ストレスコーピングで従業員の心の健康管理を

By Geppo編集部 |
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カテゴリー: ストレスチェック 人事基礎知識

ストレスコーピングで従業員の「心の健康管理」をするイメージ

ITによる技術革新、成果主義の浸透、労働力人口の減少などを背景に、従業員は日々さまざまなストレスにさらされています。企業の人事担当として、従業員の「心の健康管理」は取り組むべき重要課題です。今回はストレスに関する基礎知識に加え、ストレスコーピング(対処法)について解説します。

■「心の健康管理」が注目されている理由

ストレスに苦しむ社員のイメージ 

●従業員のストレスの現状

まずは働く人のストレスの現状を見てみましょう。厚生労働省の「平成29年 労働安全衛生調査」によると、現在の仕事や職業生活において、強いストレスを感じている人の割合は 58.3%でした。強いストレスの原因を見てみると、トップ3は次のようになります。

 

○強いストレスの原因トップ3

1位:「仕事の質・量」(62.6%)

2位:「仕事の失敗、責任の発生等」(34.8%)

3位:「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」(30.6%)

 

また、過去1年間(平成28 年11月1日~平成29年10月31日)にメンタルヘルスの不調で1か月以上休業した人の割合は0.4%、退職した人の割合は0.3%となっています(いずれも受け入れている派遣労働者を除く)。

過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者割合(平成29年)のグラフ

●労災による疾病や死亡の増加

上記の休職・退職の発生比率だけを見ると、「意外と少ないな」と思われる方も多いかもしれません。しかしながら仕事における強いストレスなどが原因で発病した精神障害は、年々増加傾向にあり、それに伴い自殺も増加しているのです。

精神障害の労災補償状況のグラフ

仕事が原因で従業員が精神障害を患い、自殺に至ってしまうとなれば、本人のみならず、家族や企業のすべてに大きなダメージを与えることになります。

企業にとっては、そこで働く従業員に心理的な負担や作業的な負担を追わせてしまいますし、もちろん対外的な企業イメージは非常に悪くなり、そこから持ち直すことは容易ではありません。

そこで企業が注力しているのが、従業員の「心の健康管理」です。

労災による悲劇を起こさないためにも、人事担当者や労務担当者は、組織を挙げて従業員の「心の健康管理」に努めなければなりません。まず大切なのは、快適な職場環境をつくること。企業とそこで働く人とが、協調してストレスフリーな働きやすい環境を整えていくことはとても意味があることです。

また、「職場環境の改善に取り組む」という企業姿勢は、国や社会的要請に応えていることを広く表明することにもなります。

 

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■セルフケアとしての「ストレスコーピング」

セルフケアとして「ストレスコーピング」を行うイメージ

企業が職場改善をする一方で、ストレスの感じ方は人それぞれ。「心の健康管理」には個別の対策も必要となってきます。従業員自身でストレスケアを行えるよう、対処法をレクチャーすることも重要です。

その対処法のひとつに、自身で取り組める「ストレスコーピング」が挙げられます。

こちらを詳しく見ていきましょう。

●ストレスコーピングとは

「ストレスコーピング」は、アメリカの心理学者ラザルスが提唱したストレスに対処するための概念です。ストレスと上手に向き合うための技術や能力のことで、コーピング(coping)とは、「うまく対処する、処理する」という意味を持つcopeに由来しています。

●ストレスコーピングの種類と具体例

ストレスコーピングは、大きく2つに分けられます。ストレッサー(ストレスの原因となるもの)を取り除くことに重点をおいた「問題焦点型」と、ストレスを緩和させる「情動焦点型」があります。

○問題焦点型

ストレッサー(ストレスの原因)に直接働きかけて状況の改善を行います。ストレッサーが根本的に消えれば、ストレスフルな状況から抜けだすことができます。

【具体例】

<長時間労働による疲労がストレスの発生源(=ストレッサー)である場合>
会社や上司に働きかけて残業時間の削減を実現することでストレスに対処します。

<満員電車での長時間の通勤が苦痛(=ストレッサー)である場合>
会社の近くに引っ越し、徒歩通勤に変えることでストレスに対処します。

 

このようにストレスの原因が明確で、従業員が抱えがちな問題であれば、直接解決につながる仕組みや制度を使って組織全体のストレスを減らすことができます。

しかし、すぐに解決できない問題や実現の可能性が低いケースも多く、事態が好転せずさらにストレスを抱えてしまうこともあります。

 

○情動焦点型

ストレッサーにより生じた感情をコントロールすることにより、ストレスを緩和させます。その結果ストレスが生じにくくなるメリットがあります。

【具体例】

<他人から心ない言葉を投げられたとき>
感情を抑えて大人の対応をしたり、他の誰かに話して発散することで気持ちを整理したりします。

さらに、「情動焦点型」における感情のコントロール法として、「認知的再評価型」「気分転換型(気晴らし型)」が挙げられます。

 

○認知的再評価型

ストレッサーに対して、これまでとは違う視点を持ち、考え方を変えてみる方法です。

【具体例】

<厳しい上司に対して「怒られてつらい」と思っている>
考え方を「自分を育ててくれているのだ」と変えてみると、ストレスを感じにくくなります。

これは、「ポジティブシンキング」とも言われています。

 

○気分転換型(気晴らし型)

自分が好きなことを適度に楽しんで気晴らしをはかります。

【具体例】

運動をする、趣味に没頭する、ショッピングを楽しむなど、「楽しい」と感じられることを行います。

 

●ストレスコーピングを行うためのポイント

ストレスコーピングを従業員が自身で行う際に、下記のポイントを伝えておくことも大切です。

○多様なストレスコーピング(対処法)を持っておく

さまざまなストレスコーピングを理解して、活用しましょう。たくさんの方法を知っておくことで、状況により臨機応変にストレスを対処できるようになります。

○すべてを一人で対処しようとしない

ストレスコーピングは無理のない範囲で行うことが大切です。特に、問題の解消が難しい状況のときには、無理やりポジティブに考えようとしたり、感情を抑え込もうとすると余計にストレスになることもあります。

 

ストレスコーピングの効果を高めたい場合は、問題解決意識を持ち、家族や親しい仲間、カウンセラーなどにストレス状況を伝え、相談しながら行うとよいでしょう。

ストレスコーピングで従業員の心身の健康を維持しよう

心身の健康を維持して働く社員のイメージ

今回はストレスコーピングの基礎知識についてご紹介しました。従業員の「心の健康管理」は人事担当だけで行うものではありません。経営層、管理職者を巻き込み、全社で取り組むことが重要です。まずはストレスコーピングへの理解を全社で深め、従業員の心身の健康維持を心がけましょう。

 

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