【専門家監修】ワークエンゲージメント調査で有効な業務改善を

By Geppo編集部(監修:曽和 利光) |
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Geppo編集部(監修:曽和 利光)
カテゴリー: モチベーション 仕事のやりがい エンゲージメント

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企業の従業員を対象として行われる調査として、近年特に注目されつつあるのが、企業と従業員の信頼関係を計測する「エンゲージメント調査」です。

しかしこの調査の指標「エンゲージメント」は実は2種類あり、どちらの指標に着目するかで調査方法も違ってくるのです。

この記事では、エンゲージメント調査の概要や、2つの調査のうち注目すべき「ワークエンゲージメント調査」についてご紹介します。

 

エンゲージメント調査とは?

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  • ビジネスにおける「エンゲージメント」とは2つに分けられる

人事分野において「エンゲージメント」が指し示すものは非常に広範囲にわたり、人によって定義や解釈もさまざまです。

もっとも広く、共通して認知されている意味合いは、さしあたり「従業員の会社に対する愛着や思い入れ」といったところでしょうか。

 

なぜ「エンゲージメント」の定義や解釈がこのようなことになっているかというと、実は「エンゲージメント」は2種類に大別され、それぞれの意味合いが違うのはもちろん、定義の厳密さや解釈もまるで違うという状況が起こっているからです。

ここで、2種類それぞれの「エンゲージメント」について見てみましょう。

 

 

1)従業員エンゲージメント

従業員がもつ全体的なエンゲージメントのことを指します。

会社への愛着や組織の一体感など、いわゆる「会社」「仲間」「同僚」に対する感情や認知の状態、もっといえば「思惑が一致しているかどうか」を示す指標といって良いでしょう。

 

忠誠心のように上下関係を基にした指標ではなく、会社や仲間などとの対等性を強調しているところが特徴です。

 

しかしその定義は比較的あいまいで、解釈も人によって幅があると見られています。

 

 

2)ワークエンゲージメント

従業員エンゲージメントの対象が「会社」「仲間」「同僚」である一方、ワークエンゲージメントは「仕事」そのものに対してもつエンゲージメントのことを指します。

仕事をしていると活力がみなぎるか、仕事に誇りややりがいを感じているか、といった感情や認知の状態を示す指標です。

学術的な研究も進んでおり、より厳密に定義されています。

 

 

このとおり「従業員エンゲージメント」と「ワークエンゲージメント」という2種類のエンゲージメントはそれぞれ異なる性質をもっており、「エンゲージメント」として一つにまとめるのは雑な言葉の扱い方をしてしまっているともいえます。

 

 

たとえば、従業員エンゲージメントだけが高いのであれば「会社や仲間には満足しているけれども、自分の仕事はつまらない」という状態が起こり得ます。

反対にワークエンゲージメントだけが高いと「会社や仲間はさほど気に入らないが、自分の仕事はやりがいがあって面白い」という状態も起こり得ます。

これらをまとめて「エンゲージメントが高い/低い」では論じられないということです。

 

 

  • エンゲージメントを数値化する「エンゲージメント調査」

従業員エンゲージメントも、ワークエンゲージメントも、調査によってその感情や認知の状態を数値化し、それを指標として対策をとるのが一般的です。

 

この調査を総称して「エンゲージメント調査」、調査によって表れた数値は「エンゲージメントスコア」といいます。

「従業員エンゲージメント調査」と「ワークエンゲージメント調査」では、それぞれ調査内容が異なりますが、調査方法はいずれもアンケートが一般的です。両者は全く別の調査であるため、どちらか片方だけ調査を実施するケースもあります。

 

「従業員エンゲージメントスコア」が高いほど「会社・同僚・仲間との絆がしっかりとしている」、「ワークエンゲージメントスコア」が高いほど「仕事に対して活力をもって打ち込んでいる」、と判断することができ、つまり会社にとって望ましい状態とされます。

 

 

同じように、アンケート調査で従業員の感情や認知の状態を数値化する調査(とその指標)には「従業員満足度調査(従業員満足度)」や、「eNPS調査(ロイヤルティ)」があります。

それぞれとエンゲージメント調査との違いについて見てみましょう。

 

 

1)従業員満足度調査(従業員満足度)

エンゲージメントが会社や仲間などとの対等性を強調する指標であるのに対して、従業員満足度は「会社が従業員に与える職場、仲間、仕事などのさまざまな環境に対して、従業員が満足しているか」という、ある意味一方的な関係を測る性質があります。

離職率を抑えるといった目的には適している一方で、生産性などの業務パフォーマンス向上に用いるには難しい面もあります。

 

 

2eNPS調査(ロイヤルティ)

マーケティング分野で、顧客が「(この商品・サービスを)親しい人に勧めたいと思うか」という「推奨度」を測るために用いられているNPSNet Promoter Score)調査と、その指標であるロイヤルティ(信頼・忠誠心)が元になっています。

つまり、従業員(Employee)の推奨度を測る調査ならびに指標です。

 

業務改善に活かすなら「ワークエンゲージメント調査」を

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  • 「ワークエンゲージメント」は離職率などとの相関がはっきりしている

厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-※」では、ワークエンゲージメントが高いほど組織コミットメント(企業の理念や担当業務の意義などを理解したうえで、企業の組織風土に好感をもっている)や定着率が高く、また離職率は低いという調査結果が示されています。

 

一方、従業員エンゲージメントについても収益性との相関があるとする調査報告はあるものの、調査会社などによる独自のもので、学術的にははっきりと検証されていません。

 

  • 業務改善に活かすのであれば「ワークエンゲージメント調査」が有効

先述の調査結果からも、業務改善に有効なのはワークエンゲージメント調査であることがわかりますが、加えてもう一つポイントがあります。

ワークエンゲージメント調査は「燃え尽き症候群(バーンアウト)」のリスクが高まっている人材を見極めるきっかけにもなるということです。

 

実は、ワークエンゲージメントの研究自体が、燃え尽き症候群の研究から派生したものです。

同じようにやる気に満ちていて仕事の大好きな人材でも、その状態をキープし続けられる人もいれば、ある日突然メンタルの不調を訴え、燃え尽きてしまう人もいます。

 

この状態に対する研究が進んだ結果、好調をキープできるのは「ワークエンゲージメントが高い」人であり、燃え尽きてしまう人は、ワークエンゲージメントが高いわけでもないのに、責任感など別の理由でがむしゃらに働き続けてしまう「ワーカホリック状態」だということがわかったのです。

 

ワーカホリック状態にある人を放置すると、やがて燃え尽きて、人材を失うことになりかねません。

こうしたことからも、ワークエンゲージメント調査は重要なのです。

 

 

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「ワークエンゲージメント調査」はどのようにして行うか

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  • 「活力」「熱意」「没頭」の3種類の尺度「UWES」で測定する

ワークエンゲージメントの指標としては、この概念を提唱したオランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らによって「活力」「熱意」「没頭」の3種類の尺度をもつ「UWES(Utrecht Work Engagement Scale)」が開発されています。

このスコアが高いほど、ワークエンゲージメントが高いというわけです。

 

 

またワークエンゲージメントの調査には、UWESを基にした17項目の「UWES-17」、9項目の短縮版「UWES-9」、3項目の超短縮版「UWES-3」、が用いられます。

詳しい項目についてはこちらURLをご参考ください。

 

 

ワークエンゲージメント調査の結果をビジネスに活かすには?

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  • まず「JD-R(仕事の要求度-資源)モデル」を理解する

出典:

厚生労働省ホームページ

令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-

「第Ⅱ部 第3章「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf

 

シャウフェリ教授らは、ワークエンゲージメントの概念やUWESと併せて、ワークエンゲージメントに関わる要員や関係性を示した「JD-Rモデル」(図)も提唱しています。

 

これを見ると、仕事の要求度(J:ジョブ-D:デマンド)に対して、適切な支援や評価、自己効力感など(R:リソース)の供給があるかがワークエンゲージメントに関わることがわかります。

 

かみ砕いていえば、「仕事で負う負担」(JD)に対して、「周囲からの支援」や「上司からの自信につながるサポート」(R)があるといったことがワークエンゲージメントを高めるポイントになるわけです。

 

ただしここでいうリソースは経営資源、いわゆる「ヒト・モノ・カネ」ではありません。

会社や周囲からの支援、成長できる要素、仕事の面白さ、正当な評価といったことがこれにあたります。

 

 

※さらに具体的なエンゲージメントの強化方法については下記記事をご参考ください。

【専門家監修】エンゲージメントを正しく知り、意義ある強化を

 

  • 仕事の要求度と資源のバランスを保っていくことが重要

先述の話をまとめると、ワークエンゲージメントを上げ、高い状態をキープするには、仕事の要求度と、仕事の資源・個人の資源のバランスを保っていくことが重要、といえます

ただし、そのバランスの取り方にもポイントがあります。

 

たとえば仕事の要求度が高すぎて、資源とのバランスが崩れることでストレス反応が高まり、ワークエンゲージメントが下がったとします。

ここで「資源は投入できないから仕事の要求度を下げてバランスを取ろう」となると、バランスは取れるもののワークエンゲージメントの改善にはつながらず、仕事のパフォーマンスも下がってしまいます。

ですから、「資源を高めてワークエンゲージメントの改善につなげる」ことが重要なのです。

 

  • 健康を損ねる働き方やワーカホリック状態にも配慮を

ワークエンゲージメントの高い状態は、活力や熱意にあふれ、仕事にも没頭できて良い状態ではあるのですが、長時間労働につながりやすいという特徴があります。

本人が納得して働いていても、身体的な無理が重なり健康を損ねる可能性もあります。

仕事量の把握や労働時間数のチェック、必要に応じて休暇取得を勧めるなど、マネジメントに工夫が必要です。

 

また、長時間労働が続くなど「やる気はあるがワークエンゲージメントが低い」社員は、ワーカホリック状態に陥っている可能性があります。

燃え尽き症候群へ至る前に健全な状態へと戻れるよう、1on1ミーティングでケアしていくなどの対策を講じたいところです。

 

 

ワークエンゲージメントを高めて社員のパフォーマンスを保つには、まず社員の状況を把握することが重要です。

適切にリソースを投入したり、バーンアウトしかかっている社員をケアしたりできるよう、マネジメントのやり方や体制から見直してみましょう。

 

厚生労働省ホームページ

令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-

「第Ⅱ部 第3章「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf

 

 

【監修者プロフィール】

監修者(曽和氏) 

曽和 利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長

人材採用力検定協会理事

日本ビジネス心理学会理事

 

リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験、また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。

 

 

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