1on1が注目されHR界隈では一般化してきているが、サイバーエージェントでは2005年前後から「月イチ面談」という名称の「サイバーエージェント流1on1」を実施し続けている。

月イチ面談を実施している企業のイメージ

「月イチ面談」とはなにか?

同社は「成果主義」を掲げているが、一方で変化の激しいインターネット業界に身をおいているために、「成果の定義」それ自体を状況に合わせて柔軟に変更する必要がある。しかし「成果」が頻繁に変わってしまうと、メンバーは混乱しかねない。そこに必要なコミュニケーションがなされなければ、「納得のいかない評価」につながってしまい、最悪の場合、離職や給食につながってしまう可能性すらある。

そうした事態に向き合う中で導入されたのが、「月イチ面談」だ。

導入当初から「強制」ではなく「推奨」とし、面談の仕方がわからないマネージャーのサポートなどは人事が行うこととしていたが、「月イチ面談」を行ったメンバーからの評価や実際の離職率などにも違いが見られるようになったことから、推奨ではあるものの今は全社的な施策として広がりを見せている。

月イチ面談が目指すのは「コミュニケーションの機会増」と「納得感の醸成」

ベンチャー企業は組織が小さい頃は上司と部下のコミュニケーションも頻繁になされるが、拡大期に入ると一気にコミュニケーション機会が減ることが頻繁に見られる。会社が急成長し、組織が急拡大することに意識を奪われ、このコミュニケーション機会の現象に目を向けられていないと、中長期的な弱みになりかねない。

離職理由の大きな理由の一つに「上司との関係性」があげられるが、上司側が思っているほど「部下との対話」はできていないもの。実際著者も最初は「面談」というものの効用を軽視していたが、実際にやってみると意外なほどに対話がなされ、そのメンバーの人間性を知る良いきっかけにもなった(逆に言えば、そういう性質を知らずにマネジメントしていたことになる)。

また上司側は当然理解してくれているだろう、と思い込んでいる「ミッション」「組織の目標」なども実際には浸透していないことが多い。このズレが生じている中で様々な成果の「評価」をしてしまうと、納得感が低く、不平不満につながってしまう。

月イチ面談は非常にライトな施策だが、こうした上司と部下の間のラポール(相互信頼の関係)構築に大きく貢献してくれるのだ。

月イチ面談では何を話すのか?

ベンチャー企業のマネージャーが部下と面談をするときによくやってしまうのが、「指摘」だ。成果の振り返りをする中で、良かれと思って「もっとこうしなきゃだめだ」「なぜこうしなかったのか」と「指摘」を中心にしてしまう罠が存在する。

月イチ面談の目的はあくまで納得感の醸成であり、それにつながる信頼関係を構築すること。何を話しても指摘で返してくる上司にメンバーは心を開くことはなく、結果「納得感」からは遠ざかってしまう。

では、月イチ面談では何を聞くべきなのか。同社では「先月・今月・中長期」の3つの視点で対話するようにしている。

  1. 先月:先月の成果に対する振り返り
  2. 今月:今月どうするのかという議論・相談
  3. 中長期:中長期のキャリアの話

1.に時間をかけがちだが、できる限り2.3.の話題にまで展開し、足りなければ別途取るなど、「月イチ」にこだわらずに柔軟に対応することも重要だ。

【編集長・渡邊が考える、ここがポイント】

私が記憶している限り、「月イチ面談」が開始された頃はそれに賛同していない人間も多数存在していた。「面談をしなくても普段からコミュニケーションしている」「よく飲み会に言っている」などなど、改まって「面談」することに対してその必要性を感じていないマネージャーも多く存在していたと思う。

しかし、実際運用してみると、「月イチ面談」を実施している部署の離職率が低くなったり、Geppoなどにメンバーから喜びの声が寄せられるようになった。そしてサイバーエージェントの人事はうまくそれを社内広報し、「より良い部署づくりのために月イチ面談を」という空気を作っていったところが非常にうまかったな、と考えている。こうなってくると、「月イチ面談」をやらない上司は良くない上司、という感覚すら社内に芽生え始めていたと思う。

1on1を浸透させるためには、ツールの導入や制度を充実させるよりも前に、こうした「必要性」をきちんと伝えていくことが肝要なのだと思う。

 

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