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昨今の社会情勢から、テレワークは急速に普及しました。多くの企業で導入された結果、新しい働き方として現在も定着しています。

通勤の負担が軽減され、時間や場所にとらわれず働けるというメリットがある一方、生産性や労務管理にはさまざまな課題が現れています。
本記事では、コミュニケーションの課題を解決するための改善策や、企業での取り組みにおいて重要となるポイントについて解説します。

 

目次

 

日本におけるテレワークの現状

【図版】テレワーカー割合(サラリーマン)の推移

昨今の情勢により、日本全国でテレワークが急速に普及し、働き方には変化がありました。

まずは、テレワークが普及した後の課題と継続状況などについて確認します。

 

2022年時点でテレワークの普及率は26.1%

国土交通省が毎年実施している「テレワーク人口実態調査」によると、2020年には前年度比倍増の20.3%、2021年には27%まで増えました。その後、2022年は26.1%となっており、微減はしたものの、テレワークという働き方が企業に定着している様子が伺えます。

出典:国土交通省 「令和4年度 テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」

 

メタバースなど新たなテクノロジーも出現

テレワークの普及に伴い、新たなテクノロジーも出現しています。

たとえば、オンライン上で実際の出社した働き方を再現できるように、メタバースやバーチャルオフィスなどのサービスが登場しました。

 

こうしたテクノロジーによって、オンライン上でも組織の一員として働く実感や、メンバーへ気軽に話しかけられる環境が提供されています。

 

2023年以降はハイブリッドワークが普及している

懸念が続いていた感染症の拡大が収束に向かうのに伴い、社会が以前の状態に戻りつつあります。そんな中、企業における働き方は、3年間でテレワークが定着したこともあり、継続している企業も少なくありません。

 

その一方で、出社の比率を増やしているところや、基本的に出社するように変更した企業も増えており、その時々の仕事の内容に合わせて働く場所を自由に選択する「ABW(アクティビティベースドワーク)」や、出社とリモートを組み合わせた「ハイブリッドワーク」といった働き方が広がりました。

 

テレワークにおけるコミュニケーションの課題

【図版】テレワークの難しい点

多くの企業に導入され定着したテレワークですが、コミュニケーションの面で難しさがあるという声も少なくありません。具体的にどのような問題点があるのか、詳しく解説します。

 

勤怠管理や進捗状況の管理が煩雑になる

リモートワークになると、毎日顔を合わせる働き方と比べて、どうしてもメンバーの状況がわかりにくくなります。抱えている課題やモチベーションの状態などがつかみにくいというのは管理者の多くが課題として感じています。

 

勤怠管理や進捗管理にもツールなどを活用する必要があり、利便性は高まった一方で、対面で仕事をしている状態よりもメンバーの状態を気にかけて確認する必要が生じています。

 

社員間のコミュニケーションが減る

リモートワークでは、一人で集中して仕事がしやすくなる半面、社員間のコミュニケーションが減りやすい傾向にあります。

【図版】テレワークのデメリットだと感じる点TOP5

出典:厚生労働省 テレワークをめぐる現状について

構成労働省の統計でも、社内のコミュニケーションハードルが高くなりやすく、気軽な相談や報告が難しいという課題が挙げられています。同僚との雑談などカジュアルなコミュニケーションが減少し、気分転換や簡単な質問ができなくなりがちになるほか、質問がしにくくなったために、問題がそのまま放置されてしまうケースの増加も考えられます。

 

疎外感からモチベーション低下

リモートワークの頻度が高まると、孤独感が高まりやすくなるのも大きな問題です。

社員によっては「自分だけが取り残されているのではないか」「サボっていると思われているのではないか」という不安を感じてしまう場合があります。

【図版】テレワーク業務時の不安

出典:厚生労働省 テレワークをめぐる現状について

テレワーク期間が長期化するほど、今後の自分のキャリアにも影響が出るのではないかという「キャリア不安」にも陥ってしまい、モチベーションの低下へつながるケースも出てくるでしょう。

 

限定的な情報しか得られない

リモートワークをしているメンバーとのコミュニケーションの手段は、メールやチャットが中心になります。そのため感情面や言葉のニュアンスが伝わりきらず、事務的な印象になりやすい傾向があります。

 

表情や態度といった非言語コミュニケーションがないため、仕事に対する熱量や想いが伝わらず、必要最低限の共有のみで限定的な情報しか得られなくなってしまうリスクも考えられます。

 

人事評価が難しい

リモートワークでは人事評価が難しくなります。メンバー同士が離れて仕事をしているため、途中経過や取り組む姿勢が見えにくくなり、仕事の成果だけで判断する傾向があるためです。

 

結果が形として見えにくい仕事や、長期間にわたる業務などに取り組むメンバーに対しては、慎重な評価をする必要があるほか、テレワーク環境に適した評価精度への見直しなども必要になるでしょう。

 

テレワーク中にコミュニケーションが不足しやすい理由

テレワーク中にコミュニケーションが不足しやすい理由

前述の通り、テレワークの導入にはコミュニケーション面で課題が生じやすい傾向にあります。なぜ、テレワーク下においてコミュニケーションが難しくなってしまいやすいのか、具体的に考えられる理由について解説します。

 

テキストコミュニケーションが中心となってしまう

テレワーク中は、業務上のやりとりの中心がチャットやメールといったテキストコミュニケーションが中心になります。

 

要点や結論をうまくテキストでまとめられない人や、テキスト中心のコミュニケーションに不慣れな人は、対面のコミュニケーションのような気軽な相談をしにくくなったり、組織に対する意見を表明しにくくなったりすることが考えられます。

 

ミーティングや直接話すまでに手間がかかる

何か話をする必要がある場合に、オフィスに出社していた時よりも、その都度ミーティングを設定したり、電話できるか相談したりする必要があります。

 

人によってはなかなか時間を取りにくいケースもあり、コミュニケーションを取るハードルが高くなってしまいやすいことも原因の1つとして挙げられます。

 

業務以外のコミュニケーションを取る機会が減る

リモートワークでは、チャットやミーティングも含めて、コミュニケーションの内容が業務に関することに偏ってしまう傾向があります。

 

必要最低限のやりとりで済むので効率的とも言えますが、業務以外のコミュニケーションが減り、細かな感情の変化や状態を読み取りにくい原因になるといえるでしょう。

 

テレワークにおけるコミュニケーション課題解消に向けた改善策

【図版】テレワークにおけるコミュニケーション課題に対する改善案

テレワークによるコミュニケーションの課題の放置は、社員の不安や不満を招く可能性があり、離職にまでつながってしまうケースもあります。そのため、テレワークを実施する企業には、テレワークにおける課題を解消するための対応が求められます。

 

ここからはテレワークのコミュニケーション問題を解決するための改善策になり得るものをいくつか紹介します。

 

ミーティングの質を向上させる

チーム内でおこなうミーティングの質を向上させることで、コミュニケーション不足を補えるようになります。具体的には、事前の情報共有と役割の明確化という2点の対策が挙げられます。

 

アジェンダの事前共有

会議を一方的な報告の場にしないために、アジェンダを事前に共有しておくことをルール化しておくことをおすすめします。会議に入る前に参加者が自分なりの考えをまとめたり、関係する情報を集める時間をつくったりすることで、会議中の話し合いを活性化にもつながります。

 

ミーティングの進行役の明確化

オンラインミーティングでは、進行役が重要です。対面のミーティングではミーティングの進行に多少難があっても気になりませんが、オンラインでははっきりと現れてしまいます。

ミーティングを開始する前までに、誰がどのように進行させるのかを明確にしておくとスムーズになります。

 

また、ミーティング資料のフォーマットを決めておくなどして、進行役が事前にしっかりと準備できるようなルールを決めておくといいでしょう。

 

カジュアルなコミュニケーションの場を作る

会議の席では議題や話をする人がある程度決まっているため、自由に発言しにくいケースも少なくありません。そこで、あえてゴールや目的を明確にしないコミュニケーションの場を定期的に設けて、日頃のコミュニケーション不足を補うようにするのがおすすめです。

 

週に1度、連絡事項の共有などもかねて最近興味のあるものなど、カジュアルな会話をすることでチーム内の雰囲気も良くなりやすく、業務の連携などが取りやすくなるでしょう。

 

オンライン研修を実施する 

テレワークでの業務形態に対応できるようにオンラインで研修を行い、業務の進め方やリーダーシップ、マネジメントなどについて学ぶ機会を設けるのもおすすめです。

 

リモートワークのメンバーがいるチームでは、オフィスで一緒に仕事をするときとは異なるリーダーシップやマネジメントが求められます。そのための知識を身につけ、実践できるような状態を目指します。オンライン研修に適したツールの有効活用もよいでしょう。

 

コミュニケーションツール上のマナーやエチケットの明確化

チャットツールなどのコミュニケーションツールは導入するだけでなく、マナーやルールを規定し、有効に活用できる方法を学ぶ機会を設けるのもおすすめです。

 

コミュニケーションにおけるルールが何もない状態だと、コミュニケーションコストの増加に伴う生産性の低下や、やり取りに起因する社員同士のトラブルなどを招きかねません。コミュニケーションツールは、メンバーが共通のマナーやエチケットを守って、上手に活用することで真価を発揮するでしょう。

 

チームビルディングアクティビティの実施

チームの協力が必要なゲームを行うと、必然的にメンバー間のコミュニケーションが活性化されます。

 

オンラインでもおこなえる簡単なゲームやイベントを実施することで、メンバー間のコミュニケーションを増やせます。オンライン会議のツールを使ったゲームは多数存在しているため、自社に合う面白そうなものを試してみるとよいでしょう。

 

チームの生産性を向上させるツールの提供

対面で働いているような環境をオンライン上で再現する、メタバースを用いたバーチャルオフィスなど、テレワークを円滑に進めていくためにさまざまなツールが開発されています。

 

チームの状況に合ったツールの導入を検討してみることも、コミュニケーション課題を解消する手段の1つとして考えられるでしょう。

 

サーベイツールを活用する

離れて仕事をしている状況では、社員の意識がどのような状況にあるのかを把握することが重要です。そこでサーベイツールを活用し、社員のコンディションやエンゲージメントを定期的に確認することをおすすめします。

 

サーベイツールでは、働く環境や社内制度に対する社員からのフィードバックが得やすくなり、社員や組織の課題を可視化できます。早期に課題解決に向けた対策が取れるようになり、従業員満足度を高められるでしょう。

内部リンク想定
https://www.geppo.jp/blog/survey-tools

 

テレワークにおけるコミュニケーションを改善するためのポイント

テレワークにおけるコミュニケーションを改善するためのポイント

ここまでテレワークでのコミュニケーションを改善する方法を紹介してきました。次に、これらの手法を実施していく上での重要なポイントについて解説します。

 

コミュニケーションの重要性について周知する

チーム内でコミュニケーションの重要性を、しっかりと共有しておくことが重要です。

 

メンバーと話し合いの場を設けて、コミュニケーションの不足によって発生している問題を明らかにします。その対策として改善も取り組むことを周知し、納得してもらうようにしましょう。

 

チーム内でコミュニケーションに対する意識が統一されていないまま対策を講じても、十分な効果が上がらず、不満が発生する原因にもなりかねません。事前にしっかりと話し合っておくことが重要です。

 

就業規則や働き方の明確なガイドラインを設定する

テレワーク下のマネジメントでは、離れて働いている社員の状況を把握し、適切なコミュニケーションがとれるよう、事前に明確なガイドラインやルールを設定しておきましょう。

 

チャットなどのツールの使い方、報告のタイミングや不明点の確認の仕方などを細かく規定しておきます。メンバーと共通の認識を持ってルールを運用するのが効果的です。

 

テレワークに対応したマネジメントやリーダーシップの教育

テレワークが多くなるとリーダーシップの在り方も変わってきます。
メンバーを管理するだけでなく、モチベーションを高め、自ら取り組む意識を持たせるようなコミュニケーションが求められます。

 

チームの管理者やリーダーに対して、テレワークに対応したマネジメントやリーダーシップの教育を実施し、テレワークを導入してもチームとしてうまく稼働できるようなスキルを身につけられる状態にするのが望ましいでしょう。

 

メンバーの多様なニーズの把握

テレワークの導入は、子育てや介護がある人も働きやすいメリットがあります。さまざまな働き方をするメンバーの参加に伴い、メンバーのニーズも多様になります。

 

管理者は、メンバーの多様なニーズをしっかり把握し、対応する準備をしておく必要があります。定期的に悩みや意見を収集する機会を設けるのも有効です。

 

テレワーク社員のコンディション把握には「Geppo」が有効

Geppo製品訴求イメージ

テレワークによって、社員同士のコミュニケーションが取りづらい環境になると、心身の状態も把握しにくくなります。組織や社員のコンディションを測るには、サーベイツールの導入がおすすめです。

 

「Geppo」は、半年あるいは四半期に一度実施する組織サーベイや、より高い頻度で実施するパルスサーベイが効率的に進めやすくなるツールです。少ない設問数で対象者の負担にならないだけでなく、より高い回答率が得られるよう設計されています。

 

サーベイを定期的に実施することで、組織や個人の問題を早期に察知し解決が図れるようになります。社員や組織の状態を把握して適切な対策を講じれば、組織の生産性向上にも寄与するでしょう。

 

テレワーク中に抱えている課題やモチベーションについて確認できる

【図版】Geppoの活用によって人事課題を網羅できる

Geppoのパルスサーベイでは、これまでのノウハウをもとに選び抜かれた「仕事満足度に関する質問」「人間関係に関する質問」「健康に関する質問」という3つの質問で、多くの人事課題を網羅できるように設計されています。

 

また、こうした3問の質問とは別に自由に質問を追加設定できます。テレワークに関する質問することで、社員の状態を把握でき、コミュニケーションのきっかけになるでしょう。

 

たとえば、「リモートワーク(在宅勤務)はいかがですか?」「在宅勤務(リモートワーク)と出社では、どちらのほうがパフォーマンス(生産性)が上がりますか?」「リモート化の仕事とプライベートが棲み分けできていますか」といった質問を設定します。

 

こうした質問を通して、テレワークの課題を改善するきっかけにつなげていけるでしょう。

Geppo製品訴求イメージ

 

 

まとめ

まとめ

テレワークの普及は今後も続くと思われます。多様な働き方が導入されれば、それに伴ってマネジメントの形態も変えていかなければなりません。

テレワークで働くようになると、コミュニケーションが不足しがちになり、モチベーションやエンゲージメントが低下したり、メンバーの状況が把握しにくくなったりして、チームの運営が難しくなります。

 

サーベイにより定期的に社員のコンディションを把握することや、コミュニケーションを促進させる策を講じるなど、具体的な対策が求められています。

 

【監修者プロフィール】

geppo監修木下洋平 

木下 洋平

合同会社ミライオン

 

株式会社リクルートや教育研修会社での勤務後、現在は独立した専門家として活動。

キャリアコンサルタント資格を取得し、400人以上の個人のキャリア開発をサポート。

また、企業向けの人材育成・組織開発コンサルティングも手掛けており、個人と組織の両面での支援を行っている。

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