「子会社社長」が考える、サイバーエージェントの人材戦略の強さとは?

By Geppo編集部 |
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Geppo編集部
カテゴリー: サイバーエージェントを成長させる人事制度

サイバーエージェントを特徴づける言葉の一つに「子会社社長」というものがある。「制度」「仕組み」というわけではないが、若手を中心に才能ある人材を子会社の代表に抜擢し、直接的な「社長・経営者経験」を積ませる同社独自の経営者育成手法だ。

須田瞬海氏の写真

今回インタビューした須田瞬海氏は2014年入社の若手有望株。内定者時代から子会社の立ち上げに参画し、入社後はAmeba事業本部広告部門のメディアディベロップメント事業に携わり優秀な成績を納め、入社翌年にはマネージャーに就任した。

さらにその翌年には株式会社CA Young Labを起ち上げ、現在は株式会社Cyber Nowの代表取締役を務めている。

今回のインタビューでは、そんなサイバーエージェントの「子会社社長」を地で行く須田氏に、サイバーエージェントの人材、あるいは人事制度における強みについて伺った。 

■「子会社社長」が語る「子会社社長」のメリットとは?

入社3年目で子会社社長に就任した須田氏。彼が考える「子会社社長」のメリット、得られるものは大きく分けて2つある。

  1. 「後ろに誰もいない」という本当の意味での責任感
  2. 「役員直下」での経験値

須田氏は同社の名物経営会議であるあした会議において、自ら子会社を立ち上げることを起案し、子会社社長に就任したという経緯がある。特に経営者になるための必要なステップを踏んでいたわけではない。一介のマネージャーから、子会社社長への大抜擢だった。

[参考]サイバーエージェントの成長を支える重要会議「あした会議」とは?
https://blog.geppo.jp/blog/ashita-kaigi

その大抜擢において、須田氏が最もギャップを感じたことが「後ろに頼ることができない」という本当の意味での責任感だった。

今まではいくらか難しい課題にぶち当たっても、自分よりも優秀な上長が側にいてくれる。それに甘えるつもりは毛頭なかったが、実際そういった「加護」の下から離れると、如何に今まで自分が守られていたかを実感するようになった。自分の意思決定の全てに責任があり、それに対して不安になることさえもあった。「経営者は孤独だ」という藤田の言葉も理解できるようになったのはこの頃からだった。

また「子会社社長」になると、一気にサイバーエージェントグループの役員との距離が近くなる。少なくても担当管轄役員がつくため、一定のスパンで役員との面談や相談の時間が設けられるのである。こうして役員とのコミュニケーションを密に取ることにより、彼らの考え方、思想や戦略の組み立て方を学ぶことができるというのは非常に大きな資産になるという。

須田氏は現在、二人目の担当役員のもと、超メガベンチャー級の経営者の考え方をインストールしながら、日々の経営者経験を積み上げ、キャリアを着実にアップさせていっている。

 

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■「子会社社長」が考えるCAの人事、人材戦略の強みとは?

上述したように、「子会社社長」という立場を活用しながら、役員の近くで仕事をしてきた須田氏。彼の考えるサイバーエージェントの強み、特に人材戦略上の強みはどんなところにあるのだろうか。

「まず第一に、『勝つ集団』の制度と文化ですね」

この質問に対して、上記のように即答してくれた。ポイントは「勝つ集団の」という枕詞で詳しく聞いてみると下記3つの要素に分解できるようだ。 

  • モチベーション、人の感情起点
  • 徹底力(作るだけでなく徹底して浸透、運用する)
  • 捨てる力

それぞれ簡単に説明しよう。

まずひとつ目の「モチベーション、人の感情起点」だが、須田氏曰く「サイバーエージェントの人事制度は徹底して人のモチベーションを上げることをスタート地点に考えられている」という。実際、昇格・昇給だけでなく、表彰制度はかなり充実しているし、須田氏の言葉を拝借すれば「社員の一人ひとりを『主人公』にする」ための諸施策、文化が根付いている。これが会社のロイヤリティに直結し、深いモチベーションにつながっているというのだ。

またそうして作られた制度も、運用されなければ意味がない。サイバーエージェントには「企画2割、運用8割」という言葉があるが、企画よりも運用に比重を置き、徹底して浸透・改善をするところに強みがある。

最後に3つ目。意外と忘れがちなのが、「捨てる潔さ」だ。同社は「企画2割」で制度を考え、「8割」の徹底力を持って運用をするが、それで当初の仮説が間違っている、あるいは社員の満足を得られないなどの結果が得られた場合、その制度自体を捨てることをいとわない。潔く「捨てる」のである。

これが非常に重要なポイントで、どんなに時間をかけて考え、愛着のある制度、企画であっても、意味をなさない制度をそのまま存在させていると現場は「シラケ」てしまい、かえって逆効果になってしまう。こうした損切りとも言える潔さも、同社の人事戦略上の強さと言えるだろう。 

■子会社社長は、「スケールを大きく経営を考える」ための重要なキャリアステップ

上記の通り、須田氏の発言、考え方は2014年入社の若手とは思えないほど深く、また経験に根付いたものであり、「子会社社長」という制度が単なる「経営のおままごと」ではなく、リアルな「経営者体験」であることはひしひしと伝わってくる。 

また常にグループ内での自社(子会社社長の会社)の立ち位置を考えるということは、サイバーエージェントが市場においてどのようなポジションにおり、その中で自分たちの子会社はどう立ち回るべきなのか?というマクロな視点も含めて思考することでもある。つまり、単純に起業するよりも視点が高くなる可能性すらある。事業を立ち上げた瞬間からサイバーエージェント全社視点、で経営を考えるのだ。

 「子会社社長」というサイバーエージェント独自の文化それ自体の効用も改めて実感しつつ、そうした制度を容認、推奨するカルチャーにサイバーエージェントの強みの一端があるのだろう。

 

[後編に続く]「子会社社長」の1on1は「バリエーション」に秘訣あり

 

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