三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社で組織人事領域のコンサルティングを行っている古川様をお招きし、Postコロナにおいてアンケート結果を踏まえて取り組むべき課題と、考えられる施策についてお話いただきました。また、Geppoのスコアが前年比べてどのように変化したのかその特徴についてもご紹介しております。
【登壇者情報】
2020年11月26日(木)
人事コンサルタントに聞く、Postコロナ時代に取り組むべき組織課題とは。
ー新常態に向けたエンゲージメント/生産性向上事例ー
■スピーカー
古川 琢郎 様
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コンサルティング事業本部 組織人事ビジネスユニット ヒューマンキャピタル部
シニアマネージャー
■モデレーター
林 辰星
株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー
最高顧客責任者
1_Geppoスコアから見えてくる、コロナ禍におけるコンディションの変化
林 本日は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社様(以下MURC)でコンサルタントである古川様をお招きして、ポストコロナ時代における取り組むべき組織課題について語っていただきます。
まずは課題提起として、Geppoスコアから見えてくる世の中の会社員の状態がどうなっているのかを共有します。その上で、組織として取り組むべき課題をMURCの古川様にお伺いしていきたいと思います。
それでは古川様、自己紹介をお願いいたします。
古川 MURCで組織人事領域のコンサルティングを行っているヒューマンキャピタル部に所属しております。古川琢郎と申します。
前職含めておよそ10年程組織人事領域のコンサルタントを行っておりまして、いわゆる人事制度設計といった組織人事領域のプロジェクトから、HRtechなどの実装やサービス開発の手伝いを行っております。
所属している部の方針としても、データドリブンなコンサルティングを実施しており、定性的に判断していた従来型のソリューションにおいても、可能な範囲で定量的な分析やインサイトを提供することを心がけております。
弊社の紹介ですが、MURC自体は、組織人事のみではなく戦略等々含めた総合コンサルティングファームになります。特に組織人事領域は東京、名古屋、大阪を拠点に80名を超える従業員がおります。その80名は特段人事業務系やシステム導入系のコンサルのメンバーではなく、人事制度や組織開発系、人材開発系いわゆる組織人事における上流に専門性を持ったメンバーになっております。システム系を除く組織人事領域でこの規模は、実は外資系ファームを含めても国内最大規模の一つになっております。
林 それでは本編に入りますが、まずはGeppoというサービスの概要と、どのようなスコアを取得しているか、ということについてご案内した上で、コロナ禍においてGeppoのスコアがどのように変化していたのかをご説明いたします。
Geppoは個人と組織双方のコンディション可視化することができるサービスです。
・個人サーベイ:毎月一回三問の質問に回答することで個人コンディションの可視化
・組織サーベイ:半年に一回程度20問の質問に回答することで組織コンディションの可視化
今回は個人サーベイのスコア変化のご説明になります。
個人サーベイは、「仕事満足度」「人間関係」「健康(睡眠)」の固定質問について5段階で回答いただくことで一人一人のコンディションを可視化しております。併せてフリーコメントの入力や1問だけ任意の質問を追加することもできます。
さて、ここから具体的にコロナ禍でどのような変化があったのかご説明します。「仕事満足度」についてはスコアに大きな変化はありませんでした。ただ、去年のスコアを見ると3月から4月に大きく伸びる傾向がありますが今年はそれが1か月遅れ、4月から5月にスコアが改善しています。この事から、今年はコロナの影響で組織の立ち上がりが遅れていることが予想されます。
余談になりますが、去年のグラフでは5月に比べて6月に悪化しております。これはいわゆる5月病で、いろいろが企業で特に若手を中心にこの傾向が見られます。Geppoをご利用いただいている、ある不動産会社様ではこのようなスコアの落ち込みが発生しやすい時期を特定して、事前に面談をするといった対応をとられているケースがございます。
今年は、8月頃にその5月病の傾向が見えております。また、8月はコロナの第二波が来ていたタイミングでもあり、その影響もあるのではないかと考えられます。
続いて人間関係についてご案内いたします。
結論から言うと、人間関係は良化しております。去年は4月と5月は良く、6月に悪化するという仕事満足度と同じ動きをしておりますが、今年は6月以降も高い数字を維持しております。その理由としてはリモートワークにより一定の距離感が保たれ程よい対人関係が維持できていることで、社内外の懇親会などがなくなり、アルコールに関するトラブルが減ったことが考えられます。
最後に健康についてですが、実はこれが一番変化がありました。2019年に比べて、2020年は3月から4月でスコアが大きく改善していることがわかります。
リモートワークにより通勤の必要がなくなったことや、会食の自粛などで睡眠時間が確保できたことが要因と考えております。
以上の通り、コロナ禍におけるいわゆる強制リモートワークは、従業員にとってはいい影響があったのではないかということが全体感としては見えております。しかし、個別に見ていくと様々な課題が、特に若手中心に発生しています。実際にGeppoのフリーコメント欄に記載されていたものとしては、「リモートワークがいつまで続くのか不安」「自宅で一人で仕事しているのが孤独で精神的ストレスが大きい」といった内容が多くありました。特に若手層は仕事の進め方に迷う部分について、いままでのようにすぐに上司や先輩に声をかけることができなくなったり、コミュニケーションが希薄になってしまったことで、仕事が進みにくくなってしまっているという傾向が実際に出てきております。従業員のこれらの課題に対して、人事の皆様もいろいろな対策を考えております。Geppoの追加質問機能を通じた施策の事例をご案内させていただくと、「リモートワークが続くなかでコンディションが下がっていないか」「チームのコミュニケーションがうまくできているか」「モチベーションが下がっていないか」「生産性が落ちていないか」「自宅で仕事をする上で、環境面のフォローができることはないか」「リモートワークを制度化した場合に利用するか」といったことを調査されておりました。
以上の話をまとめると、仕事満足度はコロナ前と変化がなく、人間関係は良化、健康は大幅に良化といった結果になったものの、従業員や人事は仕事課題やコミュニケーション課題を感じていることがわかってきております。
これらの課題について、どのように取り組んでいくべきか、古川様にご案内いただければと思います。
同セミナー記事は 人事が取り組むべき3大課題と施策の整備 をご覧ください