長時間労働によって過重労働になる社員のイメージ

長時間にわたる過重労働は心身における疲労蓄積の大きな原因であり、脳や心臓疾患との関連性も強いということが医学的にも証明されています。過重労働の原因と、労働者と企業に与える影響、解決策を紹介します。 

■過重労働とは

過重労働によって疲労するイメージ

過剰労働は一般的には長時間労働と同意義で使用されることがあります。しかし、「過重」かどうかの判断は、単純に「労働時間」だけではなく、就労態様や業務内容も加味して総合的に判断するべきと言われています。

「過重労働」であるかいなか、その参考指標として、医師との面談・指導の対象となる諸条件について紹介致します。

●労働時間や休日出勤の回数などによって過重労働を定義する場合

○法令における面接指導の対象者の定義

「時間外労働が月100時間を超え、疲労の蓄積が認められ、申し出を行った者」

○法令における面接指導に準ずる措置の対象者の定義

「長時間の労働により疲労の蓄積が認められ、健康上の不安を有している者」

 

●労働時間以外の判断基準で定義する場合

○法令における面接指導の実施または面接指導に準ずる措置の対象者の定義

「長時間の労働により疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している者」

 

「労働時間」と「疲労の蓄積」の度合いを中心に過重労働を定義していることが分かります。雇用主は労働時間や疲労の蓄積が判断できる体制づくりや、健康上の不安を有している従業員の把握のため、コミュニケーションが必要となります。

■過重労働の把握

過重労働によって健康を損なうイメージ 

各事業場で設けられた過重労働の定義と照らし合わせ、雇用主は従業員の健康状態や労働時間を把握しなければなりません。把握方法の一例をご紹介します。

●従業員の健康状態の把握方法

  • 自己申告による把握
  • 電話や問診票による把握
  • 労働時間の状況による把握

●従業員の労働時間の把握方法

  • タイムカードの利用による把握
  • パソコンの起動時間による把握
  • 出勤簿による把握
  • ゲートの出退社時間記録による把握
  • 警備員による在社状況確認による把握
  • 健康診断で問診による把握

 

労働時間の把握と比較し、管理が難しい従業員の健康状態の評価方法のひとつとして、厚生労働省が提示している「労働者の疲労蓄積度診断チェックリスト」を利用する方法も有効です。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/dl/tp0630-1a.pdf

 

このようなツールはあくまで一例に過ぎませんが、できる限り多くのツールや調査を活用・組み合わせて、従業員の状態を把握することが改善への第一歩に繋がります。

 

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■過重労働の原因

深夜まで残業するイメージ

上述してきたとおり、過重労働は大きく「労働時間」と「健康状態」の2つの要素から判断します。労働時間が長いことで疲れが蓄積します。そして、疲労を回復できないような長時間にわたる労働が、健康被害へとつながっているのです。

日本では、労働時間が長いと言われています。日本と諸外国との労働時間は、どのような状況なのでしょうか。独立行政法人労働政策研究所・研究機構の「データブック国際労働比較2018」によると、1988年の改正労働基準法の施行を機に、日本の労働時間は着実に減少を続け2016年は1,713時間となっています。しかし、諸外国に比べるとまだまだ高い位置にいます。

 一人当たり平均年間総実労働時間(就業者)のグラフ

●人事評価

労働時間が減らない原因の一つとして日本企業内で重視されている人事評価が挙げられます。成果主義の評価をする日本の企業も増えてきましたが、年功序列制度が長かった日本の企業で評価される人について詳しく見てみましょう。

◯結果や成果よりも、シグナリングの評価

一橋大学大学院国際企業戦略研究科の小野浩教授によると、能力や結果、成果よりも、自分がいかに努力しているかを示すシグナルを上司から評価されるという調査結果が示されています。

 

内閣府が平成 25 年 11 月に公表した「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」では、1日の勤務時間が12時間を超える社員に対し上司が抱くイメージが紹介されています。

  • 頑張っている人(52.5%)
  • 責任感が強い人(38.8%)
  • 仕事が遅い人(26.1%)

  

一日の労働時間別「上司が抱いている残業をしている人のイメージ(想定)」のグラフ 

長時間労働についての上司の評価は、ネガティブイメージよりも、ポジティブなイメージを抱いている人が多いということがわかります。

 

一方で残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅する人に対しては、調査全体の74.0%の従業員が「人事評価では考慮されていない」ばかりか、「人事評価でマイナスに評価されている」と考えている人が6.2%いるとされています。

 

「残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅すること」に対する人事評価のグラフ 

一般的に上司は長時間労働に対してポジティブな印象を持っていることが理解できます。結果や成果が求められる近年であっても、シグナリングや「(長時間)一生懸命働いている」といったイメージでの評価が根深く残り、「長く働くことこそ美徳」というような考え方が企業社会の根底に流れていることこそが、過重労働が改善されない原因の一つとなっています。

■過重労働がもたらす影響

過重労働によって疲労している人のイメージ

健康面を害する過重労働ですが、従業員の健康と企業にもたらす影響についてご説明します。

●過重労働がもたらす様々な従業員の健康被害

米国PSIDデータを利用したConway et al.の調査によると、週46時間以上の長時間労働を10年以上続けた場合、心血管疾患の発症リスクが統計的に優位に高くなることがわかりました。

また、早稲田大学教育・総合科学学術院の黒田祥子教授によると、労働時間と労災の関係を調べたところ、長時間労働の職種ほど労災請求件数が多くなっているということが記されています。

 労働時間と脳・心臓疾患の労災請求件数(職業別)のグラフ

 

さらに、イギリスの公務員を対象とした調査では、1日11時間以上あるいは週あたり55時間以上働いた労働者は、それより短い労働者と比較して、5-6年後の調査でうつ病を発症している確率が統計的に高いことが報告されています。

また同一個人の働き方の変化とメンタルヘルスの変化も調査をしています。その結果、週あたりの労働時間が50時間を超えるあたりでメンタルヘルスの悪化の傾向が確認されています。

上記の通り、長時間労働が労働者に対して身体的、精神的に悪影響をおよぼすことが多数のデータで証明されていることがわかりました。

企業は「業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」(安全配慮義務)を負っています。この義務に違反して従業員が疾病を発症した場合、当該従業員に対して民事上の損害賠償責任を負うことになります。企業は、法令遵守が非常に大切になってくるということが言えるでしょう。そのためには、社員の長時間労働に注意することが必要です。

■過重労働対策

休憩をとる従業員のイメージ

従業員や企業にもたらす過重労働の影響がわかったところで、過重労働の対策について考えてみましょう。

●過重労働対策

厚労省の2004年の報告では、労働者の能力発揮のための取り組みの一つとして、心身両面の健康確保対策および労働災害防止対策を行い、労働者が安心して働ける環境の整備を図ることが挙げられています。

2012年からは日本政策投資銀行が健康経営に注力する企業に対して融資面で優遇措置を講じる「健康経営格付融資」を開始したり、経産省と東京証券取引所が健康経営に積極的に取り組む企業を健康経営銘柄と選定したりするなど、健康経営が注目を集めています。

今や過重労働対策は企業価値の向上と持続的成長を目指す企業にとって、不可欠な課題と言っても過言ではありません。

自分たちが属する会社の課題点は何であり、なぜ過重労働が発生してしまっているのか。その原因をきちんと分析、特定し、適切な対策を従業員と会社が一体となって取り組む必要があるのです。

自社の労働環境の見直しをして過重労働を改善

健康に働く社員のイメージ

従業員のキャパシティーをはるかに超える過重労働は、脳や心臓疾患をはじめとした健康にも影響があるとして、政府も改善が必要と対策を進めています。また、精神障害の引き金にもなるので、会社としても早急な対策が必要となるでしょう。今回、ご紹介したポイントを参考にして自社の労働環境を見直してみてください。

 

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