COVID-19の世界的流行を契機に、企業活動においてはテレワークが今までにないスピード感で実装・運用され、その他「3密」を避けるために様々なことが「オンライン」上で行われるようになりました。
通勤のストレスなどが軽減する一方で、対面コミュニケーションや物理的な運動時間の減少により、「強制在宅」で働く従業員には見えないストレスが蓄積していると言われています。
一方で、そのような「強制在宅化」で出勤を余儀なくされる従業員にもまた、今までにないストレスがかかっております。
今回このような多くの人間が初めて目の当たりにする「新しいストレス社会」に対する対応について考えるべく、日本の働き方を考える健康経営推進産業医会、Geppo(ヒューマンキャピタルテクノロジー)の二社による共催という形で本セミナーを開催いたしました。
【登壇者情報】
2020年6月4日 (木)
産業医に聞く!テレワーク時代のメンタルマネジメント
■スピーカー
鈴木 健太
株式会社Dr. 健康経営
代表取締役・医師
■モデレーター
渡邊 大介
株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー
取締役
「健康経営」とは何か?
鈴木 私からは企業におけるメンタル対策の必要性と経済効果についてお話しさせていただきます。
健康経営という言葉が流行り始めていますが、いったい何なのか。
メンタルヘルス対策をすることで、従業員がより健康になり、組織が活性化することが生産性の向上に繋がり、ひいては企業の業績向上に繋がる、この投資よりもリターンのほうが大きいという考え方が健康経営です。
福利厚生という風に見られていることが多いのですが、人的リソースに対しての経営判断の1つという風に捉えて行なっていくことが重要であると考えています。
休職をすると、1人当たり440万円の損失、離職が起きると990万円の損失が起きると一般的には言われています。
また、このような経済効果に加えて、訴訟リスクへの対策としても重要になってきます。
テレワーク環境におけるメンタルヘルス対策
次に、今回のテーマでもあるリモートワーク環境下で、どのように対策をすればよいかということをお話しします。
まず、簡単にストレスについてお話をすると、
ストレスというのは、あくまで刺激で、これを人間がどう捉えるかによって、プラスのモチベーションにもマイナスのネガティブな要素にもなり得ます。
このストレスによるメンタルヘルス対策には3つの軸があります。
①そもそもメンタル不調にならないようにする一次予防
②メンタル不調になるそうなときに早く発見して早く対応する二次予防
③メンタル不調が発症してしまった後に職場復帰へのフォローアップ支援を行う三次予防
こういった不調は、仕事上のストレスだけでなく、プライベートや家庭の問題が関わってきます。
withコロナにおいては、見えない感染症へのリスクが当たり前のものとして意識される世の中になります。
リモートワークによって働く場所が変わると、働く時間も自由になっていき、兼業副業が当たり前になってきます。
そういう所属コミュニティーがより多様化することによって、今後求められるスキルとして、個人は何よりも自己管理スキル、組織は評価コミュニケーションといったソフト面をしっかり可視化・言語化していくスキルが重要になってきます。
リモートワークの良いところは活用し、起こりうる問題の原因を明確にすることが重要です。
ここのポイントとしては、リモートリモートワークだから特別な対策が必要、ということではないということです。
一般的なメンタル対策を組織として徹底して行なっていく、そのために言語化と可視化をより一層意識することが重要だと考えています。
早く発見することができる体制と、発見した後しっかりと専門家に繋ぐという連携が会社としては重要です。
産業医の活用の仕方としても、こういったテレビ会議を活用して適宜従業員とコミュニケーションを取れる体制を整えておく必要があります。
(続)
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