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テレワークという新しい働き方が導入されているなか、管理職側に求められるマネジメント内容も大きく変化してきました。

 

本記事では、テレワーク環境下におけるマネジメントの重要性から注意点、課題を解消するポイントまで詳しく紹介します。

 

目次

 

日本におけるテレワークの現状

日本におけるテレワークの現状

2023年4月に東京都で実施したテレワーク実施率の調査では、テレワークを実施している企業が全体の46.7%を占めていることがわかりました。

【図版】従業員規模別のテレワーク実施率

出典:東京都「テレワーク実施率調査結果をお知らせします!4月の調査結果」

2020年以降、社会情勢の変化により急速に普及し、新しい働き方として浸透しつつあるテレワークについて、まずは国内の現状や生産性の変化を紹介します。

 

国際調査では在宅勤務の生産性の低さに懸念がある

テレワークが新しい働き方として定着してきている一方で、新たな課題も出てきています。

 

レノボ・ジャパン合同会社が実施した調査によると、日本の回答者のうち40%が「在宅勤務はオフィス勤務と比べて生産性が低下する」と回答し、世界10カ国中で最下位となりました。

【図版】国際調査「テクノロジーと働き方の進化」について

引用:レノボ・ジャパン合同会社 コロナ禍における働き方の変化と在宅勤務へのテクノロジーの貢献に関する意識調査

この結果を踏まえると、テレワークの普及が進むなかで、生産性向上が課題となっていることがわかります。

出典:レノボ・ジャパン合同会社 コロナ禍における働き方の変化と在宅勤務へのテクノロジーの貢献に関する意識調査

出典:レノボ本社広報サイトの原稿

 

テレワークにより生産性が向上したという企業もある

テレワークについて生産性が課題と感じている企業がいる一方で、生産性が向上した企業もあります。たとえば、平成29年に総務省が行ったデータによると、約6割以上の企業がテレワークの導入によって労働における生産性の向上が見込めたと回答しています。

 

また、テレワークを導入していても、生産性の向上により企業の業績が拡大していることがわかります。

【図版】企業のテレワーク導入目的と労働生産性向上の成果

出典:総務省「情報通信白書」 労働生産性向上にも資する「攻め」のテレワーク

 

【図版】テレワーク導入状況と直近3年間の売上高、経常利益が増加傾向の企業の比率(従業員数300人以下)

出典:総務省「情報通信白書」 労働生産性向上にも資する「攻め」のテレワーク

テレワークを成功させるためには、テレワークの社員に対して適切なマネジメントしたり、インターネットや必要機材の準備をしたりといった環境整備にも目を向けて行く必要があります。

 

テレワークマネジメントとは

テレワークマネジメントとは

テレワークマネジメントとは、在宅で働く社員に対してコミュニケーションの円滑化やプライベートとの線引き、セキュリティ対策への強化といった管理をするマネジメント手法を指します。

 

テレワークマネジメントを適切におこなうことで、在宅勤務の社員のモチベーションや生産性を向上させて、企業の目標達成につなげられます。

 

テレワークにおけるマネジメントの課題

テレワークにおけるマネジメントの課題

テレワークの導入は社員にとって働きやすい環境である一方で、管理職側はマネジメント部分でいくつかの課題が発生しています。ここではテレワーク導入によるマネジメントの課題を5つ紹介します。

 

評価基準に対して社員からの納得が得にくい

テレワークはオフィスで働く社員に比べて上司や同僚の目に触れる機会が少ないため、勤務態度や業務のプロセスが見えにくく、人事評価に対して納得が得られにくいという問題があります。

 

また評価基準が明確に定まっていない場合、人事評価の結果によっては社員から「自分は評価されていない」と感じさせてしまう可能性があります。

 

不満を解消できない場合、離職につながってしまう恐れもあるでしょう。

 

部下とのコミュニケーション機会の減少

テレワークでは部下と社員が離れて働くため、オフィス勤務と比べてコミュニケーションの機会が減少します。

 

コミュニケーションの機会が減少してしまうと、管理職側として仕事の進捗状況や課題の共有がうまくいかず、トラブルやミスの発生率が高まってしまう可能性があるでしょう。

 

また上司と部下との関係性が希薄になり、信頼関係が構築できず、結果的に部下のモチベーションや企業に対する意識低下を招いてしまうかもしれません。その結果、離職率が高まってしまう場合もあります。

 

組織の指針や情報が浸透しづらい

事業の指針や事業における今後の方向性などは、本来チームがオフラインの機会を設けてじっくり回数を重ねて共有すべき情報です。

 

しかし、テレワークの導入が進むことで情報の共有が対人ではなくメールやチャットツール、オンラインアプリといったコミュニケーションツールに限られてしまいます。

 

メールやチャットツール、オンラインアプリには相手の表情や声色、思いが伝わらないといったデメリットがあります。ニュアンスの伝達が難しくなり、業務で重要な情報が伝わらない可能性があるでしょう。

 

社員の主体性が下がる可能性がある

テレワークになると、上司や同僚からの指示やサポートを直接受けることが難しくなるため、社員自らが考えて仕事を進めていかなければいけない場面が増えていきます。

 

しかし、社員のなかにはしっかりとしたサポートや指示がないと、主体性を持って仕事に打ち込めない人もいます。サポートや指示が不足してしまうことで、社員の不満が高まり離職につながってしまうケースも少なくありません。

 

メンバーの心理状態や健康状態に気づきにくい

テレワークが普及する中で直接会うことが難しくなり、チームメンバーとの顔を合わせない期間が長くなりました。

また、細かな感情やコミュニケーションのニュアンスを把握するのが難しく、メンバーの心理状態や健康状態を正確に読み取ることが難しいという問題もあります。

 

2020年7月に行ったリクルートの調査によると、テレワーク経験者の管理職層のなかで、未経験者に比べて約7割が「部下の心身の健康の悪化の兆候を見逃してしまうこと」に対して不安を感じているという結果になりました。

 

対面でのコミュニケーションが制限され、仕事の進捗やプロジェクトの進行だけでなく、メンバーの個々の状態やニーズを把握することが難しくなっています。

【図版】テレワーク・マネジメントの「不安」と「機会」

出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 【調査発表】テレワーク環境下で管理職が不安に感じていることや個々が身に付けておくべきスキルが明らかに!テレワーク実態調査 結果を発表(前編)

 

テレワークマネジメントを成功させるためのポイント
テレワークマネジメントを成功させるためのポイント

テレワークには課題がありますが、ポイントを押えれば成功させることができます。

テレワーク下でも生産性を高めて行くにはどのようにすればよいのか、テレワークマネジメントを成功させるポイントを紹介します。

 

テレワークに適切な人事評価基準を設ける

人事評価基準とは、組織やチーム、個人のパフォーマンスや業務における行動を評価する基準を指します。

 

テレワークでは、社員の業務上のプロセスや勤務態度などが把握しづらいため、誰もが納得する適切な人事評価基準を設けるようにしましょう。評価基準を決める際は、成果だけに振り切るのではなく、さまざまな視点から評価できるような指標を取り入れることも意識しましょう。

 

適切な評価基準を組み込めれば社員のモチベーションが維持ができ、効果的なマネジメントがおこなえるようになります。

 

メンバーの心理状態や健康状態を把握する

テレワークになると、オフィス勤務と比べてメンバーのモチベーションや進捗状況の把握が難しくなります。

 

メンバーのモチベーションが低くなると生産性が低下し、最悪のケースでは離職につながります。そのため、心理状態や健康状態を把握しておくことが大切です。

 

心理状態や健康状態の把握にはサーベイツールの活用が有効

テレワーク環境のコミュニケーション不足から起こり得る、不満やモチベーション低下の課題を解消するためには、サーベイツールの活用がおすすめです。

 

サーベイツールとは、社員が労働環境に対して感じている不安や課題を調査できるツールです。オンライン上で回答できる質問に回答してもらい、その結果を分析することで、社員からの意見をリアルタイムに取り入れられ、見えづらい組織や現場社員の課題が把握できます。

 

たとえば、テレワークをしている社員に対してサーベイを実施すれば、テレワーク環境での課題を洗い出すことができ、改善に役立ちます。

 

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ミドルマネジャーの育成

テレワーク下では社員が自発的に働けなければ、生産性を高めるのは難しくなります。

社員が自律するためには単独のマネージャーだけではなく、ミドルマネージャーの存在も必要不可欠です。

 

ミドルマネージャーは組織の中間層にいて、上層部の考えやビジョンを理解すると同時に社員の視点も把握する重要なポジションです。

 

社員の特性や能力を理解して適切な評価基準を設けることで、彼らが自発的に業務に取り組む環境を整えられます。それと同時に、ミドルマネージャーにはマネジメントスキルを高めるトレーニングや機会を提供することで、リーダーシップの向上を図れます。

 

ミドルマネージャーの役割を強化すれば、組織内での指針や情報の効果的な伝達がおこなわれ、テレワーク環境下でも協力的で効率的な業務遂行が実現できるでしょう。

 

社員のタスクを可視化できるようにする

社員の作業状況や進捗が不透明なままでは、マネジメント層は適切な意思決定が難しい状況に陥ります。そのため、業務に対する働きぶりや誰がどのタスクに従事しているか、そして利用可能なリソースの把握が不可欠です。

 

業務やタスクの可視化を促進するために、共有の機会を定期的に設け、アウトプットの方法やWBSの導入、必要に応じてツールの利用も検討しましょう。組織内での情報共有がより活発化し、効果的なマネジメントと円滑な業務遂行が可能になります。

 

透明性を高めた業務プロセスは、チーム全体がより協力しやすくなり協調性の向上や会社全体の成果達成に大きく寄与します。

 

1on1などの定期的な時間は形骸化しないようにルールを徹底する

コミュニケーションの一環として、1on1やミーティングを積極的に取り入れているものの、なかには意味のない話し合いになっているケースも少なくありません。

1on1やミーティングをより意味のあるものにするためには、具体的なアジェンダ(議題)を作成して、何をどのような形式で共有するかをルール化するようにしましょう。

 

アジェンダを作成することで、社員に会議の目的や方向性を理解してもらえるため、無駄な時間を省いて効率的な話し合いを進められます。

さらに、アジェンダに各個人の成果を振り返る議題を含めれば、社員の達成や課題に焦点を当てて、成果や今後のアクションなどの考えを聞き出すことができます。

 

部下とのコミュニケーションやフィードバックの機会を積極的に増やす

部下とコミュニケーションを取る方法として、1on1だけではなく、組織全体を集めたミーティングの実施も重要です。組織全体で企業の目標や課題を共有することで、部署の垣根を超えて全社員が同じ報告を向いて仕事に取り組めるような状態が期待できます。

 

また全員が同じ方向性に向かえれば、一体感が生まれ社員からの意見を聞き出す流れを作り出せるでしょう。新しいアイデアが出やすくなり、組織全体の活性化につなげられます。

 

なお、最近では、オンライン上のコミュニケーションを活性化させる方法としてバーチャルオフィスも注目を浴びています。ログイン中は気軽にコミュニケーションがとれ、アイデアの共有や相談が円滑におこなえます。

 

このようにさまざまなアプローチを組み合わせて、テレワーク環境にも効果的なコミュニケーションフローを構築しましょう。柔軟性と積極性を備えたコミュニケーションが、組織全体の連帯感を高め、プロジェクトの成功につながります。

 

テレワークマネジメントを実施する上での注意点

テレワークマネジメントを実施する上での注意点

テレワークによる成果を出すには、ポイントを押さえると同時に、注意点も知っておく必要があります。事前に注意点を知っておけば、誤ったマネジメントを防げるので、テレワークのマネジメントが成功しやすくなります。

 

管理職は社員のセルフマネジメント力を高めることに努める

テレワークが一般的になるなかで、各個人が自身の考えや行動を管理するセルフマネジメントも必要になってきます。

 

テレワークになると周りに上司や同僚がいないため業務が滞りがちになってしまう人もいるでしょう。そうなると、業務における生産性が低下したり、企業から求められている成果が出せなかったりする可能性があります。

 

誘惑に負けてしまう人や、ダラダラと作業してしまうことに悩んでいる社員に対しては、少しずつセルフマネジメントのスキルを身につけるような取り組みをおこないましょう。

 

社員がテレワーク時でもセルフマネジメントを促進するために、以下のポイントに注力してみてください。

  • 明確な目標設定と期待値の共有
  • 進捗管理と定期的なフィードバック
  • 柔軟な働き方の促進

 

ワークライフバランスを考慮した勤務体制の整備が必要

テレワークは子育てや介護などに取り組みながら働く人も少なくありません。

 

子育ての時間を考慮すると、就業時間後に作業をしなければいけないケースもあります。

そうした働き方の柔軟性を企業は承認しつつも、個人の裁量や状況に合わせて就業時間を調整できるなどの体制を用意しておくことも必要です。

 

社員のワークバランスに合わせた働き方を準備しておくことで、社員の満足度は向上しやすく、生産性の向上につなげられます。

 

メンバーと質の高いコミュニケーションを取るようにする

テレワークにおいてコミュニケーションを頻繁に取ることも重要ですが、「質」にも意識していかなくてはなりません。

たとえば、部下とコミュニケーションを取る機会を増やしても、その議題が業務の進捗や成果の確認が中心になると、部下の心身状態やコンディションなどの把握は難しいでしょう。

また、社員側も、成果や進捗を報告するのみになるため淡白な打ち合わせになってしまい、コミュニケーションの障壁が生まれやすくなる点に注意が必要です。

 

柔軟な働き方に合わせたセキュリティ対策を講じる

テレワークを実施する際は、セキュリティー対策にも十分注意をしなければなりません。テレワークになると、作業場所が自宅だけでなくカフェや旅行先になるというケースも増えてくるでしょう。

 

しかしフリーWi-Fiの利用には、情報漏えいやウイルス感染のリスクがあります。

被害を未然に防ぐためにも、改めてセキュリティポリシーやルールの設定、環境の提供を徹底する必要があります。

 

具体的には、VPN接続やイレギュラーな働き場所になる際の申請制度、また端末の紛失があった場合のマニュアルや定期的なセキュリティチェック・テストなどが挙げられます。

 

マネジメント側だけでなく社員に対しても、日常的にセキュリティに対する意識をしてもらわなくてはなりません。

 

テレワークマネジメントの成功事例

テレワークマネジメントの成功事例

2020年以前からテレワークを導入していたA社では、新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークの導入を急速に加速させました。

 

500人以上の従業員を対象に新しい働き方を展開しましたが、コミュニケーションの課題が浮き彫りになり、特に大きな足止めとなっていたのが「新入社員のオンボーディング」です。

 

そこでA社では、オンラインイベントの展開やメンターシッププログラムの強化をおこない、新入社員が企業文化を深く理解し、組織全体が円滑に目的に沿って適応できるようにサポートしました。

 

さらに、新入社員がテレワークのみで孤立を感じないために、オフィス勤務とテレワークを組み合わせた働き方ができる「ハイブリットワークモデル」を採用し、柔軟な働き方によって新入社員の課題対処に務めました。

 

社員のニーズをリアルタイムに把握したため課題が解消された

課題を迅速に課題解決に導くためには、社員のニーズを深く理解することが重要です。

ニーズの把握にはアンケート調査や1on1の実施など様々ですが、効率よく多くの意見を収集する方法としてサーベイツールの活用が挙げられます。

 

サーベイツールをうまく活用すれば、社員ひとりひとりが抱えている悩みや不満、不満を意見として収集することができます。また、結果を分析することで組織の課題も把握できます。

 

テレワーク中の組織改善には「Geppo」が有効

テレワークでは社員の本音や意見、状況をつかむことが難しく、組織にとって慢性的な問題となりがちです。

 

こういった状況では、サーベイツール「Geppo」の活用がおすすめです。組織と個人の状態を視覚的に捉え、組織の改善に生かす効果的な手段となります。

 

コンディションの変化を定期的に把握する機会として活用できる個人サーベイ

テレワークで把握しにくい個人のコンディションや変化を正確に把握し、素早く適切なフォローアップをおこなうためには、効果的なサーベイツールが欠かせません。そのなかで注目すべきなのが、Geppoの個人サーベイです。

 

社員に毎月質問に回答してもらうことで、社員のコンディションを的確に把握できます。さらにテレワーク下での把握が難しい社員の心身状態を可視化し、コミュニケーションの円滑化をサポートしてくれます。

 

 

 

組織全体の状態や帰属意識について調査する際には組織サーベイを活用

組織全体の状態や従業員の帰属意識を正確に把握することは、持続可能な組織の構築や成長において必要不可欠な要素です。

 

Geppoの組織サーベイでは、組織が抱える様々な問題に対して、具体的で実効性のある解決策を迅速かつ効果的に導き出すことが可能です。 Geppoを活用すれば、従業員のエンゲージメント向上につながり、組織全体の健全な成長を促進できるため、ぜひ検討してみてください。

 

 

 

まとめ

まとめ

テレワークという働き方が普及している一方、管理者のマネジメントや企業にはさまざな課題が浮き彫りになっているのも事実です。

 

特にコミュニケーションの機会が損なわれると、管理者側は部下の業務進捗が把握しづらくなり、一方で社員側は上司の期待や要求に対して正しく理解できずにミスやトラブルを招いてしまうこともあるでしょう。また、モチベーションの低下や不満が蓄積して離職を考えてしまう人もいるかもしれません。

 

このような最悪な事態を避けるために、テレワークマネジメントを徹底することが重要です。

 

特にテレワーク中の社員の本音や、業務・評価への客観的な意見をヒアリングするためには、定期的なサーベイの実施をおこなうのがおすすめです。テレワークマネジメントの改善、強化を考えている方はぜひ検討してみてください。

【監修者プロフィール】

geppo監修木下洋平 

木下 洋平

合同会社ミライオン

 

株式会社リクルートや教育研修会社での勤務後、現在は独立した専門家として活動。

キャリアコンサルタント資格を取得し、400人以上の個人のキャリア開発をサポート。

また、企業向けの人材育成・組織開発コンサルティングも手掛けており、個人と組織の両面での支援を行っている。

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