カテゴリー: 離職防止 離職率

離職率高い企業

離職率が高い企業では、社員の離職に伴うさまざまなデメリットが発生します。

 

人材育成にはコストもかかるため、離職は企業にとって大きな損失となりかねません。   そのため、離職率が高い状態にある企業では、早急に改善に取り組む必要があります。

本記事では、離職率の算出方法や高くなりやすい企業の特徴をはじめ、対策方法について解説します。

目次

離職率とは

離職率とは

離職率とは、特定の期間内に会社や組織から退職した人の割合を表す指標のことをいいます。

一般的に、離職率は期初から期末までの1年間を対象として算出されています。       対象者や期間を絞り込めば、必要な範囲に限った離職率のみの算出も可能です。

 

離職率は、厚生労働省が調査の際に用いている計算式によって算出するのが一般的です。   雇用動向調査では、業界別の離職率などのデータも公開されているため、自社数値との比較もできます。

 

離職率の算出方法

離職率の算出は、次の計算式を使用します。

法律によって定められているものではありませんが、厚生労働省が実施している雇用動向調査において用いられている算出方法として広く使われています。

<図>

【図版】離職率の算出方法

出典:厚生労働省 令和2年転職者実態調査

 

たとえば、A社の全社員250名のうち、期初から期末までの1年間で40名が離職した場合、次のように計算されます。

 

40人(1年間の離職者数) ÷ 250人(全社員数) × 100 = 1.6%(離職率)

 

新卒社員の離職率を計算する場合は、全社員の部分を新卒社員の入社人数に変えれば算出できます。

 

離職率の高さの判断基準は?

自社の離職率の高さを判断する際には、雇用動向調査に記載されている平均離職率が参考になります。                                      たとえば、2022年の製造業における平均離職率は10.2%です。              もし製造業を営んでいる企業で離職率が10.2%以上になっている場合、離職率は業界平均よりも高いと判断できます。

 

また、同調査では産業別の平均離職率も発表されています。               自社の離職率と産業別の平均離職率を比較すれば、相対的に離職率の高さについて把握できるでしょう。

典:厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

 

日本国内における離職率の平均は?

離職率の平均

 

厚生労働省の統計によると、2022年の日本企業の平均離職率は15.0%となっています。

 

新卒社員の3年以内の離職率は、新規高卒就職者・新規大卒就職者ともに30%を超え、高い水準であることが確認できます。                             主な原因として、労働時間や休暇について不満による影響があると考えられます。

 

それぞれの離職率について解説します。

 

出典:厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況(付属統計表1-1) 

 

日本企業における平均離職率

2022年の日本企業における平均離職率は15.0%です。
これは前年と比べて1.1%の増加となります。                      2019年以降、離職率は2年連続で低下していましたが、2022年は3年ぶりに上昇したことがわかります。                                      ただし、2009年のリーマンショック後と比べると、2022年の離職率はやや低くとどまっています。

<図>

【図版】入職率・離職率の推移

出典厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

2020年においては、10年以上振りに入職率と離職率の逆転現象が発生しています。

 

特に、入職率が2.8%も低下していることから、コロナ禍における採用活動の停滞の影響が要因の1つだと考えられます。

 

このように、平均離職率は毎年変動しており、その要因には社会情勢などの外部環境の変化が影響を与えます。

 

業界別の平均離職率

離職率は業界によって異なります。                          平均離職率が最も高いのは「宿泊業・飲食サービス業」で26.8%です。         「サービス業(他に分類されるもの)」を除くと、続いて「生活関連サービス業・娯楽業」の18.7%、「医療・福祉業」の15.3%となっています。

 

一方で、平均離職率が最も低いのは「鉱業・採石業・砂利採取業」の6.3%です。

<図>

【図版】産業別入職率・離職率(令和4年(2022))

出典厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

宿泊業・飲食サービス業の離職率が高い背景には、所定労働時間の長さと有給取得の難しさがあると推測できます。                                厚生労働省発表の統計によると、宿泊業、飲食サービス業における労働者1人平均の所定労働時間は7時間50分と、平均よりも長くなっています。

<図>

【図版】労働者1人平均の所定労働時間(1日)TOP5

出典:厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 結果の概況

 

また、宿泊業・飲食サービス業の有給休暇の取得率の平均は44.3%で、50%を下回っているのは卸売業・小売業(49.5%)とあわせて2つしかありません。

<図>

【図版】有給休暇の年間取得率ワースト5

出典:厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 結果の概況

一方、製造業は宿泊業・飲食サービス業よりも労働者1人あたりの平均所定労働時間を上回っています。                                      しかし、離職率は4分の1程度と低い状況です。                     これには、有給休暇の取得状況に大きな違いがあり、製造業の有給休暇取得率は62.6%と20%近くの差がある点が要因だと考えられます。

 

有給休暇取得率が高い業界については、労働時間が長い場合でも離職率が低い傾向にあるため、労働時間と休暇は離職において大きな関連があると考えられます。

新卒社員の3年以内離職率

新卒社員の3年以内離職率は平均して32%前後です。                   新卒社員の3人に1人が3年以内に離職するという高い傾向にあります。

 

また、業界別の新卒社員の3年以内離職率が高い業界は「宿泊業界・飲食サービス業界」で、51.4%となっています。                               これは、業界別の離職率の高さとほぼ同様の結果となっています。

<図>

【図版】大学新卒3年以内の離職率TOP5

出典:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します

 

新卒社員は、労働時間や休暇について不満を持つと離職傾向にあると考えることができます。

<図>

16歳~29歳 初職の転職理由TOP5

出典:内閣府 特集 就労等に関する若者の意識

前述した通り、労働時間の長さや休暇取得の難しさは離職につながりやすい要因として考えられます。                                      これは若手社員においても同様で、労働条件に関する理由で離職している割合も低くありません。

 

このことから労働時間が長く、休暇取得が難しい業界においては、若手社員の離職率も高くなりやすい傾向にあることがわかります。

 

離職率が高い企業の特徴と原因

離職率が高い企業の特徴

離職の理由はさまざまですが、ここまで解説した通り、離職率の高い企業には共通の特徴があると考えられます。

 

たとえば労働環境や給与、評価制度、人間関係の面で問題があれば、離職してしまう可能性が高くなる傾向にあります。                              また、ハラスメントなどの問題に起因している場合にはコンプライアンスに違反しているとして、企業イメージが悪くなってしまう可能性もあります。

 

以下では、離職率が高い企業の特徴と原因について解説します。

 

労働環境が悪い

労働環境が悪い職場の特徴としては「長時間労働が常態化している」「休暇・有給取得が難しい」「業務負担が大きい」の3つが挙げられます。

 

長時間労働の常態化や休暇取得の難しさはストレスやモチベーションの低下の要因となります。                                        また、業務負担の大きさは給与面への不満につながるケースもあります。

 

長時間労働が常態化している

長時間労働が常態化している職場においては、離職率は高くなる傾向にあります。     過度の残業が常態化している場合も同様です。

 

長時間労働は体に負担がかかるのはもちろん、精神的なストレスも大きく、心身の体調を崩してしまう可能性があります。                             心身の不調から休職、または離職へとつながるケースも少なくないため注意が必要です。

 

この傾向がよく見られる会社は、「上司が残業しているから帰れない」や「残業をしないと評価されない」などの古い風習が残っていることが特徴としてあると考えられます。

 

特に建設業においては、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されるため、長時間労働や深夜残業に関する規制について注目が集まっています。                このことからも企業の古い体質の改善が求められています。

出典厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

休暇・有給取得が難しい

休暇や有給の取得が難しい場合も、離職率は高くなりやすい傾向にあります。

 

離職率がもっとも高い業界である宿泊業・飲食サービス業は、休暇取得率が35%前後、離職率が30%超となっています。                              宿泊業・飲食サービス業は、慢性的な人手不足によって休日を十分に取れないケースが他の業種よりも比較的多いようです。

 

また、人手不足に起因する別の問題として、休日返上で業務をしなければならないケースもあります。                                      プライベートな時間が作りにくい環境への不満が高まることで、モチベーションが低下する可能性もあります。

出典:東京都産業労働局 第9章 宿泊業、飲食サービス業

出典:厚生労働省 労働市場分析レポート 第86号 休暇取得率等の影響について

 

業務負担が大きい

社員数が少ないと1人あたりの業務負担が大きくなります。                  このような場合にも離職率が高くなる可能性があります。

 

人手不足は多くの業界で課題となっていますが、それが原因で労務管理が正しく機能しないために特定の社員へ業務が集中してしまうケースがあります。

 

また、業務量が多いと過度な残業や長時間労働にもつながるため、心身の不調を招きやすくなります。

 

業務内容に対して給与が低い

厚生労働省の雇用動向調査によると、給与の低さは3番目(男性で7.6%、女性で6.8%)に多い離職理由として挙げられます。                            特に、労働時間や業務内容に見合った給与がもらえない状況では、モチベーションの低下によって離職につながる可能性が高くなります。

 

なお、総務省統計局の調査によると、2019年には転職者数が351万人と過去最多を記録しました。                                        主な理由として、アンケート回答者の3分の1以上となる127万人が「より良い条件の仕事を探すため」という理由で離職したという結果が出ています。

<図>

【図版】「より良い条件の仕事を探すため」に転職した人の割合

出典:総務省統計局 増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~

 

「よりよい条件」は福利厚生や有給の取りやすさなど、さまざまな内容が考えられます。  しかし、良い条件を求めて転職する傾向があるなかで、業務に対して給与が低いことも、転職を考えるきっかけになっていると考えられるでしょう。

出典:厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

人間関係やコミュニケーションに課題がある

コミュニケーションが取りにくい、他の社員に声をかけづらくて相談ができない、雰囲気がギスギスしているなど、職場のコミュニケーションに課題がある場合、社員の離職に繋がってしまう可能性があります。

 

厚生労働省が発表している雇用動向調査によれば、人間関係が好ましくなかった場合の離職率は男女とも2位(男性8.3%、女性10.4%)となっています。

 

コミュニケーションエラーの発生は、業務の進行に影響してしまう可能性も考えられます。 部署が離れていて意思疎通が図りにくいなどの問題がある場合には改善が求められます。

 

また、人間関係が悪い状態が続くと、社員は強いストレスを感じるようになります。    職場は1日のほとんどを過ごす場所だと考えると、人間関係は社員の定着において重要な要素の1つだといえるでしょう。

 

出典:厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

ハラスメントが横行している

人間関係に関するトラブルの中でも、ハラスメントは離職に直結しやすいものとして考えられています。

 

令和2年度の調査では、過去3年間に職場でハラスメントを一度以上経験した割合は、パワハラが31.4%、顧客などからの著しい迷惑行為が15.0%、セクハラが10.2%となっており、多くの人が経験していることがわかります。

 

ハラスメントが心身へ与える影響は小さくありません。                 社員が精神的な苦痛を感じてしまい、心身の不調から休職や離職へとつながるケースも十分に考えられます。

 

2022年4月1日からは、中小企業においてもハラスメント対策が義務化されています。    ハラスメントに悩む社員を減らせるよう、相談窓口を開設するなどの対策も有効です。

 

出典:厚生労働省 令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査 主要点P2.

評価制度や教育制度が整っていない

上司によって評価の基準が違っていたり、成果に対して正当な評価がされなかったりと、評価制度が整備されていない環境は社員のモチベーションを低下させてしまう可能性があります。

 

実際に、厚生労働省の令和2年転職者実態調査では、離職理由として「能力・実績が正当に評価されない」を選んだ回答者が15.3%にものぼります。

企業には、社員の働きが正しく公平に報酬や等級に反映されるような、明確な評価基準の策定が求められます。

<図>

【図版】年齢・性別の階級別賃金

出典:厚生労働省 令和2年転職者実態調査の概況 (個2.離職理由)

 

また、教育制度の整備も社員の定着に大きく影響します。                たとえば新入社員がスムーズに業務を進められるような教育フローが組まれていない場合、仕事が身につかない状態が続いてしまい、意欲の低下や早期離職につながってしまう可能性があります。

離職率が高い企業が負うリスク

企業が負うリスク

離職率が高い状態の放置は、企業にとってさまざまなリスクにつながる可能性があります。

具体的には優秀な人材の流出や、他の社員への業務負担の増加、採用や教育にかけたコストが無駄になってしまうなどが考えられます。                       また、離職率が高さが社外に広まると、企業に対するイメージ低下にもつながりかねません。

 

これらのリスクについて、以下で詳しく解説します。

 

優秀な人材が流出してしまう

離職率が高いと社員のモチベーションやエンゲージメントが低下してしまう可能性があります。                                        特に、企業の将来を担う幹部候補、もしくは高いスキルを持つ人材の離職は企業にとっても大きな損失になりかねません。

 

たとえば、企業の中核を担う幹部候補生の損失によって、事業継続の危機に直面する可能性も考えられます。



また、優秀な人材を中心に離職が続くと、離職の連鎖が発生する可能性もあるでしょう。  このような状況下では、他の社員が負担する業務が多くなり、長時間労働や残業が多くなることが考えられます。                                 労働条件が悪化した場合、男性では9.1%、女性では10.8%が離職してしまうという調査結果が出ています。

 

連鎖が起きる前に、原因を洗い出して対策を講じることが重要です。

 

出典:厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況

 

社員の業務負担が大きくなる

社員が1人でも離職すると、その社員が担当していた業務を他の社員でおこなう必要が出てきます。                                        そのため、社員1人あたりの業務負担が大きくなり、長時間労働や過度な残業につながる可能性があります。

 

さらに給与が低いなど他のネガティブな要素が重なると、社員に不満が募り離職してしまうでしょう。                                      負の連鎖が続くと、人材不足により事業の継続が困難になってしまうことも考えられます。

 

採用・教育コストが無駄になる

採用活動や入社後の教育には、少なからずコストが発生します。

 

離職者が出れば、企業は必要に応じて新たな人材の採用をおこなわなければならず、また教育もしなければなりません。                              これにより、離職者にかけてきたコストが無駄になってしまうだけでなく、入社後にも金銭的、時間的なコストがかかってしまいます。

 

職場の状況によっては周囲の社員が教育を任されるケースも考えられますが、離職と採用が繰り返しおこなわれれば、担当社員の負担も大きくなってしまいます。           最終的には組織の業績に影響を与えてしまう可能性も考えられるため、離職者の発生は大きな損失になりかねません。

 

企業イメージの低下

離職率が高い企業の場合、営業担当者が変わる機会が多くなると顧客からの信頼を失ったり、悪いイメージを持たれたりする可能性があります。                   その後の取引にも影響が出る可能性があるため、注意しなくてはなりません。

 

また、現代はインターネットで簡単に離職者の口コミを見ることができます。       離職者の口コミに関しては、求人サイトなどではわからない企業の実態が見える重要な情報源と捉えている求職者もいると考えられます。

 

離職にまつわる口コミが多い企業は応募を避けられる可能性があります。また、顧客との信頼度にも関わってくるため注意しなくてはいけません。

 

企業の成長が見込めなくなる

モチベーションやエンゲージメントの低下は、優秀な人材の離職を招くだけではなく、社員全体の士気を下げてしまう要因となります。                       社員の働く意欲が薄まってしまうと生産性に悪影響が出始め、最終的に企業の成長が停滞してしまう恐れがあります。

 

また、流出した人材が他社で活躍し、競合に追い抜かれてしまうことでさらにモチベーションやエンゲージメントの低下を招く恐れもあります。                   企業は自社の成長を鈍化もしくは停滞させないためにも、社員のモチベーションやエンゲージメントを維持する努力をしなければなりません。

 

離職率改善のための方法

離職率改善

離職率改善のためには、次のような対策が有効だと考えられます。

  • 従業員アンケートによる社内状況の確認
  • 適切な評価制度の導入
  • 社内コミュニケーションの活発化
  • メンター制度の導入
  • 労働環境の改善
  • 教育やキャリア制度の見直し

実際に社員が離職に至るまでには、複数の原因が重なっているケースも少なくありません。 そのため、いずれか1つに取り組むのではなく、複合的な対策を講じることが大切です。

 

従業員アンケートによる社内状況の確認

社内アンケートをおこない、社員が感じている不満や課題、社内状況を把握することで離職率を高めている原因を探る方法です。                          具体的にはアンケートなどを活用し、以下の質問を社員に投げかけてみましょう。

 

  • 長時間労働や過度の残業はないか
  • コミュニケーション不足を感じていないか、
  • 人事評価への不満はないか など

 

社員の不満や不安、抱えている課題を把握するように努めましょう。           そこで判明した課題について改善をおこない、社員の満足度やエンゲージメントを高めて離職を防ぎます。                                    実施方法は紙やメールでのアンケートのほか、Geppoのようなサーベイツールを活用するのもよいでしょう。

回収したアンケートの結果を自動で数値化・グラフ化できるため、効率的に意見の収集・分析を実施できます。

 

なお、紙などの媒体でアンケートを実施する際には注意が必要です。           回答の結果が評価に影響するのではないかと考える社員もいます。            匿名で実施し、回答内容が人事評価に影響を与えないことを明確に伝えることで、社員の不安を取り除きながら正直な意見を吸い上げられるようにしましょう。

 

サーベイツールであれば匿名回答も可能なため、オペレーションの手間も省けます。

 

適切な評価制度の導入

適切な人事評価を実施すれば、社員のモチベーションが高まり、仕事にやりがいを感じられるようになるため離職率を下げられるでしょう。                     評価制度が適切で、その結果がフィードバックができている職場では、64.0%の社員が「働きがいがある」「どちらかといえば働きがいがある」と回答しています。

 

人事評価制度が評価者によって異なると、「なぜこれだけ成果を出しているのに評価されないのか」「自分より成績が良くない人が評価されるのはなぜなのか」など、不満を募らせてしまいます。

 

人事評価制度は、評価者が誰であっても同じ評価になるように整備しなくてはいけません。 そのためには客観的な評価基準を設け、社員に公表することが肝心です。         人事評価基準を明確にし、見える化することで、社員は評価に対する納得感を得られます。

 

また、成果が数字で見えないような業務もあるため、成果ばかりでなく過程を評価する項目を設定して、全社員が納得できる評価制度を作ることが重要です。

 

出典:厚生労働省 働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書(概要) P5.

社内コミュニケーションを活発にする

コミュニケーションの機会を創出することも大切です。                 社内のコミュニケーションが活発であればストレス防止策になるだけでなく、部下が上司に気にかけてもらえていると感じられるようになり、エンゲージメント向上につながる可能性があります。

 

たとえば、1on1ミーティングを実施することで、社員が抱える悩みや課題の吸い上げられるようになります。

 

ただし、同じ部署の上司と部下だけでのコミュニケーションでは、その関係性から、部下が悩みを打ち明けられないまま終わってしまう可能性があります。              そこで他部署の社員と交流ができるように、社内SNSの活用や社内に休憩スペースを作るなどの工夫も必要です。

 

また、社内レクリエーションやイベントをおこなうなど、多くの社員と交流が持てる機会を作ることで良好な人間関係を築き、風通しのいい職場づくりができるようになります。

 

メンター制度の導入

メンター制度とは、年齢や入社年度が近い先輩社員が新入社員に付いて、マンツーマンで業務指導や振り返り、悩み相談などのサポートをおこなう制度です。             社員の成長につながるだけでなく、人間関係の構築や社内での孤立防止の手段としても有効です。

 

メンター制度を通じてマネジメント能力を身に付けられることから、メンター側を担当する社員にとってもメリットの大きな制度だと考えられています。

 

ただし、メンター制度を始めるにあたり、ミスマッチが起こらないように十分配慮する必要があります。                                     メンターとメンティの相性が悪いと、かえって不満を増長させる恐れがあります。

メンティのキャリア志向とメンターのキャリアが適合しているか、メンターがメンティの能力開発に適しているかなどの項目を精査しながらマッチングをおこないましょう。

 

労働環境の改善

労働環境の問題点の洗い出しや改善も、離職率を下げるための重要な施策です。      厚生労働省の調査結果によると、労働条件の悪さを理由に退職した社員の割合は23.8%、職場の安全や衛生管理ができていないことを理由に離職した社員の割合は10.3%いるとされています。

 

個別の明確な原因を探る必要はありますが、労働環境の見直しが離職低下につながるでしょう。

 

また、長時間労働や休暇・有給取得が難しい場合、モチベーションの低下や仕事への意欲が失われて離職する可能性があります。                          過度なストレスから心身に不調をきたすと、休職や離職する恐れがあります。

 

長時間労働や休暇などの課題解決には、業務の効率化を図ることが重要です。       業務効率化が実現すれば労働時間も短縮され、休暇も取得しやすくなります。       また、新しい働き方として注目されているフレックスタイム制やリモートワークを導入することも労働環境の改善の1つといえます。

 

いずれの場合も、社員が労働環境の何を改善してほしいのかを明確にしたうえで、自社が取り組めるものから積極的に改善していくようにしましょう。

 

出典:厚生労働省 令和2年転職者実態調査の概況 (個2.離職理由)

 

教育・キャリア制度の見直し

教育制度やフォロー、キャリアアップのための制度を見直すことで離職率の低下が期待できます。                                        令和4年度の厚生労働省の調査によると、通常業務から離れて時間を取って教育を実施するOff-JTや自己啓発支援に費用支出をした企業は50.3%にものぼります。

 

教育制度やキャリア制度の見直しは、社員のモチベーションに直結する場合があります。

 

たとえば、新入社員の教育制度がしっかりしていないと、業務を理解できていない不安を抱えたまま仕事を続けなくてはならず、ストレスを感じやすい状況になってしまいます。    内部研修や外部研修、フォロー体制など研修制度の充実を図りましょう。

 

また、社員が望むキャリア形成を後押しする制度の整備も、離職率を下げるのに重要です。

定期的な面談、研修やワークショップなどの実施によって、キャリア形成の道筋が見えるようになり、モチベーションが上がることで離職率の低下が見込めます。

 

自社の教育・キャリア制度に関する要望を集めるとともに、どのような内容が社員に求められているのかをヒアリングしましょう。                          できる範囲で制度化して実施してください。

 

参照:厚生労働省 令和4年度「能力開発基本調査」

 

まとめ

まとめ

企業の離職率が高いままだと、優秀な人材が流出したり、企業のイメージが下がるなどのリスクを負うことになります。                              企業の成長がストップし、最悪の場合は事業の継続が困難になるかもしれません。

 

企業は社員の持つ不満や悩みなど、離職となる原因を把握して対策を講じる必要があります。

 

離職の原因は複数重なり合って起こる場合が多くあります。               複合的な対策を実施することで離職率の低下に取り組まなくてはいけません。

 

限られたリソースのなかで、全ての原因へ対策を打つことは難しいかもしれません。

 

そこで、サーベイツール「Geppo」の導入もおすすめです。

Geppoを使えば、社員のモチベーションを可視化して、社員とのコミュニケーションのきっかけづくりができるようになります。                          また、数ある社内課題のなかから解決すべき課題に優先順位をつけ、適切な対策を打つことができます。

Geppo製品訴求イメージ

【監修者プロフィール】

geppo監修木下洋平 

木下 洋平

合同会社ミライオン

 

株式会社リクルートや教育研修会社での勤務後、現在は独立した専門家として活動。

キャリアコンサルタント資格を取得し、400人以上の個人のキャリア開発をサポート。

また、企業向けの人材育成・組織開発コンサルティングも手掛けており、個人と組織の両面での支援を行っている。

 

 

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