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エンゲージメント経営やエンゲージメント調査など、エンゲージメントについて書籍を読んで学びたいけれど、数あるビジネス書の中で、どれが自分の目的にあう本なのかわからない……と悩む人も少なくないでしょう。

この記事ではそんなビジネスパーソンのために、専門家が薦める「エンゲージメントについて学べる本」を合計5冊、コメント付きでご紹介します。

 

「エンゲージメント」について学ぶ前に、まず読みたい1冊

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数年前から耳にするようになった、「エンゲージメント」という言葉。

企業と従業員の信頼関係を高め、従業員のパフォーマンスを引き出して貢献度を上げるという、企業経営と切っても切れない重要な考え方のことです。

 

エンゲージメントの専門的な書籍へと進む前に、より広い範囲で、まずは人事分野全体の知識についても学んでみましょう。

 

  • 人材マネジメント用語図鑑(伊達 洋駆・安藤 健著、ソシム株式会社)

エンゲージメント、キャリア開発、組織コミットメントなど、人事分野特有の用語について、辞書的な言葉の定義+アルファが学べる1冊。

用語の発祥や主要な研究者について、概念を理解するためのわかりやすいイラスト図解付き。

関連するグラフ・データ、関連する人事用語やその概要までをカバーしているためまさに「頭から順に読んで知識を深めるもよし、わからない用語を引いて疑問を即座に解決するもよし」の図鑑。

エンゲージメントに直接関連する内容は限られてはいるものの、人事分野全般の知識をアップデートするためにもまず読んでおきたい1冊です。

 

 

推薦者の曽和 利光氏(株式会社人材研究所 代表取締役社長、人材採用力検定協会理事、日本ビジネス心理学会理事)より、推薦コメントをいただいています。

 

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「エンゲージメントの本」の前に読む本としておすすめします。

エンゲージメントについて学ぶことを旅に例えるなら、「実際にその場所へ行く前に、見取り図というか地図を見てから行きませんか」という感じですね。

 

人によって解釈が異なりさまざまな使われ方をしている人材マネジメント用語も、ここではしっかり整理されているので、先に読んでおけばたまたま手に取ったエンゲージメント本の、もしかしたら主流ではないかもしれない主張にまどわされずに済むはずです。

 

なにせ「用語図鑑」ですから、実はエンゲージメントについて解説しているページは7ページぐらいしかないのです。

が、逆にいえばこれだけのページ数で解説できるほど、とことん整理し尽くしているのですね。

従業員エンゲージメントのこと、ワークエンゲージメントのこと、これから学ぶ人が知りたいことが書かれています。

 

エンゲージメントのように比較的新しい概念で、しかもさまざまな文脈で語られていて、まだ世の中ではっきりと定義が整理されていないようなよくわからない用語や概念。

それらに出会って、どういうものなのか知りたいというときには、この図鑑を引くとスッと理解できる。

20218月に刊行されたばかりなので、“いま”の研究に触れることができるのもポイントです。

参考文献も掲載されていますし、どれもきちんとした学術的な統計処理が済んでいる査読論文なので、ファクトチェックが済んでいる内容だということも重要ですね。

だからこそ、「地図」としておすすめできるわけです。

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「エンゲージメント」を学び、高めていくために、次に読みたい2

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エンゲージメントについてより深く知り、さらに自社のエンゲージメントを高めるために、次に読んでおきたい実践的な2冊です。

 

  • 組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス(曽和 利光・伊達 洋駆著、ソシム株式会社)

MBOによる目標管理は、社員のポテンシャルを引き出す」「ダイバーシティが高まると、組織のパフォーマンスが向上する」「女性管理職の目標比率を公表するべきだ」など、人材マネジメント・組織マネジメントにおいて常識だと思い込まれている、つまりバイアスがかかっている事柄の数々。

本書ではこうした事柄に組織論と行動科学という学術研究から切り込み、マネジメントの常識のウソ・ホントに迫っています。

実務と理論の落としどころを考えるきっかけにもなる1冊です。

 

共著者の曽和 利光氏(株式会社人材研究所 代表取締役社長、人材採用力検定協会理事、日本ビジネス心理学会理事)より、推薦コメントをいただいています。

 

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先に紹介した「人材マネジメント用語図鑑」がエンゲージメントについて学ぶ前の地図だとしたら、この「人と組織のマネジメントバイアス」は、エンゲージメントを学ぶ旅の「旅行ガイド」みたいなものかもしれません。

 

「人材マネジメント用語図鑑」では内容を整理し尽くしてシンプルに解説していますが、「人と組織のマネジメントバイアス」は学び始めたばかりの人にはわかりにくいであろう議論であっても、あえて載せたうえで、論点をすべて明らかにするといった性質がある本です。

ですから、使い分けて読んでいただくといいのではないかと思います。

人事分野は感覚知である程度理解できてしまうこともあるのですが、それだけでやっていると間違うことがままあります。

たとえば素朴なイメージで「リモートワークだと組織への愛着が薄れそうだな」と思い込んでしまうようなことですね。

組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス」は、そういった「あるある(バイアス)」を45ケース取り上げ、バイアスを取り払って考えるヒントを提示しています。

ちなみにその中には「エンゲージメントが高まれば、組織の業績も上がる」というバイアスも含まれています。

取り払って考えた結果、どうなるかはぜひ本書で確かめてみてください。

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  • どうせ変わらないと多くの社員があきらめている会社を変える組織開発」(森田 英一著、PHPビジネス新書)

「どうせ変わらない」というあきらめは、社員の主体性を損ない、エンゲージメントを下げていきます。

それどころか、社員がみな唯々諾々と言われたことだけをこなし、「このままではダメかも」と思いつつも裏で愚痴を言うだけの状況が続けば、いつしか会社はどんどん沈むばかり。

こんな閉塞した状況を打ち破り、エンゲージメント向上にも深く関わる「会社の風通しを良くし、悪循環を抜け出す」方法を、組織開発のプロである著者が明示します。

 

著者の森田 英一氏(beyond globalグループシンガポール、日本、タイ表取締役社長より、推薦コメントをいただいています。

 

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10年ほど前に出版した単行本「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」を2015年に改題、再編集した新書です。

当時「エンゲージメント」というキーワードはまだ浸透していませんでしたから、「エンゲージメント」という言葉自体は使っていないのですが、内容的にはまさにエンゲージメントについて書いた本です。

 

多くの会社では「会社なんて自分がいてもどうせ変わらないよね」とあきらめている人がいて、後ろ向きの状況のまま、ある種会社との依存関係にある。

ここから、いかに社員の意識が目覚め、変わっていくか、特に従来の日本企業に多い、年功序列とか上意下達などの仕組み、その関係性をどうやったら変えていけるかということをお伝えしています。

 

「組織開発」といわれる手法を使って、どんな話し合いをすれば会社を変えていけるか、上に立つ経営層や中間管理職の意識やその下につく社員の意識も変わるか、ということを、中に物語も盛り込みながら解説しています。

 

エンゲージメントを高めるにあたっては、やはり人間関係やコミュニケーションを変えるのが最もハードルが高く、効果も大きいところなので、人間関係から生じている課題や、改善を阻む会社の仕組みみたいなものに対して強いあきらめ感や問題意識を持っている人に、ぜひ読んでほしい本ですね。

そして何らかの解決の糸口を見つけてほしいです。

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「エンゲージメント」からさらに視野を広げるために読みたい2

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エンゲージメントを学んだうえで、さらに視野を広げたいというときに、働き方改革や従業員満足度などについて理解が深められる2冊です。

  • 働き方ネクストへの人事再革新(吉田 寿著、日本経済新聞出版)

20217月出版の本書では、「働き方改革」のさなかにコロナ禍が起こり、半ば強制的にリモートワーク普及が進んだ中での働き方と人事について、現状を俯瞰し、ここからのあるべき姿を可能な限り予測しています。


この局面に応じながら改革をやり抜くためのヒントである経営視点での「戦略人事」推進、また従業員視点での「アジャイル人事」「人事のパーソナライゼーション」について学べる、人事分野についての新たな学びが詰まった1冊です。

 

著者の吉田 寿氏(HRガバナンス・リーダーズ株式会社 指名・人財ガバナンス部フェロー、BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員)より、推薦コメントをいただいています。

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働く環境が変わった!では、人事はどう変わるべきか?

 

新型コロナウルス感染症の蔓延とその対策ので、企業経営や雇用・人事を巡る景色は一変しました。

それは、さながら「人事事変」とでも呼ぶような、一大事件となっています。

しかし、今話題となっているパーパス・ドリブン経営も、ジョブ型雇用も、リモートワークを起点とする ニューノーマル対応型働き方改革も、従来から課題とされ改革が叫ばれてきたテーマに過ぎません。

 

雇用・人事改革の地殻変動は、「ビフォア・コロナ」の時代から既に始まっていたものであり、着地点も見えています。

問われているのは、現局面における変革推進力(GRITやりぬく力)です。

では、どうすれば良いのか……ヒントは、経営視点での「戦略人事」の推進と、従業員視点での「アジャイル(俊敏な)人事」「人事 のパーソナライゼーション(個別化・個性化)」への迅速な対応です。

そしてこれらは、DX(デジタルトランスフォーメーション)経営のこれからを見据え、HRテックを有効活用しながら、ネクストノーマル (次なる日常)の時代が求める真のマネジメント・スキルとリーダーシップに磨きをかけることにほかならないのです。

 

本書は、雇用・人事の「いま・ここ」を俯瞰し、次世代の働き方と人材マネジメントの「これから」を可能な 限り予測して、そのあるべき姿を提示することを主眼としています。

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  • 増補新装版 社員満足の経営 ES調査の設計・実施・活用法」(吉田 寿著、経団連出版)

エンゲージメントの引き合いに出されることも多いES(従業員満足度)調査について知ることができる1

CS(顧客満足度)やSS(社会的満足度)/業績アップや組織の活性化につながる調査設計・調査票作成のノウハウ/調査の集計・分析方法/測定結果の活用方法など幅広くフォローされており、エンゲージメント向上にも応用できる知識が学べます。

新装版では、初版発行時に取り上げられていなかったエンゲージメントについても触れられています。

 

著者の吉田 寿氏(HRガバナンス・リーダーズ株式会社 指名・人財ガバナンス部フェロー、BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員)より、推薦コメントをいただいています。

 

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地球視点で考える経営の時代となりました。

それは、SDGsESG重視の経営にとどまらず、資本主義の再定義を促し、これまでの企業経営のあり方を根底から問い直す動きです。

またそれは、単なる株主重視にもとどまらず、企業を取り巻く利害関係者(ステークホルダー)重視の方向へと舵を切ろうとする動きです。

加えて、コーポレートガバナンス・コードの改訂により、「見えざる資本」としての人財に改めてスポットライトが当てられています。

 

その中で、経営戦略と人財戦略との連動を図るためにも、人的資本経営の実践は避けて通ることができません。

企業の成長と持続可能性の実現のためには、ES(社員満足度)調査やエンゲージメント・サーベイの定期的・継続的な実施と、改善施策の的確な実行が特に重要な意味を持ちます。

 

本書では、ゲーム業界における経営統合という架空のケースを取り上げ、社員満足経営の実現に向け、ビジネス・ストーリー小説を縦糸とし、ES調査の実務解説を横糸として織りなす物語の中で、組織の状況を把握・測定する手法や実務、調査結果の有効活用のための方法を紹介しています。

 

ES調査がなぜ大切か?CS(顧客満足)やSS(株主満足)を高め、戦略の実現や企業業績・組織活力の向上に結びつける調査のあり方とは?本書は、これらの問いに答えるべく、調査票の作成から集計・分析、測定結果の活用までを平易に解説した入門書です。

 

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今回ご推薦いただいた書籍は、エンゲージメントに限らず、人事マネジメント用語について学べる本や組織開発がテーマの本、はたまたエンゲージメントに先駆けて人事分野で注目されてきた従業員満足度の本など、バリエーション豊か。

エンゲージメントの周辺からも知識を深めて、より広い視野でエンゲージメントについて学べそうです。

 

読書で得た知識は、実際の職場で活かしたいところ。

ぜひ前述の書籍をご一読いただき、社員のコンディション把握や、エンゲージメント向上のノウハウなど、身近なところから実践してみてください。

 

 


【監修者プロフィール(順不同)】

 監修者(曽和氏)

曽和 利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長

人材採用力検定協会理事

日本ビジネス心理学会理事

 

リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験、また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。

著書等:「人と組織のマネジメントバイアス」、「コミュ障のための面接戦略」、「人事と採用のセオリー」、「悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?人事のプロによる逆説のマネジメント」、「「ネットワーク採用」とは何か」、「知名度ゼロでも『この会社で働きたい』と思われる社長の採用ルール48」、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」

 

 

監修者(森田英一氏)のプロフィール画像

森田 英一

beyond globalグループ(シンガポール、タイ、日本) President & CEO

 

大阪大学大学院 卒業。外資系経営コンサルティング会社アクセンチュア(当時、アンダーセンコンサルティング)にて人・組織のコンサルティングに従事。2000年にシェイク社を創業し、代表取締役社長に就任。主体性を引き出す研修や、部下のリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発のファシリテーションに定評がある。現在は、beyond globalグループのPresident & CEOとして、エンゲージメント向上プロジェクト、企業文化変革、経営者育成、組織開発、次世代リーダー育成、HRテック導入支援、各種プロジェクトを行っている。主な著作「「3年目社員」が辞める会社 辞めない会社」(東洋経済新報社)「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「会社を変える組織開発」(php新書)等。日経スペシャル「ガイアの夜明け」 「とくダネ!」 等メディア出演多数。

 

 

 

吉田 寿

HRガバナンス・リーダーズ株式会社 

指名・人財ガバナンス部 フェロー 

BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

 

早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。

富士通人事部門、三菱UFJリサーチ&コンサルティング・プリンシパル、ビジネスコーチ常務取締役チーフHRビジネスオフィサーを経て、202010月より現職。

“人を基軸とした企業変革の視点から、人財マネジメント・システムの再構築や人事制度の抜本的改革などの組織・人財戦略コンサルティングを展開。

中央大学大学院戦略経営研究科客員教授(2008年~2019年)。

早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

主要著書『働き方ネクストへの人事再革新』(日本経済新聞出版)等多数。

 

 

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