カテゴリー: 人事基礎知識

これまで世の中になかった価値を提供し、爆発的な速度で成長するスタートアップ企業。法人立ち上げ初期には著しい事業拡大を優先するあまり、社内人事制度の構築が追い付いていないという企業が少なくないでしょう。


このようなスタートアップ企業にとって、 HRTech関連の人事サービスはとても頼もしい存在です。メンバーをまとめる管理職やバックオフィス業務を担う人員がいない組織において、ヒトに代わって組織を支える機能を果たします。

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今回は限られた人数で成長するスタートアップ企業が活用したい人事サービスを紹介します。人事制度や組織体系の構築の必要性を感じながらも、着手できていないという組織にとって参考になる内容です。


①スタートアップの組織体系

多くのスタートアップはビジョナリーな創業者と若手プレーヤーで構成される少人数組織です。立ち上げ段階では管理職と呼ばれる存在が不在の場合は多く、組織のマネジメントを行いにくい状況があります。


一方で、管理をする存在がいないということはプレイヤー1人1人が制限されることなく、自由に仕事に取り組めるということです。個々の社員による高いパフォーマンスが多くの急成長企業の原動力になっているといえるでしょう。


また、組織体系が未成熟であることの利点は他にもあります。それは指揮命令系統が細かく整備されていないからこそ、メンバーが創業者の思いや考えを直接聞く機会が多いということです。経営者と接する機会は社員1人1人にとって刺激的なものとなるでしょう。


さらにこのことは企業独自のカルチャーが醸成されやすいということにもつながります。そもそもスタートアップに集まる人材は、その会社が提供する商品・サービスに共感している場合がほとんどです。


その中心にいる経営者から発信されるビジョンや価値観は急速に小さな組織に浸透していきます。必要なポジションや制度が整っていないことで、一見未熟だと思えるスタートアップの組織体系は、実はとても価値のあるものなのです。


思いを共有できる仲間とともに、自社の商品・サービスの価値を信じて目の前の仕事に没頭する。そのような働き方ができる点がタートアップの魅力です。


このような環境があるからこそ、職場としてのスタートアップは「のびのびと仕事に取り組める」、「自分の能力を最大限に発揮できる」といったことを言われるのでしょう。


②スタートアップにおける管理職の存在意義

では、スタートアップ企業に管理職がいると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的な存在意義として、下記のような効果が期待できます。


・能力の平準化
・メッセージの発信および浸透
・採用の強化
・社員の活躍および定着につながる評価制度の構築
・ガバナンス強化

なかでも今回は「能力の平準化」と「メッセージの発信および浸透」という2つの要素に着目します。まず、管理職がもたらす能力の平均化について考えていきましょう。たとえば管理職がいない組織では、成果を残せないメンバーは自力で成果を上げる方法を考えなくてはなりません。


しかし、管理職がいれば自分が培ったノウハウや成果をあげているメンバーのやり方を分析し、組織に展開することが可能です。そうすることによって、これまで成果を上げられなかったメンバーは個人で努力するよりも早いスピードで成長することができます。


もちろん、なかにはプレイヤー同士でフォローアップする仕組みを構築している組織もあるでしょう。しかし、全員が自分の仕事に没頭するプレイヤーばかりの組織では、メンバー同士がノウハウを共有する仕組みは生まれにくいものです。


次に、管理職がいることで、創業者や会社が大切にしているメッセージを正しく社員に伝え、浸透できるというメリットもあります。人間はだれしも、物事を都合良く解釈する生き物です。創業者から同じ話を聞いても、社員の間には解釈や理解度に、差異が生まれる場合があります。


その際、一般のメンバーよりも創業者の思いを深く理解し、会社の今後を正しく見据える管理職がいれば、より丁寧に情報を浸透させることができるのです。また、社会には考えを言語化すること自体が苦手な経営者もいます。


そのときに経営者の意図をわかりやすく適切に表現できる管理職がいれば、組織は向かうべき方向を定めやすくなります。組織のなかに管理職がいれば、メンバーをフォローすることができると同時に、創業者の弱点を補うことができるのです。

 

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③管理職の不在を補う人事サービス

スタートアップ企業の中には、組織の成長を支援する人事制度を整えたい・管理職がほしいと思っていても、構築・獲得できないという悩みを抱えている場合もあるでしょう。そのような際に有効なのは、ヒトの代わりに組織に貢献してくれる人事サービスの利用です。

たとえば「社員教育をしたいけど、教育制度がない・教育する管理職がいない」という場合は「Schoo」や「リクルートマネジメントスクール」のような公開型講座を活用する方法があります。研修内容は興味に応じて選択でき、各社員がセルフで参加することが可能です。


Schooについて
・大人が学び続けるための動画によるオンライン研修サービス
・法人向けとして階層別・職種別・テーマ別研修を用意
・コンテンツ総数4000本以上の動画を自由に組み合わせ、セルフ受講型研修を構築可能

<出典/https://schoo.jp/


リクルートマネジメントスクールについて
・ビジネス経験豊富なトレーナーによる階層別研修や選択型自己啓発支援サービスを提供
・3時間の短時間研修から 1日~3日の終日研修まで、豊富な研修ラインナップ
・全国主要都市にて開催、1名から受講可能

<出典/https://www.recruit-ms.co.jp/open-course/

また、「社員のモチベーションを把握してフォローアップする仕組みが必要」という思いがあるなら、社員の自己申告によって状態を可視化できるツールを導入するという方法があります。具体的なサービスとしては「RiCare」や「Geppo」などが一例です。


RiCareについて
・スタッフの定着率向上を支援するセルフアセスメントサービス
・回答時間約10分の設問で受検者の性格の特徴や仕事に対する満足度を明らかに
・離職要因の把握や適切な従業員理解によって、スタッフへのフォローを支援

<出典/https://www.ricare.jp/

Geppoについて
・従業員のコンディション変化発見ツール
・1分で回答できる3つの設問に答えることが、ストレスなく従業員の習慣に
・回答内容はシステムによって自動集計
・セルフ化・自動化によって手間をかけずに従業員に寄り添い、フォローすることが可能

<出典/https://www.geppo.jp/


このように、近年各分野で様々な効果を期待できる人事系サービスがリリースされています。人事制度構築や管理職の配置が困難な創業期には、このようなサービスを活用することを検討してもいいでしょう。


④いずれ直面する管理職の必要性について

ここまで、スタートアップでは管理職の確保よりも事業拡大が優先されるということ、そして、世の中には管理職の不在を補う人事サービスがあるということを説明してきました。しかし、いつまでもそのような状況が続くわけではありません。


スタートアップであっても、企業が成長していくなかで、経営者とプレイヤーの間に立ち、組織をマネジメントする管理職は必要になります。企業としていつまでも「良い人がきたら」というスタンスでいるわけにはいかないでしょう。


では、具体的にどの規模まで成長したら、管理職を配置し、組織体系を整えるべきなのでしょうか。スタートアップベンチャーから成功をおさめ、業界大手となっている企業の多くは社内に新たな職種が生まれたときだと、そのターニングポイントを振り返ります。


たとえばWeb系の販売会社としてビジネスをスタートさせたある企業とっては、自社サービスの構築を外注から内製に切り替えるようとした時がそのタイミングでした。社内に技術職を抱え、全体をマネジメントする管理職という存在が組織に必要となったのです。


また、ある人材会社では新たなサービス提供に着手する段階で、創業者が全てに目を通すことに限界を感じる場面があったといいます。その結果、創業者に近い目線で各事業を束ねる役割として管理職を配置したのでした。


創業期から新たな人材が加わり、組織全体の統一感を改めて強固にしなければならないときに、管理職という存在が必要になるといえるでしょう。


まとめ 今回の記事ではスタートアップ企業こそ人事サービスを活用すべきということと、いずれは採用・登用しなくてはならない管理職についての説明をしました。


スタートアップ企業にとって、自社の成長に対して、組織体系の整備が追い付いていないことは、悲観すべきことではありません。むしろ、社内のことを置き去りにするほどのスピードで成長してきたことは喜ばしいことでしょう。


事業展開に注力するあまり、人事制度や社内のポジションを整備できていなかったということに気づいたときにこそ、この記事のことを思い出し、参考にしていただければ幸いです。


<参考文献>
https://coralcap.co/2019/06/panel-discussion-of-startup-hr/
https://jp.techcrunch.com/2017/10/20/techcrunch-school-11-hr-tech-3-panel-report/
https://amp.review/2017/12/22/201712_amex_report/
https://startuptimes.jp/150-for-startups-from-hr/
https://vacks.paid.jp/?p=3085

 

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