて、アラート対応をしてくれた東京支社対応者が「面談をすることで解決することもある」といったような所感を話してくれたので、その声をもとに全体に広げるという意思決定ができました。
3.Geppo導入効果
―――Geppoを活用する中での効果事例はありましたでしょうか?
川上様:アラート発生者の多くは、話すとすっきりして解決することが多いのですが、例えば上司マネジメントの改善につながった事例や、健康スコアが低かった従業員に対し、保健師からのアドバイスを通じて改善したこともありました。
Geppoがなかったら気が付けなかったけれど、若手にとってはストレスにつながっていた意外なことも把握でき、すぐに動けたことは良かったなと思っています。
―――アラート対応をする中で気を付けていることはありますか?
川上様:我々はメンタルヘルスのカウンセラーではありませんので、導入時にGeppoのカスタマーサクセスの方にカウンセリングのノウハウをレクチャーいただきました。大事なことは傾聴の姿勢であり、対応する管理者もそれを意識しています。
―――管理者の皆さまから”人を大切にする”という姿勢を強く感じるのですが、貴社の特徴なのでしょうか。
川上様:味の素グループで大切にしている価値として「味の素グループWay」というものがあります。「新しい価値の創造」、「開拓者精神」、「社会への貢献」、「人を大切にする」という4つの行動指針です。そういったこともあり、当社メンバーには人に対する関心が高い人が多いと思います。会社としても「無形資産」の核として「人財資産」を挙げています。やはりメンバーがメンタル不調により休職してしまうことは望みませんので、いかに未然にケアしていくかということに対してのアンテナは非常に高くなっていると思います。
―――コロナ影響で休職者が増加したということでしたが、定量的な効果も見えているのでしょうか?
川上様:もちろんGeppoだけの効果だけではなく、入社前後の営業活動に対するギャップを埋めるための取り組みや、要員調整等の他の施策と、コロナ影響が少なくなってきたことも影響していると思いますが、メンタル不調による休職者は極わずかになっています。
コロナの状況でGeppoがなかったらコミュニケーションが希薄になり、若手を中心に吐き出し口がなくなってしまっていたと考えられるので、一人悶々として休職に至るほど悩むメンバーも更にいたかもしれません。
4.運用のポイント
―――しっかりアラート対応をしていただくために運用で工夫されていることはありますか?
川上様:対応のタイミングや対応方法は各対応者に任せていますが、対応漏れだけはないように全体管理者の私が確認しています。広いエリアの管理者はオンラインで面談する、逆に一拠点のエリアは直接声がけするなどそれぞれ工夫して対応してくれています。
―――従業員の方に本音で回答してもらうために工夫されていることはありますか?
川上様:こちらは全員が本音で答えてくれているとは思っていないので課題と感じている部分ではありますが、私自身がある程度メンバーの状況を把握しながら、周辺から気になる話を聞いた際にはGeppoの結果を確認して、聞いた話とGeppoの回答が一致していない場合は、そのメンバーに直接「Geppoで悩んでいることなど本音で回答していいんだよ」ということを伝えるなど、個別のコミュニケーションでも補っています。
5.今後の展望
―――Geppo活用して、今後どのような会社を目指していきたいとお考えでしょうか。
川上様:心身ともに健康な状態で働いていただくことが会社の成長や従業員のウェルビーイングにもつながると考えています。
また、24年4月の新卒入社人財は、大学入学と同時にウィズコロナで過ごしてきていますので、この数年よりも更にコミュニケーションの変化が大きい世代かと推察しており、よりメンタルヘルスケアは重要だと思っています。引き続きしっかりGeppoを活用していきたいと思っています。
―――貴社が求めたい人財はどのような方になるのでしょうか?
川上様:自律的な人というのがすごく大事であると考えています。我々の営業の仕事は、自社の商品やサービスを通じて、お客さまの課題解決を行っていくことです。待っているのではなく自分から得意先や生活者の本質的なニーズ課題を抽出し解決策を提案するソリューション型の営業ができるかどうかがポイントになってきます。
また、仕事の特徴としてチームワークが求められることが多いため、部門を超えてチームで協働したりリーダーシップを発揮できるかも重要ですね。
食品業界の営業は泥臭い仕事も多いのですが、積極的に現場の実態を知り、それを営業に生かすように行動を起こせるような人財を求めています。
―――本日は貴重なお話ありがとうございました。