近年、働き方改革の推進によりリモートワークなどの新しい働き方が普及しました。
社員の柔軟な働き方を実現できる一方で、企業側は社員の体調や状況を把握しにくくなるという課題が生じています。
このような状況下で、サーベイの実施がこれまで以上に注目を集めています。
本記事では、サーベイの基本的な考えかたから、種類、メリット・デメリット、効果的におこなうためのポイントや注意点について詳しく解説します。
目次
- サーベイとは
リサーチやアンケートとの違い - サーベイをおこなう目的
- サーベイの種類
従業員サーベイ
組織サーベイ
パルスサーベイ
エンゲージメントサーベイ
モラールサーベイ
コンプライアンス意識調査
アセスメントサーベイ
ストレスチェック - サーベイの実施が企業にもたらすメリット
組織の課題や社員の悩みを可視化できる
離職率の低下につながる
ハラスメントなど職場におけるトラブルの発生を予防できる - サーベイの実施において想定されるデメリット
社員の業務負担が増加してしまう
実施だけが目的になってしまうと不満につながりやすい - サーベイ実施のポイント
社員の業務負荷にならないように実施する
3つの設問+αで調査ができる「Geppo」なら社員の負荷も軽減できる
サーベイをおこなう目的を明確化し周知する
匿名性を確保して社員の本音を引き出しやすくする
質問設計を工夫する
回答期限は長めに設定する
フィードバックを共有する - サーベイ実施の注意点
サーベイ自体の質は高いか
質問表現に問題はないか
実施の頻度とタイミングは適切か
データの管理方法は適切か - まとめ
サーベイとは
サーベイとは物事の全体像を把握することを目的に、広い範囲でおこなう調査です。サーベイの実施は組織が抱えている問題点や課題を発見と改善に役立ちます。
企業でおこなうサーベイには主に2つのパターンがあります。
1つ目は自社の社を員対象にしたものです。
自社に対して、社員がどのような不満や課題を感じているのかを把握し改善するために実施されます。
2つ目は、自社のサービスを利用しているユーザーを対象にしたものです。
マーケティングの観点から、ユーザーの満足度や評価を調査する目的で利用されています。
リサーチやアンケートとの違い
サーベイと混同しやすい言葉に「リサーチ」と「アンケート」があります。
リサーチは主にマーケティングの分野でおこなわれる調査方法です。
具体的には、特定の対象について理解を深めるために、文献や情報を活用しておこなう調査・研究を指します。
たとえば、消費者ニーズや競合他社など目的を持っておこなう調査はリサーチです。
全体像の把握を目的するサーベイとは異なり、リサーチは調査目的や内容が明確で、対象の細部まで調査する場合に活用します。
また、サーベイは広範囲な調査全体を指しますが、アンケートは具体的な質問に対して回答を得る手法の一部です。
たとえば、顧客満足度や商品のリピート率のような統計データを収集したいときに使用されます。
そのためサーベイの手法としてアンケートを選択するケースがあります。
サーベイをおこなう目的
社内で実施されるサーベイは、社員が抱えている不満や、企業が抱える顕在化しにくい課題の発見、改善を目的としています。
たとえば職場に対する満足度や人間関係についての悩み、業務へのモチベーションなど、数値の把握が難しい内容をデータとして収集します。
近年は、サーベイをeNPS(※)を測る目的で実施する企業もあるようです。
eNPSは「自分の職場で働くことを、親しい人に勧めたいかどうか」を数値化した指標です。
eNPSの測定によって、社員の職場に対する愛着や信頼の度合いを把握できるので、生産性が高い社員を可視化できる点で注目を集めています。
もともとは、顧客ロイヤルティを測る指標だった「NPS」を、アップル社が社員のエンゲージメント(組織への愛着心)の可視化を目的に実施したことから、広まったとされています。
※eNPS…Employee Net Promoter Score(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)」の略称
サーベイの種類
社内でおこなうサーベイには、社員の満足度を把握するものからストレスレベルを測定するものなど、主に8つの種類が存在します。
特徴の似ているものもありますが、実施する頻度や、調査の目的によって種類分けされています。
自社で発見したい課題にあわせて必要なものを選ぶようにするよ良いでしょう。
種類 |
特徴 |
効果 |
従業員サーベイ |
職場環境や人間関係の満足度を調査する |
離職率の改善や社員の生産性向上が見込める |
組織サーベイ |
組織全体の状況を調査する |
組織の課題の数値化し組織全体の生産性向上が見込める |
パルスサーベイ |
高い頻度で社員の満足度やメンタルヘルスを簡易調査する |
不満や問題点をリアルタイムに把握できるので、 素早い改善がおこなえる |
エンゲージメントサーベイ |
企業理念への共感度や適応度、信頼度の測定によりエンゲージメントを評価する |
部署ごとの課題を発見し、生産性向上が見込める |
モラールサーベイ |
給与や労働条件などへの満足度調査、士気や意欲を調査する |
社員の満足度を改善し、経営目標の達成に役立つ |
コンプライアンス意識調査 |
コンプライアンスリスクの知識とギャップを把握する |
コンプライアンス意識の向上やコンプライアンスリスク発生の抑制が見込める |
アセスメントサーベイ |
社員のスキルや得意分野を可視化する |
社員の成長促進、人事評価や人員配置への活用に役立つ |
ストレスチェック |
社員の心理的な負担の程度を把握する |
定期実施により精神状態の把握と問題の早期対策が可能になる |
サーベイをおこなう際に重要なのは、目的に合った種類のサーベイを選択することです。
目的に適していないサーベイの実施は、本来の目的とは異なった結果が出てしまう可能性があるため注意しましょう。
従業員サーベイ
従業員サーベイは、社員を対象として職場環境や人間関係についての満足度を調査するものです。
社員が不満や不安などの問題を抱えながら仕事に従事している場合、モチベーションの低下を引き起こし離職につながる可能性があります。
企業は従業員サーベイの実施により、社員が抱える不満や不安などを把握できます。
そして、把握した問題点や課題を解消することで、離職率の改善や生産性向上を図れます。
組織サーベイ
組織サーベイとは、組織の問題点を把握して改善することを目的におこなわれる調査です。
具体的には、社員のモチベーションやエンゲージメント、人間関係などを数値化して組織の状況を把握します。
各部署間の意識差やマネジメントが機能しているかも測定できるため、組織全体の生産性向上に役立ちます。
従業員サーベイが個人の問題の改善に重点を当てているのに対し、組織サーベイは組織全体の課題の改善に重点を置いている点で異なります。
パルスサーベイ
パルスサーベイは、個人サーベイとも呼ばれ、社員の満足度やメンタルヘルスの把握を目的におこなわれる調査です。
具体的には、週に1度や月に1度など高頻度でおこなうのが特徴です。
パルスサーベイでは、重点的に調査したい項目のみに設問を絞り、1回の調査で10問程度の質問が設けられているのが一般的です。
継続的な観察を目的としているパルスサーベイは、問題点や課題を早期発見できるため、素早い対策や解決が期待できます。
個人に焦点を当てるという点で、従業員サーベイと似ている面がありますが、パルスサーベイはリアルタイムで意見や感情を汲み取り、より素早い改善を目的にしていると言えるでしょう。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、企業に対する社員のエンゲージメントを測る調査です。
一般的には数値が高いほど企業に対する愛着が強く、離職率が低い傾向にあるとされています。
企業理念への共感度や企業への適応度、上司や同僚に対する信頼度などの項目によって、エンゲージメントを測ります。
たとえば、エンゲージメントの数値が高い部署では、社員の仕事に対する意欲が高いことから、生産性が向上すると考えられます。
このように、エンゲージメントサーベイの実施は部署ごとの課題改善にも活用することが可能です。
モラールサーベイ
モラールサーベイは、社員のモチベーションを測定する際に用いられる調査です。
従業員意識調査や従業員満足度調査とも呼ばれます。
具体的な調査内容は、給与や労働時間、休暇の取得しやすさや仕事そのものに対する社員の満足度などです。
モラール(molare)とは「士気」を意味しており、働く意欲や会社に貢献したいという気持ちを表しています。
通常、モラールの数値が高ければ高いほど、社員の満足度やエンゲージメントが高いことを意味します。
つまり、企業の発展や目標の達成には、モラールの数値を高い状態を維持することが重要だと考えられています。
コンプライアンス意識調査
コンプライアンス意識調査は、企業のコンプライアンス(法令遵守)に関して、社員の意識調査とコンプライアンスプログラムの強化を目的に実施される調査です。
近年、企業におけるコンプライアンス意識の高さが重要視されるようになっています。
コンプライアンス意識調査では、社員のコンプライアンスに関する理解や意識、コンプライアンスリスクの知識とギャップなどの測定が可能です。
また、社内のコンプライアンス状況を把握できるため、コンプライアンスプログラムの強化が図れます。
発見した課題に対して適切な研修や教育の機会を設けることで、コンプライアンス意識の向上やコンプライアンスリスクの発生を抑制できるでしょう。
アセスメントサーベイ
アセスメントサーベイは、企業が社員個人のスキルや得意分野を可視化するためにおこなう調査です。
アセスメントサーベイを実施し、スキルが可視化されることで、社員の得意分野と苦手分野を把握できます。
そして、苦手分野に対してフィードバックをおこなうなどの改善策を講じることで、社員の成長を促せるでしょう。
また、社員の強みや弱みを客観的にを把握できるので、人事評価や人員配置にも活用できます。
適切な人事評価や人員配置は生産性の向上につながるため、組織全体の成長にも役立つといえるでしょう。
ストレスチェック
平成27年12月から、常時50人以上の労働者を抱える事業者は年に1回、医師や保健師などによるストレスチェックの実施が義務付けられるようになりました。
該当する事業者は、すべての従業員に対してストレスチェックを実施しなくてはいけません。
なお、「労働安全衛生法第66条の10」では、ストレスチェックの実施について以下のように規定しています。
“事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査をおこなわなければならない。”
ストレスが及ぼす影響は個人差があるものの、過度のストレスが続く場合は身体的な健康だけでなく、精神的な健康(メンタルヘルス)にも影響を及ぼすことが確認されています。
定期的なストレスチェックの実施は、社員の精神状態を把握できる上、何か問題があった際には早期に対策を講じることが可能です。
サーベイの実施が企業にもたらすメリット
サーベイの実施は、組織にさまざまなメリットをもたらします。
社員の悩みや意見、健康状態などを定期的に収集できることによって、組織の課題が見つけやすくなり、さまざまなトラブルを未然に防ぎやすくなります。
社員の声と向き合い、働きやすさを提供し続ける企業は離職率の低下も期待できるでしょう。
ここからは具体的なメリットについて、詳しく解説します。
組織の課題や社員の悩みを可視化できる
サーベイを実施するメリットとして、今まで見えなかった企業の課題や問題点を可視化できるようになることが挙げられます。
風通しが良く、コミュニケーションが活発におこなわれている企業でないと、日常的な業務や職場環境に対する社員の考えを収集できる機会は少なくなってしまうでしょう。
このような状態は、気付かないうちに社員のモチベーション低下やトラブルの発生につながってしまう可能性があります。
サーベイの活用によって社員の考えが可視化されると、改善すべきポイントが明確になり、課題に適切な対策を講じられるようになります。
離職率の低下につながる
働き方改革によりワークスタイルが多様化したことで、人材の流動性が高まっていると言われています。
この変化は、企業にとって優秀な人材が流出してしまうリスクを生み出す結果となりました
サーベイを実施すれば、企業は社員の悩みを把握でき、改善策を講じることができます。
社員にとって働きやすい職場環境を整備したり、課題を改善できたりすれば。社員の離職防止につながるでしょう。
ハラスメントなど職場におけるトラブルの発生を予防できる
パワハラやセクハラなどのハラスメントは社員が離職する原因になるだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあるため、企業としては最大限の努力をもって防止しなくてはなりません。
サーベイは質問を組み合わせることで、社員からは声の上げにくいハラスメントについても把握することが可能です。
サーベイの実施により、社内におけるハラスメントの実態を把握した上で、会社への申告がしやすい環境の整備をおこなうようにしましょう。
サーベイの実施において想定されるデメリット
メリットの多いサーベイですが、以下のような懸念点もあります。
- サーベイ回答にともなう社員の業務負担の増加
- 改善やフィードバックがないと社員の不満につながりやすい
サーベイは通常業務に加えて、一定時間を要することになるため、短時間であっても社員にとっては負担の増加に捉えられてしまう可能性があります。
また、時間をかけて回答したサーベイの結果について、フィードバックがなかったり改善の動きが見られなかったりする場合、「自分の意見が届いていない」という不満につながってしまうリスクもあるため注意が必要です。
社員の業務負担が増加してしまう
サーベイの回答は通常の業務内におこなわれるため、社員の業務負担が増加します。 そのため、実際には社員の協力が必要になります。
サーベイの負担が過度になると、次回のサーベイに真剣に向き合ってもらえなくなるかもしれません。
また、サーベイの集計や分析も担当者に負担がかかりやすいです。サーベイの実施は繁忙期を避けるなど、社員に負担がかかりにくいタイミングでおこなうのが望ましいでしょう。
実施だけが目的になってしまうと不満につながりやすい
サーベイに協力する社員は、回答に要する分だけ業務時間を削られてしまいます。
自分の仕事の業務時間を割いてまで協力したのに、改善の実施やフィードバックがない場合、会社に対して不満を募らせてしまう可能性があります。
万が一、会社への不信感にまで発展してしまうと、サーベイへの協力が得られなくなるかもしれません。
そのため、サーベイを実施した後には、必ず改善アクションを起こしたり、結果をフィードバックしたりして共有する必要するようにしましょう。
サーベイ実施のポイント
サーベイを実施する際には、デメリットが影響してしまわないようにポイントをおさえた運用が重要になります。
あらかじめ明確な目的を周知しておき、メリットをきちんと伝えたうえで社員の負担にならないよう手間のかからない回答形式の設計や、匿名性の確保などが必要になります。
また、実施後のフィードバックも重要になります。
ここからは効果的なサーベイを実現しやすくなるツールの活用の利便性とあわせて、サーベイを実施する際のポイントについて詳しく解説します。
社員の業務負荷にならないように実施する
社員の負担にならないようにサーベイを実施するには、設問数を少なくしたり、簡単に回答できるような質問を用意したりする形式が有効です。
設問数が少なく、簡単に回答できるものであれば、回答する社員と調査を担当する社員双方の負担軽減につながります。
また、サーベイツールの活用も、社員に負担をかけずに調査をおこなうのに効果的です。
サーベイツールは少ない設問数で調査が可能な上、ネット上で回答の集計が容易にできるため、効率的な調査をおこなうことができます。
3つの設問+αで調査ができる「Geppo」なら社員の負荷も軽減できる
Geppoは、3つの設問+αの質問を設定することで社員の考えや状態を把握できます。
3つの設問については、「仕事満足度」「人間関係」「健康」が設定されており、1分以内で回答ができるため、社員への負担も少なくて済みます。
さらに、フリーコメント機能によって、社員の生の声を確認できるため、さまざまな目的のサーベイに対応が可能です。
また、サーベイ担当者は回答に基づいて表示される「晴れ」「曇」「雨」で、簡単に社員の状態を確認できるため、分析の負担も軽減できます。
このように、Geppoは回答する社員とサーベイ担当社員の双方の負担を軽減できる点が大きなメリットです。
サーベイをおこなう目的を明確化し周知する
サーベイの実施前にはサーベイの実施目的を明確にし、事前に社員にから納得を得るようにしましょう。
サーベイに対して真剣に取り組んでくれる可能性が高めるために、社員の納得度は非常に重要なものとして捉える必要があります。
そのためには「なぜサーベイを実施するのか」、「どのような問題点について調査しようとしているのか」、「得られるメリットは何か」を明確にして伝えましょう。
匿名性を確保して社員の本音を引き出しやすくする
サーベイの回答を記名式にすると、社員は「回答によって自分の評価が下がるかもしれない」「人間関係が傷付くかもしれない」などの不安を持ってしまい、本音で回答できなくなる可能性あります。
社員の素直な回答が得られないと、組織の課題や問題点を正確に把握できなくなり、サーベイを実施しても意味がなくなってしまいます。
サーベイを効果的に実施するには、社員が匿名で回答できるようになっているかがポイントとなります。
匿名による心理的な安全性が確保されれば、社員の素直な回答を引き出すことが可能になります。
質問設計を工夫する
サーベイは社員の本心を引き出して組織の課題を把握し、改善につなげる目的でおこなわれます。
そのため、社員の本心を引き出せるような質問を用意することが重要なポイントです。
質問設計の際には、回答する社員の負担を考えて簡潔でわかりやすい内容の質問作成を心がけましょう。
また、特定の回答に誘導するような質問も作成しないように注意しなくてはなりません。
「社員の本心を引き出す」というサーベイの目的が失われてしまう可能性があるからです。
質問の設計は「目的に沿ったものであるか」「客観的で中立であるか」を意識するといいでしょう。
回答期限は長めに設定する
サーベイの回答期限が短いと、正確な回答を得られなくなる可能性があります。
特に、繁忙期と重なる時期にサーベイを実施する場合には注意が必要です。
社員は通常の業務と同時にサーベイの回答もおこなわなくてはいけません。
そのような状況時に回答を急かしてしまうと、社員の負担が大きくなってしまいかねません。
焦って回答してしまうと、回答の精度が落ちてしまうことが考えられます。
そのため、サーベイの回答期限は可能な限り余裕を持って設定するのがポイントです。
もし、回答期間中に突発的に忙しくなることがあれば、その都度、回答期限に猶予を設けるなどの対策を講じるようにしましょう。
フィードバックを共有する
サーベイの実施後は、社員に対して調査結果の開示やフィードバックの共有をおこないましょう。
自分の時間を割いてサーベイに協力したにも関わらず、結果やその後の取り組みについて何も知らされなかった場合、社員が不信感を抱く可能性があります。
次回のサーベイにおいて、真剣に向き合ってもらえなくなるリスク考えられるでしょう。
サーベイで把握した課題に対し、どのような対策を講じるのかを共有することで、社員への信頼度や満足度を高められます。
さらに、自分の意見を取り入れてもらえたと社員が感じられた場合には、エンゲージメントの向上も期待できます。
また、サーベイで得た結果から策定した改善策や方針を伝えることで、社員の協力も得られやすくなるでしょう。
サーベイ実施の注意点
サーベイの効果的な結果を得るためには、以下の注意点を意識しながら実施する必要があります。
- サーベイの質の高さ
- 適切な質問表現
- 実施頻度とタイミング
- 社員の回答データの管理
質問表現や実施頻度の工夫によって、回答の精度を下げてしまわないような運用が求められます。
また、サーベイ実施後に分析をおこなう際には、きちんとローデータを管理しておく必要があります。
サーベイ実施時の注意点について、詳しく解説します。
サーベイ自体の質は高いか
サーベイの質の高さは、「信頼性」や「妥当性」によって判断できます。
同じ条件で調査を繰り返し実施した際に、同じまたは類似した結果が得られている場合には、そのサーベイは信頼性が高いと判断できます。
また、期間を空けて調査をおこなったとしても、同様の結果が得られるなら信頼性は高いと判断してよいでしょう。
サーベイの質問が適切で、測定したい情報を得られている場合は妥当性があると判断できます。
これらの「信頼性」や「妥当性」が確保できないサーベイは、実施しても正しい結果が得られない可能性が高いので、質問内容の見直しが必要となります。
質問表現に問題はないか
サーベイで効果的な結果を得るには、質問表現や名前の表記にも注意しなくてはいけません。
特定の回答へ誘導したりバイアスがかかってしまったりするような質問表現は、信頼性と妥当性に欠けるサーベイとなってしまうため注意が必要です。
特に「他者からよく見られたい」と考えて答えてしまう「社会的望ましさのバイアス」がかかるような質問表現があると、サーベイを実施しても正確な結果を得られません。
「社会的望ましさのバイアス」は、記名式のサーベイでよく見られる傾向にあるため、匿名式にするなどの対策が必要です。
実施の頻度とタイミングは適切か
サーベイは、適切な実施頻度やタイミングで実施することが重要です。
サーベイの実施後は、回答の集計や分析、改善策の立案などをおこないます。
あまりにも頻繁にサーベイをおこなうと、以前のサーベイで発見した課題への改善がされていないにも関わらず次のサーベイを実施しなくてはならない事態になる可能性が高まります。
サーベイ実施後の結果公表やフィードバック、改善策の実施がおこなわれないままサーベイを繰り返しおこなっていると、社員に不信感を与えてしまう危険性があります。
また、サーベイを実施するタイミングも重要です。繁忙期のサーベイは社員の負担が大きくなります。
調査結果に信頼性を持たせるためにも、社員が余裕をもって回答できるスケジュールを組むように設計しましょう。
データの管理方法は適切か
データの適切な管理も、サーベイをおこなう際のポイントです。
特に、ローデータは自社で保管しておくことが重要です。
ローデータとは、「何も手を加えていない状態の調査結果の生データ」を指します。
サーベイにおいては、社員の回答結果がローデータに該当します。
もし、ローデータを適切に管理できていない場合、再分析の実施や追加分析できなくなる可能性があります。
また、ローデータを紛失した場合には、再度データを集めるためにサーベイをおこなわなくてはいけません。
ローデータは他のデータとの組み合わせにより、さまざまな分析に利用できるため、自社での管理が望ましいです。
サーベイを外注でおこなう際には、自社でローデータの管理ができるかどうかを確認するようにしてください。
まとめ
サーベイは、社員が抱えている不満や不安を可視化し、それまで顕在化していなかった課題を発見するのに重要な手法です。
さまざまな種類のサーベイを実施することで、企業はあらゆる角度から社員と組織の現状を把握し、課題解決のための対策を講じることが可能になります。
ただし、サーベイを実施する際には、社員への心理的負荷はもちろん、業務上でも負担をかけてしまわないように配慮する必要があります。
Geppoでは専任のカスタマーサポートを受けられます。
導入に向けた企業の悩みやさまざまな注意点を解消しながら目的に応じた提案が受けられます。
適切な内容と頻度でサーベイを実施し、自社の組織強化や生産性向上につなげていきましょう。
【監修者プロフィール】
木下 洋平
合同会社ミライオン
株式会社リクルートや教育研修会社での勤務後、現在は独立した専門家として活動。
キャリアコンサルタント資格を取得し、400人以上の個人のキャリア開発をサポート。
また、企業向けの人材育成・組織開発コンサルティングも手掛けており、個人と組織の両面での支援を行っている。