リーダーシップとは?求められる種類・スキル・マネジメントとの違いリーダーシップは企業経営者だけが持つものではなく、チームとして目標を達成するときにも欠かせないものです。また、マネジメントスキルとは異なるものでもあります。リーダーシップには種類がいくつかありますが、目的によって発揮すべきスキルは異なります。

この記事では、リーダーシップの種類や求められるスキル、具体的な行動などについて解説します。

リーダーシップとは?

リーダーシップとは?リーダーシップをうまく発揮していくには、リーダーシップの基本的な意味をおさえておくことが重要です。ここでは、リーダーシップの定義、リーダーシップとマネジメントの違いについて解説します。

●リーダーシップの定義

リーダーシップとは統率力や指導力を意味し、特定の目標を達成するために個人やチームの行動を引き出す力と定義されます。リーダーは目標達成のための道筋を示し、発生する問題に対処をしながら、メンバーのモチベーションを維持していく役割を担います。

チームとして目標を達成するには、リーダーだけが頑張るのではなく、各メンバーがどのように行動すればよいかを示すことが重要です。個々が自主的にチームの活動に参加していく流れをつくる力がリーダーには求められます。

●リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップは、企業が掲げるビジョンや目標達成のために影響力を発揮する個人の能力を指します。目指すべきゴールにたどり着くために、従来のやり方にとらわれない柔軟な対応も必要です。

一方、マネジメントとは、目標達成のための手段をあらかじめ決め、計画や予算などをきちんと管理していくことです。決められたゴールに向かって、いかに効率的に進めていくかを重視します。

つまり、リーダーシップはメンバーや組織を導いていく力であり、目標達成のための具体的な取り組みを考え、実行・管理していくのがマネジメントです。

 

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時代によって変わるリーダーシップ論

時代によって変わるリーダーシップ論求められるリーダーシップは時代とともに変化しています。ここでは、ピーター・ドラッカーとジョン・アデア、PM理論やコッターのリーダーシップ論を紹介します。時代ごとに求められていた理論を知ることで、今の組織に必要なリーダーシップのあり方を探ってみましょう。

●リーダーシップが重視される理由

リーダーシップには、チーム全体を牽引しながら、個々の行動が目標からそれてしまわないようにうまく調整する役割が求められます。リーダーがこうした役割を担うことで、個々のタスクが明確になり、効率的かつスムーズにチームを目標達成へと導くことができるのです。

ジョン・アデアのリーダーシップ論では、リーダーシップを発揮する目的として具体的に、

「タスクや目標を達成すること」

「チームを作り、団結を維持すること」

「個人の能力を開発すること」

の3つをあげています。

リーダーは目標達成のための舵取りを行い、各メンバーに対して今なすべきことを具体的に指示していきます。

●ピーター・ドラッカーのリーダーシップ論

ドラッカー以前にもリーダーについての考察はさまざまな方面でありましたが、経営学として体系的にリーダーシップ論を提唱したのは彼が出発点とされています。

それまでリーダーシップ論はリーダー個人の資質や能力によると考えられていました。しかし、ドラッカーは、個人の資質や能力とリーダーシップには関係性がないとしたのです。

リーダーとは決してカリスマ性によるものではなく、周囲の人たちが「付き従う」ものとし、リーダーシップを「仕事」「責任」「信頼」という言葉で表現しました。

■リーダーシップは、生まれ持った資質ではなく「仕事」である。

■リーダーシップは、地位や特権ではなく「責任」である。

■リーダーシップは、「信頼」である。


●PM理論

PM理論は1966年に日本の社会心理学者である三隅二不二(みすみ じゅうじ)によって提唱されたリーダーシップ論です。リーダーシップは目的達成能力(Performance)と集団維持能力(Maintenance)の2つの能力要素で構成されていると説いています。

2つの能力の大小によって、4つのリーダーシップのタイプを示していますが、PとMがどちらも高い状態(PM型)が最も望ましいとされています。

■PM型(P・Mの両方が大きい)
目標を明示して成果を挙げ、集団の統率力もあるタイプ

■Pm型(Pが大きく、Mは小さい)
目標を明示して成果を挙げるものの、集団をまとめる力は弱いタイプ

■pM型(Pは小さく、Mが大きい)
成果を挙げる力は弱いが、集団を統率する力はあるタイプ

■pm型(どちらも小さい)
成果を挙げられず、集団を統率する力も弱いリーダー失格タイプ


●ジョン・P.コッターのリーダーシップ論

コッターのリーダーシップ論は、変革の時代において重要なのはリーダーシップであると説き、変革を実現するための8段階のプロセスを提唱しています。

1. 緊急課題であるという認識の徹底

2. 強力な推進チームの結成

3. ビジョンの策定

4. ビジョンの伝達

5. 社員のビジョン実現へのサポート

6. 短期的成果をあげる計画の策定・実行

7. 改善成果の定着とさらなる変革の実現

8. 新しいアプローチを根付かせる


コッターの理論では、リーダーに必須となる能力について、「対人態度」と「高いエネルギーレベル」を掲げているのが特徴です。これらの能力は子供時代、仕事の経験、所属した組織の文化などに大きく影響されると説いています。


●最新のリーダーシップ論

求められるリーダーシップは時代とともに変わっていくため、最新の理論についても押さえておきましょう。注目されているおもなリーダーシップ論として、以下の3つが挙げられます。

■サーバント・リーダーシップ

■シェアド・リーダーシップ

■フォロワーシップ理論


サーバント・リーダーシップは、リーダーがサーバント(奉仕者)としての役割を持つものであり、部下の支援を積極的に行うのが特徴です。部下の能力を肯定し、相互信頼に基づいた関係を構築して、組織の目標達成を導いていきます。

シェアド・リーダーシップは、管理職の立場でないメンバーも「全体的な視点」と「リーダーシップに対する持論」を持つように促すのが特徴です。管理職以外のメンバーを成長させることでチーム内での影響力を持ってもらうのが狙いです。

フォロワーシップ理論では、リーダーを支えるサブリーダーを育てることに重点を置いています。リーダーに対して主体的な働きかけ(リーダーの行動に誤りがあれば意見を言ってもらう等)をしてもらうことで、組織の目標を達成していきます。

リーダーシップの種類

リーダーシップの種類リーダーシップ論を実践するためには、リーダーシップの種類を理解しておく必要があります。

クルト・レヴィンとダニエル・コールマンがそれぞれ提唱した類型を見ていきましょう。リーダーシップを発揮する4つの目的についてもご紹介します。

●リーダーシップを発揮する4つの目的

リーダーシップを発揮する目的を明らかにすることで、とるべき行動を予測しやすくなります。4つの目的についてポイントをおさえておきましょう。

1. タスクや目標を達成するため

チームとして目標を達成するためには、メンバーがバラバラに動いていても成果に結びつきません。リーダーが率先して、チームが達成すべき目標やメンバーごとのタスクの割り当てを考える必要があります。

2. チームを団結させるため

リーダーはチーム全体のモチベーションを高め、コミュニケーションを活性化させる役割を担います。各メンバーが解決すべき課題と別に、チームでまとまって行動すべき部分を明確に示すことが大切です。

3. 個人の能力を高めるため

メンバー自身に考えさせ、課題に気付いてもらうことで個々の能力を伸ばしていくことがリーダーの役割です。リーダーは一方的に指示を出すよりも、聞き役に回る方がより良い成果につながるでしょう。

4. 環境の変化に対応するため

リーダーは取り巻く環境の変化をいち早く把握しておく必要があります。メンバーの一人ひとりが自律的に行動できるように促し、企業を取り巻く変化に対応していくことが重要です。

●クルト・レヴィンの3種類のリーダーシップ

リーダーシップを実践する方法として、クルト・レヴィンが提唱したリーダーシップ類型があげられます。

「専制型」「民主型」「放任型」の3種類からなり、それぞれの特徴は以下の通りです。

■専制型リーダーシップ
チームを消極的・受動的なものと捉え、意思決定や作業手順はリーダーが指示する。短期的には他の類型よりも生産性は高いが、長期的には効果的ではない。

■民主型リーダーシップ
リーダーがサポートをしつつ、チームで話し合って方針を決める。作業手順はメンバーに任せる。長期的な生産性を高め、チームの団結力は強くなる。

■放任型リーダーシップ
チームの行動にリーダーは関与せず、意思決定や作業手順はメンバーが決める。メンバーの士気は低く、生産性も他の類型より低い。


●ダニエル・ゴールドマンの6つのリーダーシップ

ダニエル・ゴールドマンが提唱する6つのリーダーシップには、ビジョン型・コーチ型・関係重視型・民主型・ペースセッター型・強制型があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

■ビジョン型
ブレない信念でチームを引っ張っていく。組織の変革時や急成長のタイミングに効果を発揮する。

■コーチ型
リーダーの考えやスタイルを押しつけず、メンバーのやり方を尊重する。短期的な成果を求めず、仕事の現状と理想の間に差があるときに効果を発揮する。

■関係重視型
メンバーと同じ目線に立ち、信頼にもとづく有効的な関係を築く。メンバーが有能で、高い自律性を備えているときに効果を発揮する。

■民主型
意思決定のプロセスにメンバー全員を参加させて、合意を得たうえで進める。問題を打開する方法として効果を発揮する。

■ペースセッター型
高いスキルを発揮して、メンバーを引っ張っていく。実力が重視される職場環境において有効。

■強制型
強制的に指示・命令を行っていくスタイル。業務効率がよく、短期間で成果をあげられる。

4つのリーダーシップの必要スキルと特徴

4つのリーダーシップの必要スキルと特徴リーダーシップに必要なスキルと特徴を頭に入れておくと、状況に応じてうまく使い分けることができます。ここではリーダーシップの4つのタイプについて、それぞれに必要とされるスキルと特徴についてご紹介します。

●1. カリスマ型:ビジョンを持ちチームを率いるスキル

「カリスマ型のリーダーシップ」は、明確なビジョンを打ち出し、目標達成のために生じるリスクを引き受けます。組織や業界を牽引していくスタイルですが、リーダーシップが強すぎると、メンバーの自主性は失われやすいという欠点があります。

●2. ファシリテーション型:業務状況を管理するスキル

「ファシリテーション型のリーダーシップ」は、傾聴や質問でメンバーの意見を最大限に引き出していきます。リーダーは組織を率いるというより、上下関係のない中立的な立ち位置を取ります。

●3. 変革型:臨機応変に対応できるスキル

「変革型のリーダーシップ」は、大胆な改革によって経営や組織が抱える問題を解決します。新たなビジョンを打ち出して、組織の危機を乗り越えていくスタイルです。

●4. ポジティブ型:チームから信頼を得るスキル

「ポジティブ型のリーダーシップ」は、リーダーがメンバーの感情やモチベーションに働きかけて、組織を引っ張っていきます。メンバーはリーダーに対して忠誠心を抱きやすくなり、職務に専念するという傾向が見られます。

まとめ

目標を達成するためリーダーが果たすべき役割は多種多様です。リーダーシップ論やその類型は多くありますが、それぞれの特徴をおさえたうえで、状況に応じたものを参考にすると良いでしょう。

また、リーダーだけが頑張れば成果が出るというものではないため、リーダーだけでなく社員一人ひとりのスキルや課題を明らかにしておく必要もあります。

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