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離職率は、その企業にどれくらいの人が定着しているかの一つの目安になります。

求職者が特定の企業の離職率を知りたい、また人事担当者が自社や競合他社の離職率を知りたいというシーンはあるかと思います。

しかし、離職率をどう調べるかについて、詳しく知らないという方もいるかもしれません。

そこで今回は、離職率を調べる際、どのように調べるのか、データをどう活用しているのかついて解説していきます。

離職率の定義と算出方法

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離職率の調べ方について解説する前に、そもそも離職率とはどんなものであるかを説明します。

 

「離職率」とは、ある時点の企業の従業員数に対し、一定期間内にどれだけの人が離職したかを示すものです。

この「一定期間」は1年~3年の間で設定されることが多いようですが、その幅が定まっていないだけでなく、法的に定められた計算方法もありません。

ただし、一般的には以下の計算方法がベースとされています。

 

「一定期間に離職した人」÷「起算日の在籍者の人数」×100(%)=離職率

 

 

一方で、別の定義もあります。

上記のような在籍人数を分母にするのではなく、入社人数を分母にした計算方法です。

 

 

「新規入社社員のうち一定期間に離職した人」÷「新規入社人数」×100(%)=離職率

 

いくつか例を挙げていきましょう。

 

  • 離職率の計算

パターン1

社員2,000名の会社で1年間に50人の離職者が出た場合

50÷2,000×100=2.5 →(会社全体の年間の)離職率は2.5%

 

 

パターン2

新入社員を30名採用、1年間で3名が離職した場合

3÷30×100=10 →(新入社員の年間の)離職率は10%

 

 

 

パターン3

新入社員を30名採用、3年の間に3名が離職した場合

3÷30×100=10 →(新入社員の入社3年目までの)離職率は10%

 

 

パターン4

中途入社で5名採用、半年の間に1名が離職した場合

1÷5×100=20 →(中途入社者の半年間での)離職率は20%

 

 

  • 離職率は、前提となる分母と分子の定義が肝要

上記のパターンからわかることは何でしょうか?

 

勘の良い方はすでにおわかりと思いますが、離職率を確認したり、算出したりする際は、分母と分子が何であるかの定義が重要ということです。

分母が「会社の全従業員」であるのか「新規入社社員のみ」なのか、あるいは分子が「1年間の離職人数」であるのか「3年間の離職人数」なのかによって、算出結果が大きく異なるからです。

 

分母と分子の定義をよく確認しないまま、特定企業の離職率を見て高い/低いと評価したり、定義があいまいなまま離職率を算出して誰かに伝えたりすることは、大きな認識間違いを生むリスクにつながるため、注意が必要です。

 

 

離職率の計算方法については、下記の記事でも詳しく紹介しているのでぜひご参考ください。

 

【専門家監修】離職率の計算方法を具体例で分かりやすく説明

 

離職率は『四季報』などで調べられる

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特定企業の離職率を調べる際、下記のようなさまざまな方法が存在します。

 

  • 特定企業における離職率の調べ方

(1)ハローワークに確認する

離職者が出た企業は、必ずハローワークでの手続きが必要とされます。

そのため、ハローワーク側は、各企業の離職率を把握していると考えて良いでしょう。

データとして求人票に掲載されていない場合も、ハローワークに聞いたら教えてくれる場合があります。

また、離職率以外にも気になることがあれば、一緒に聞いてみることをおすすめします。

ハローワークは公的機関であり、各企業との間に利害関係がないため、忖度なしに意見してくれるでしょう。

 

 

(2)『四季報』で調べる

『四季報』とは、日本国内の上場企業の情報をまとめた企業情報誌のこと。

主に投資家が利用する企業情報誌『会社四季報』と、就職活動向けの情報をまとめた『就職四季報』の2種類が発行されています。

このうち、離職率を調べるのに適しているのは『就職四季報』です。

ちなみに、離職率だけでなく、採用実績や有給取得状況なども網羅されているので、各企業の内情をより詳しく知りたいという場合に活用できるでしょう

なお企業が情報を開示していない項目に関しては「NANo Answer)」と表記されます。

 

(3)インターネット検索で調べる

(1)(2)以外には、インターネットの検索エンジンで検索するという調べ方もあります。

企業名と「離職率」のかけ合わせで検索すれば、求人サイトなどに掲載された情報がヒットするかもしれません。

ただし、前述のとおり、どのような前提条件で算出された離職率なのかを確認した上で、数値を解釈することが重要です。

 

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離職率はどう使われるのか

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続いて、離職率は誰のどんな場面でどのように使われるのか、整理してみましょう。

  • 求職者にとって

求職者にとっては、就職先/転職先を検討するシーンで離職率が使われます。

 

特に、就職活動中に企業研究を行っている学生の立場からすると、企業ごとの離職率は関心のある指標の一つかもしれません。

 

厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況※」によると、大卒新卒者の3年以内の離職率は32.8%にのぼります。

 

学生が自身のキャリアプランを思い描く際に、早期での転職も視野に入れるのか、はたまた新卒入社1社目で長く働きたいと考えるのか、にもよりますが、その企業の新卒入社3年後の離職率が3割を超えているのか、や、競合他社と比べて離職率がどうか、は学生側から見て判断材料の一つになりえます。

 

  • 人事担当者にとって

企業の人事部など社員を雇用する側にとって、離職率を使うシーンは多いでしょう。

要員計画をどう立てるか、人事制度の見直しは必要か、採用コストをどう見積もるか……など、離職率は人事の関連業務を行う上での基礎数字として使われる指標です。

 

  • 採用業務において離職率を公表する?しない?

人事担当者が求人募集を行う際、離職率を公表するかどうかの観点で見ると、離職率はどう使われるのでしょうか?

 

離職率が業界平均などと比べて低い=一般的に見てポジティブに解釈されそうな場合は公表する、逆に高い場合はネガティブに解釈されることを恐れて公表しない、とされるかもしれません。

 

  • 離職率は低ければ低いほど良いとは限らない

一般的に離職率が高いとネガティブで、低ければ低いほど良いと思われがちですが、実際には、離職率が仮に0%だとすると、社員が固定化していて上位に空きポジションがなく、新しく入社した人にとっては、キャリアアップの可能性が難しいということも考えられます。

また離職率は低いけれども、社員が会社にぶら下がる意識の人が多く、社内に活気がない場合もあります。

 

一般的には、業界別に離職率の平均数値が公表されていたり、新入社員が入社して3年で3割ほどが辞めるのが日本全体の平均といわれているので、それらを一つの指標として比較し、判断するのが良いでしょう。

 

 

業界別の離職率の平均については、下記の記事でも詳しく紹介しているのでぜひご参考ください。

 

【専門家監修】離職率の平均は?2020年度上半期数値を解説

 

離職率に関わらず、求職者から選ばれる企業とは?

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たとえ離職率が高いとしても、求人募集の面において離職率は企業の一部の情報に過ぎませんし、その数値に気をもむよりは、企業の良いところをアピールする/アピールポイントが足りなければ作る、といった対策をとる方が、求職者からの評価を上げるには効果的かもしれません

では、求職者にとって魅力的な企業とはどんな企業なのでしょうか。

 

(1)会社として目指すビジョンが明確かつ、魅力的である

目指すビジョンが明確ということは、言い換えれば、「どこに向かって進んでいるかがわかりやすい=将来性が感じられる」ということです。

ビジョンが明確な会社であるかどうか、そのビジョンが魅力的かどうかは、求職者にとって重要なポイントの一つになるでしょう。

 

 

(2)評価制度が明確で、公平な評価がなされている

個人の能力や成果をしっかり評価してくれる会社だと胸を張っていえるようであれば、求職者から見ても高いモチベーションを保って仕事をし、高いパフォーマンスを発揮して評価される……というポジティブな入社後のイメージをもってもらえることでしょう。

 

 

(3)柔軟な勤務体系が用意されている

ライフスタイルの多様性が求められるようになってきた昨今は、フレックスタイム制など、柔軟性をもって働けるシステムが整っていると、求職者にとって大切な条件とバッティングしてしまい志望企業でなくなる……といった事態を避けることができます

たとえば、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、増えているテレワークについても、可能な勤務体系かどうかが求職者によっては譲れない条件だというケースもあるでしょう。

 

 

(4)新しいアイデアをどんどん取り入れる風土がある

風通しが良く、自分のアイデアを取り入れてくれる風土があるとなれば、その企業を志望する理由の一つとなりえます

 

このように、「離職率が高い(それが問題だ)」「離職率を下げなければならない」という点だけにとらわれるのではなく、(1)~(4)のような求職者から選ばれるアピールポイントを探す/作ることにリソースを割く方が効果的であると考えます(離職率が問題な場合は軽視して良いというわけではなく、それはそれとして問題の一つと捉えましょう、という考え方です)。

 

  • 離職率改善に着手する際にはツールの活用も

人事業務の中で、離職率はあくまで人事テーマの一つとして扱い、問題があれば解決する、としたときに、工数をかけ過ぎずに問題解決を図る方法はあるのでしょうか?

 

問題の要因が明らかに見えている場合は妥当な打ち手にすぐさま着手できるため比較的少ない工数で対応できるかもしれませんが、そもそも要因や実態が見えていない場合には、まずは調査が必要です。

 

Geppo(ゲッポウ)は、従業員アンケートを定期的に回収するツールです。

また、上長や人事から送られるアンケートではなく、システムから送られるアンケートという見え方になるため、比較的、従業員の本音を引き出しやすい利点があります。

会社としても、どの部署に問題がありそうか、辞めそうな人を早めに把握したり、離職率に影響している要因が何かを調査する際には、Geppo(ゲッポウ)の活用を検討いただくと良いかもしれません。

 

※ 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成293月卒業者の状況)を公表します」

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00003.html

 

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【監修者プロフィール】

監修者(森田英一氏)のプロフィール画像 

森田 英一

beyond globalグループ(シンガポール、タイ、日本)

President & CEO

 

大阪大学大学院 卒業。外資系経営コンサルティング会社アクセンチュア(当時、アンダーセンコンサルティング)にて人・組織のコンサルティングに従事。2000年にシェイク社を創業し、代表取締役社長に就任。主体性を引き出す研修や、部下のリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発のファシリテーションに定評がある。現在は、beyond globalグループのPresident & CEOとして、エンゲージメント向上プロジェクト、企業文化変革、経営者育成、組織開発、次世代リーダー育成、HRテック導入支援、各種プロジェクトを行っている。主な著作「3年目社員が辞める会社 辞めない会社」(東洋経済新報社)「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「会社を変える組織開発」(php新書)等。日経スペシャル「ガイアの夜明け」 「とくダネ!」 等メディア出演多数。

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