エンゲージメントサーベイとは?取り組むべき施策と導入ステップ

働き方改革やコロナ禍での事業活動など社会の変化に合わせて、フレックスタイムやリモートワークを導入している企業も増えています。しかし、一方で社員同士が交流する機会が減り、コミュニケーションに対する懸念も生まれています。今回は、エンゲージメントサーベイが注目される理由や導入ステップ、得られる効果について解説します。

エンゲージメントサーベイの定義と注目される理由

エンゲージメントサーベイの定義と注目される理由

エンゲージメントサーベイを効果的に活用するには、言葉の定義や従業員満足度との違いを押さえておくことが大切です。それぞれのポイントについて解説します。

●エンゲージメントサーベイとは?

エンゲージメントサーベイとは、社員が自社の商品・サービスもしくは企業そのものにどれくらいの愛着や帰属意識を抱いているかを調査することを指します。事前に準備した質問を社員に提示して、回答結果から愛着心の度合いを測ります。

エンゲージメントは「契約」や「約束」という意味ですが、今回の場合は社員が勤め先に抱いている貢献意識や愛着心、または帰属意識といった意味合いになります。企業と社員が同じ価値観やビジョンを共有し、より主体的に行動していく環境を構築するために、エンゲージメントサーベイを行って実態を把握するのです。

●従業員満足度と異なるポイント

エンゲージメントと似た言葉として、従業員満足度があげられます。従業員満足度は給与や休暇、労働環境に対しての満足度のことを指します。

そのため、企業が社員の要求や要望に応えられなくなれば、従業員満足度は簡単に低下します。一方でエンゲージメントは一度高まると、たとえ企業が業績不振に陥っても、社員のモチベーションが維持されやすいといった違いがあります。

また、人事分野でのエンゲージメントという言葉には、社員が仕事や企業に対して抱く思いが、組織全体の生産性と相関しているという考えが含まれています。従業員満足度は社員個人の満足度に焦点があたっており、「組織全体の生産性につながる」という視点が薄いと言えます。

企業が社員の満足度を一方的に満たそうとするのではなく、双方向的な関係を築いていくことが重要です。そのため、従業員満足度から一歩踏み込んだ捉え方として、エンゲージメントが注目されており、エンゲージメントを向上させる取り組みとしてエンゲージメントサーベイが用いられています。

●ギャラップ社の12の質問

エンゲージサーベイを実施するために、いちから質問項目を作成するのは多くの時間と労力を伴います。また、精度の高い調査結果を得るために、すでに成果をあげている事例を参考にすることが重要です。

アメリカの大手調査会社であるギャラップ社では、1,700万人の従業員に対して30年以上にわたって調査してきた結果を基に、社員と組織のパフォーマンスを測定する12の質問を取り上げています。

  • 仕事において何を期待されているか知っているか
  • 仕事を適切に行うための設備やツールを持っているか
  • 仕事において、毎日最も得意なことをするための機会を与えられているか
  • 過去の7日間において、よい仕事をしたことについて認められたり褒められたりしたことがあったか
  • 職場の上司や同僚など、誰かに一人の人間として気にかけてもらっていると感じるか
  • 職場で自分の成長を促してくれる人は誰かいるか
  • 職場で自分の意見を尊重してもらっていると感じるか
  • 会社のミッションや目的を読むと、自分の仕事が意義あるものと感じられるか
  • 職場の同僚は質の高い仕事をすることにコミットしているか
  • 職場に親友はいるか
  • 直近の6ヵ月間において、職場の誰かが自分の進歩について伝えてくれたか
  • 直近1年間において、学びや成長の機会を得られたか

 

これらの質問から見えてくるポイントは、社員個人と同僚・上司・企業そのものとの関係性に注目している点です。

エンゲージメントサーベイを実施する際には、ギャラップ社の12の質問をベースとして、自社に合った質問項目を練ってみるのも有効な方法です。

●エンゲージメントサーベイが注目される理由

エンゲージメントサーベイが注目されるようになったのは、働き手の減少と人材の流動化が主な要因です。労働人口が減少すれば、企業にとっては人材の確保が難しくなり、他社と人材獲得を争うことになります。

また、終身雇用制や年功序列といった従来の働き方に変化が生じ、労働や働き方に対する価値観が変化しています。1つの企業に長く勤めて貢献するよりも、個人のスキルアップを重要視する時代となっており、人材の流動性は高まっています。

つまり、社員のエンゲージメントが低ければ、人材が自社から離れる可能性が高まるのです。そのため、エンゲージメントサーベイを用いて社員の意識調査を行うことで、離職防止や生産性の向上につなげるといった手法が注目されるようになりました。

組織が抱える課題を洗い出した上で、社員の考えや要望を知り、社員と組織の間にあるギャップを改善するためにエンゲージメントサーベイは用いられています。

 

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実施することで得られる3つの効果

実施することで得られる3つの効果

エンゲージメントサーベイを実施することで、さまざまな効果が得られます。ここでは、主に3つの視点から得られる効果について紹介します。

●人事管理における課題発見と早期の改善が行える

エンゲージメントサーベイを行うことで、企業やチームが抱える人事における課題が浮き彫りとなり、早期に取り組むべき施策の優先順位がつけられます。よくある課題としては、「コミュニケーション不足」「社員のモチベーションが低い」などです。

効果的な施策を実行するためには、社員が何を求めているかをきちんと把握することが欠かせません。双方向のコミュニケーション手段として、エンゲージメントサーベイを活用してみましょう。

●離職率の低下につなげられる

社員のエンゲージメントが高ければ、離職率の低下につながります。勤務先に対する愛着心が高まれば、長く働き続けたいという心理が働くためです。

ただ、愛着心というものは形として見えるものではないので、一度調査を行ったからといって同じレベルで維持されるものではありません。定期的に調査を行って、社員のエンゲージメントに変化がないかを計測しましょう。

●生産性を高められる

社員のエンゲージメントの高さは、業績や生産性の向上につながります。株式会社リンクアンドモチベーションの2018年の調査では、エンゲージメントが高い企業の方が、労働生産性が高いという結果が出ています。組織全体の課題を突き詰めて考えていくと、結局は社員が抱えている課題と重なる面が多いこともめずらしくありません。

エンゲージメントサーベイを実施することは、社員の状態を把握するだけでなく、組織全体のあり方を見直すことにもつながります。経営状態を改善する手法の1つとして用いることも有効です。

エンゲージメントサーベイの導入ステップと注意点

エンゲージメントサーベイの導入ステップと注意点

エンゲージメントサーベイを導入するためには、各ステップのつながりを意識して、着実に実行していくことが大切です。調査結果に対する注意点も交えて解説します。

●導入のための4つのステップ

エンゲージメントサーベイを実施するためには、次の4つのステップに基づいて実行してみましょう。

 

  1. 実施目的を策定し、社員に対して実施理由を伝える
  2. サーベイの実施(自社独自で行う・外部サービスの利用)
  3. 調査結果から課題を洗い出し、改善施策を練る
  4. 定期的にエンゲージメントサーベイを実施する

 

まず、どのような目的をもってエンゲージメントサーベイを実施するのかを、実施前に明確にします。そして、企業側が一方的に調査を実施するのではなく、社員に対してなぜ調査を行う必要があるのかを丁寧に説明しましょう。

サーベイの実施にあたっては、自社でオリジナルの質問項目を設定して調査を行う方法と外部サービスを利用して実施する方法があります。エンゲージメントサーベイを行うための社内リソースがどれくらいあるかを把握した上で、最適な方法を採りましょう。

また、1回の調査だけでは社員の実態を把握するのは難しいため、定期的に調査を行う必要があります。繰り返し調査を実施することで、社員のエンゲージメントがどのように変化しているかを把握しやすくなり、具体的な改善策の実行に結びつけることが可能です。

●調査結果を活用するときの注意点

エンゲージメントサーベイによって得られた調査結果は、相関関係(片方が変化すると、もう片方も変化する関係)と因果関係(一方の原因から特定の結果が生まれる関係)に注意する必要があります。本来であれば相関関係と判断すべき事柄を因果関係と判断してしまっては、誤った施策の実行につながるので気をつけましょう。

1つの傾向から実施する施策を判断するのではなく、エンゲージメントを高めるための施策が何かをよく見極めることが大切です。また、社員が質問項目に対して率直な意見を答えやすいように、プライバシーに対する配慮も欠かせません。

また、直属の上司に自分の回答が公開されると分かれば、社員が遠慮をしてしまうことが想定され、十分なデータを集められなくなってしまいます。回答は匿名で行い、調査結果は人事部の一部の人間にしか公開されないなどの調査方針を事前に伝えておくことも大切です。

エンゲージメントを向上させて組織の活性化につなげよう

社員のエンゲージメントを高めることは、組織全体を活性化させ、生産性を向上させることにつながります。社員個人と企業が双方向型のコミュニケーションをとることで、社員が自社や商品・サービスに対して愛着を抱く取り組みを進めていきましょう。

エンゲージメントサーベイは継続して取り組むことが大切です。サーベイを導入するなど、社員と組織の課題を見つけ対処をして、エンゲージメントの向上に結びつけてみましょう。

 

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