スタートアップ企業をはじめとする若い組織では、構成するメンバーも若手中心になりがちです。そういった組織が事業を展開していく際、特定の分野・サービスにおいて、「社内に経験豊富な人材がいれば」と考えてしまう場面があるでしょう。
一方で経験豊富な人材を雇用するには安価ではない人件費をかかり、若い企業にとって大きな負担になりかねません。今回はコストをおさえて経験豊富な人材との接点を持てる方法として、顧問契約とコーチングサービスを紹介します。
①若手中心組織の悩み
構成メンバーが若手中心で少人数の組織において、事業やサービス運営についての知見不足は解決が難しい課題です。大きな組織であれば社内の異動や、人材紹介サービスを活用した採用などによって補強が可能ですが、人材・採用予算ともに限られた組織では簡単なことではありません。
「人件費をかけられないが、社内に経験豊富な人材がいれば」という若手組織は、経験豊富な人材を採用することなく接点を持つ方法をとるべきです。具体的には「一時的に社内を見てもらう」、もしくは「こちらから社外の人材に会いに行く」という方法をとることを検討してみてください。
「一時的に社内を見てもらう」という方法では、外部の人材と顧問契約を結びアドバイスを求めることができます。また、「こちらから社外の人材に会いに行く」という方法では、社内の代表者がコーチングサービスを活用し、社外人材からアドバイスを受け、その内容を社内に持ち帰り共有することができます。
上記のような形で外部人材との接点を持つ方法について、メリットや具体的なサービスを紹介します。
②外部人材の活用(顧問契約・コーチングサービスとは)
●顧問契約とは
社内に外部人材を招く方法です。高度なスキルや豊富な経験を持ったビジネスパーソンに、自社の状況を見てもらい、アドバイスや改善提案を受けることができます。サービスによっては有名企業をリタイアした経営者や幹部が顧問として登録している場合もあります。
<顧問契約のメリット>
・厳選された人材と接点を持つことができる
顧問契約サービスに顧問として登録をするには一定の基準を満たす必要があります。そのため、十分な経験や知識がある人材と接点を持てる可能性が高いといえるでしょう。
・必要な時期に必要な量の協力を依頼できる
通常の採用と異なるのは一定期間だけの協力要請が可能ということです。また、依頼する回数についても新規事業立ち上げ時には週に1回、事業が軌道に乗りだしてからは月に1回という形で利用できるので、コスト面で大きな負担になりにくいでしょう。
・人材がマッチしなかったときに見切りをつけやすい
自社で直接雇用を行った場合、想定外の人材が入社してしまったとしても、すぐに採用し直すということはできません。しかし、顧問契約サービスの場合、運営元に対して自社に合った人材の紹介を依頼することができます。雇用契約ではないからこそお互いにとっての負担を抑えられるでしょう。
●顧問契約サービスの一例
・顧問名鑑
登録顧問数は1万4000名以上。上場企業の取締役・部長経験者が中心で、顧問の知見と人脈を活用し、多くの中堅・スタートアップ企業の課題解決をしてきた実績があります。顧問契約サービス活用企業数は7000社以上です。
▼顧問名鑑についての詳しい情報は下記をご覧ください。
https://komonmeikan.jp/
・i-common
幅広い分野の専門家を「アドバイザー」、「監査役」、「取締役」、「経営顧問」として提案し、経営支援を受けることができるサービスです。登録顧問数は1万3000名以上、導入企業数は2200社以上。顧問契約サービスに加え、企業向けのイベント・セミナーも定期的に実施しています。
▼i-commonについての詳しい情報は下記をご覧ください。
https://i-common.jp/
・パソナ顧問ネットワーク
2019年6月に設立し、10月1日に事業開始したばかりの新しいサービスながら、導入企業数はすでに2000社以上と多くの企業に支持されています。上場企業の元役員や専門家、フリーランスまで、様々な分野のプロフェッショナルが顧問として登録しているサービスです。
▼パソナ顧問ネットワークについての詳しい情報は下記をご覧ください。
https://www.pasona-komon.co.jp/service/
・プロフェッショナル人材バンク
経営相談から実務支援まで、各分野のプロフェッショナルが7000名在籍している同サービス。支援実績も2000社以上と豊富で、公式サイトの問い合わせフォームから顧問サービスの導入事例集をダウンロードすることが可能です。
▼プロフェッショナル人材バンクについての詳しい情報は下記をご覧ください。
https://komon-haken.spool.co.jp/komon-haken
●コーチングサービスとは
顧問契約とは異なり、既存社員が個人で社外のプロフェッショナル人材に会い、アドバイスをもらい、それを社内に持ち帰ることで、課題解決のヒントを得るのがコーチングサービスです。1対1でのやりとりが想定されるコーチングサービスでは、オンラインでコミュニケーションをとる場合がほとんどです。
<コーチングサービスのメリット>
・段階的に情報開示ができる
コーチングサービスの場合、顧問契約のように社外の人間が社内にやってくるわけではなく、遠隔での対応がほとんどです。そのため、はじめの段階ではすべての情報を開示しないという方法をとることができます。コーチに信頼をおけるようになってから核心となる部分を相談することも可能です。
・時間や場所の制約を受けにくい
ほとんどの場合はオンラインでの遠隔対応なので、事業エリアを問わず外部人材からアドバイスを受けることが可能です。また、コーチングサービスの場合、個人と個人のやりとりになるため、双方が合意すれば夜間や早朝で対応を依頼することもできます。顧問契約よりも柔軟性が高いといえるでしょう。
・単発での利用も可能
コーチングサービスは人材と企業ではなく、個人間の契約になりますので、より気軽にサービスを利用することができます。複数回のコースを組んで利用することも可能ですが、単発で利用し、有用性を確認することもできます。なかには初回は低価格でトライアル利用ができるサービスもあります。
●コーチングサービスの一例
・ザッパス コーチング
ビジネスパーソン向けオンラインコーチングサービス。月8000円(3回)から月3万円(3回)という料金設定のため、会社支給で利用する場合もあまり大きな負担にならないでしょう。またプラン選択で迷いがある際にはお試しセッション(半額)の利用も可能です。
▼ザッパス コーチングについての詳しい情報は下記をご覧ください。
https://zapass.co/
・コーチング.com
1回25分/8000円からスタートできるオンラインコーチングサービス。変化のスピードが速いインターネット業界や、ベンチャー企業の社員に対するコーチングに強みがあります。1回につき1つの業務課題を解決することを目的としているため、気軽に無駄のないアドバイスを受けることができます。
▼コーチング.comについての詳しい情報は下記をご覧ください。
https://www.corchingcom.com/
・ブレークスルー・コーチング・サービス
中堅・中小企業の経営者や起業家を対象とするマンツーマン方式のコーチングサービスです。コーチングの前に、ストレングスファインダーを用いた客観的なプロファイリングを行う点が特徴です。料金は1回60分1万2900円から。
▼ブレークスルー・コーチング・サービスについての詳しい情報は下記をご覧ください。
http://www.follow-yourdreams.com/service04
③まとめ
今回は顧問契約とコーチングサービスという2つの外部人材活用方法を紹介しました。コストをおさえて経験豊富な人材との接点を持ちたいというスタートアップ企業には、心強い味方になるはずです。
また、このような外部人材との接点を持つ際にはそこで得た知見・ノウハウをどのように社内に蓄積していくかも重要なポイントです。社外の人材から解決策やアドバイスはその場その場のものになりがちですが、社内にストックすることができれば、それは組織の財産になります。
目の前の課題解決と知の蓄積、両方に取り組むことで本当の意味で外部人材活用が機能することでしょう。