カテゴリー: 採用

近年、社会では人材ニーズが高まり続けています。就職・転職を考えている求職者にとっては嬉しい状況ですが、人材を採用したい企業にとっては厳しい状況といえるでしょう。採用のためにコストをかけながらも、思うような採用活動ができていないという企業の少なくないはずです。

今回はそのような採用活動について、ユニークな手法を用いることで、うまく応募者を獲得している企業の事例を紹介します。採用難の時代にあっても、アイデアを駆使することで、求職者に注目される採用活動ができることを説明します。

unique-recruiting①普通の採用活動では人が集まらない状況

企業にとって採用コストはできればおさえたいものですが、多くの人材と接点を持つためには、自社の採用サイトの運用だけでは不十分な場合がほとんどです。結果として企業は様々なツールを検討せねばならず、有料の求人媒体や就職フェア、人材紹介など、コストをかければキリがありません。

加えて求職者有利の市況が続く中で、いろいろな手法を使っても人が集まらない状況に陥りつつあります。有効求人倍率の数値は現在1.58、2017年半ばから1.5以上という高いポイントを推移し続け、今後も1人の求職者に1社以上の企業がアプローチする状況が続く見込みです。

このような市況のなかで、企業は普通の採用活動では人が集まらないという事態に陥っています。ただ費用と時間をかける採用活動では求職者の目を引くことは難しく、いくつかの企業は従来の方法にとらわれないユニークな採用活動を行い、求職者の関心を集めようとしています。

●長浜市役所のヘビメタ動画

また、このような状況にあえぐのは企業だけではありません。人気で競争倍率が高いというイメージが強い公務員もまた対応を迫られています。2019年11月1日、NHKの「大学生とつくる就活応援ニュースゼミ」というサイトに長浜市役所のユニークな取り組みを取り上げる内容の記事が掲載されました。

同市役所が行ったのはヘビメタ動画による求職者募集。これまで公務員試験に関心がなかった人にも興味を持ってもらうために、職員が作詞・作曲した曲を使った動画を10月31日からYouTubeで公開。「真面目」、「堅い」といった公務員のイメージからは一線を画すPR動画が話題を呼びました。

このような取り組みの背景にはやはり採用難の問題があるといいます。同市役所はNHKの取材に対し、2018年度の採用試験受験者が75人だったこと、そしてこの数字が4年前と比べて半数以下に落ち込んでいることを明かしました。

市役所すらも従来の採用手法の限界を感じ、独自のPR方法を模索し始めています。この記事では上記のような採用活動を「ユニーク採用」という言い方で一括りにし、そのメリットや注意点、実際にユニーク採用を行っている企業の事例を解説していきます。

<出典>

「“ヘビメタ動画”で市職員を募集」大学生とつくる就活応援ニュースゼミ
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu236/

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②ユニーク採用のメリット・注意点

まずはユニーク採用のメリットと実施する際の注意点について、整理していきましょう。

●メリット

・選考自体に魅力を感じさせることで、興味を持たない業界へも目を向けさせられる

→ユニーク採用の多くは選考自体を魅力的に見せ、「楽しそう」、「参加してみたい」と感じさせるものです。そのため、「これまで別の業界に絞って就職活動をしていた」という求職者を取り込むことも可能になります。幅広い志向・タイプの求職者と接点を持てるというメリットがあるといえるでしょう。

 

・友人を誘ってグループでの参加を見込める

→母集団形成に苦戦する企業にとって、グループで参加してもらえることは大きなメリットです。1つの応募で5名・6名の求職者の選考参加予約を獲得できれば、応募者集めの負担を軽減できます。また、求職者にとっても応募の心理的ハードルがさがり、気軽に選考に参加してもらえるでしょう。

 

・情報が拡散され、企業ブランディングにも使える

→ユニークな採用活動を行うと求職者だけでなく、各種メディアや採用に課題を抱えている企業の目にも留まることになります。結果として「あの企業は面白い採用活動を実施している」という企業ブランディングにもつながります。どんな採用活動をするのかで、企業の風土を発信することもできるでしょう。

 

●注意点

・志望動機が薄いまま遊び感覚で選考に参加している場合がある

→気軽に参加できる反面、選考実施企業対して「入社したい」という思いを抱いていない求職者が数多く集まってしまう恐れがあります。結果として、本当に入社を希望してくれている求職者や人事メンバーとの温度差が生まれ、選考自体が成り立たなくなってしまう危険性もあります。

 

・選考自体ではなく、企業・仕事への魅力付けをしなければ、辞退の恐れが高まる

→入社意欲がない求職者には、企業・仕事の魅力付けを行わなければ、その後の選考や内定の辞退が発生することを避けられません。選考を楽しんでもらうことに加えて、選考を通じてどうやって魅力付けを行うかにも注意が必要です。

このようなメリットと注意点のあるユニーク採用では実施までのPR・実施・その後のフォロー、それぞれの段階で目的を決め、対応していくことが重要です。話題性による母集団形成で満足なのか、最終的な採用・入社に結び付けることが目的なのかで、各フェーズの対応が変わってくるでしょう。

 

③ユニーク採用の事例

では実際に企業が行っているユニーク採用とはどのようなものなのでしょうか。今回は、話題性だけでなく再現性もある4社の事例を紹介します。

●株式会社カヤック

自ら「面白法人」という表現を使っている同社は、様々なユニーク採用を行ってきました。今回はその中から3つをピックアップしたいと思います。

・いちゲー採用

ゲーム開発会社でもある同社は「ゲームのうまさだけで採用を決める」という「いちゲー採用」を実施。360名以上の応募から9名の内定者が出たこのユニーク選考は、多くの応募を集めただけでなく、「WBS」や「ファミ通」、「電ファミニコゲーマー」といったメディアから取材を受けたといいます。

 

・エゴサーチ採用

履歴書の代わりにGoogle検索の結果を提出するかたちでエントリーするユニーク採用。自分の名前・ブログ・作品名など、検索で最も上にくるワードで応募するという方法で、簡単にエントリーできる点が特徴です。結果として820名以上の応募から7名の内定者が出ることになりました。

 

・夫婦採用

夫婦で、しかも同社の本社がある鎌倉への引越し付きでの入社を促す夫婦採用。夫婦同時の面接に始まり、物件紹介や3ヶ月分の家賃補助(賃貸物件入居の場合)、仲介手数料77%負担(住宅購入の場合)など、仕事だけでなく新しい生活を支援する通年実施のユニーク採用です。

 

▼カヤックのユニーク選考についての詳しい情報は下記をご覧ください。

https://www.kayac.com/recruit/campaign

●TAKEUCHI株式会社

・いつものあなた選考

同社が行っているのは求職者がありのままの姿で参加できるユニーク採用です。「いつものあなた選考」と名付けられた同社の選考は私服参加+面接官の出張サービス。求職者に対して「いつものあなたが表現できる場所」を指定してもらい、面接官が出向いて面接を実施しています。

 

▼TAKEUCHIのユニーク選考についての詳しい情報は下記をご覧ください。

https://takeuchi-corp.com/recruit/new-graduate/

●スターティアホールディングス株式会社

・麻雀選考

マネジメント力や決断力がある学生を求める同社は、スキルを発揮する場として「麻雀」が親和性が高いと考え、2017年度から麻雀による新卒採用イベントを実施しています。当日は同社代表や多くの社員が参加し、選考に加えて交流会としての機能も担っているということです。

 

▼スターティアホールディングスのユニーク選考についての詳しい情報は下記をご覧ください。

https://www.startiaholdings.com/media/recruit/a70

●三幸製菓株式会社

・日本一短いES 

同社人事担当者がエントリーシートの情報量膨大化を危惧し、学生の負担軽減を目指してスタートしたというユニーク採用。あらかじめ「Yes/No」で答えられるアンケートにいくつか回答すれば、文字情報として入力するのはメールアドレスのみというエントリー方法に多くの共感の声と応募が集まりました。

 

▼三幸製菓のユニーク選考についての詳しい情報は下記をご覧ください。

https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20181030/resume/05-jirei4-shibata.pdf

●ユニーク採用事例から伝わる各社のスタンス

ここまで4社のユニーク採用事例を見てきましたが、いかがでしたか。事例からは各社が求職者に対してどのようなスタンスをとろうとしているのかがあわれています。

カヤックは自社とよりマッチする人材と出会うため、TAKEUCHIは企業が歩み寄る姿勢を示すため、スターティアホールディングスは選考をただの選考ではなく交流会として考え、三幸製菓は就活の在り方を見直すために、それぞれのユニーク選考を手がけました。

今回紹介した4社のようにユニーク選考を企画・実施することができれば、採用難の状況を打開することだけでなく、自社ならではの価値を発信することができるでしょう。ユニーク選考の実施を考えるなら、「どうすれば自社らしさを表現できるか」を基準にできることが理想的です。

④まとめ

多くの企業が苦しむ採用難。今回はその打開策の1つになりうる「ユニーク採用」にフォーカスしました。すでに多くの企業が実施しているユニーク採用ですが、その目的は企業によって様々です。母集団形成に重きを置いているものもあれば、会社の存在自体をPRできればいいというものもあります。

ユニーク採用を実施する際には、何をゴールとするのかを明確にすることが重要です。これまでの手法にとらわれない方法を企画しながらも、「選考活動を通じてどんな体験をし、会社に対してどんな印象を持ってもらいたいのか」という意識は欠かせません。

求職者にとって、ユニーク採用がただ参加するだけのものにならないために、他社の事例を参考にしながらも、自社にしかできない形を考えてみてください。

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